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東雲駅 - りんかい線東臨トンネル(5)
公開日:2011年10月09日07:00

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東雲駅 2km180m
▼参考
臨海副都心線の工事概要 - 建設の機械化1992年12月号3~8ページ
首都圏における新線開業 5、東京臨海高速鉄道臨海副都心線 - 日本鉄道施設協会誌1996年9月号20~31ページ
●概説
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東雲(しののめ)駅は新木場駅起点2km180mの地点に設けられており、新木場駅と同じく高架橋上に線路・ホームがあり、ホームはりんかい線で唯一の対向式ホーム2面2線となっている。線路は既に大崎方のトンネルに向かって下り始めており、駅の新木場方2/3が2.24パーミル、大崎方が10パーミルの下り勾配となっている。駅施設は全て高架下にあり、南側には小規模なロータリーが併設されている。

現在の東雲駅付近の1989年の航空写真
(C)国土交通省 国土情報ウェブマッピングシステムカラー空中写真データより抜粋
東雲駅付近の高架橋は昭和50年代に京葉線用として建設されたものである。平成に入り、この高架橋はりんかい線の第一期区間として活用されることになったが、当初の計画では東雲駅の設置予定は無く、着工直後に発表された文献でも駅設置に関する記述は無かった。その後、江東区の要請により同区が建設費用の半分(10億円)を負担することを条件に駅の追加が決まり、1996(平成8)年のりんかい線第一期区間と同時の開業が実現した。りんかい線の建設が検討段階だった1989(平成元)年の航空写真を見ると、現在東雲駅の駅前ロータリーになっている区画は公園となっており、当初から京葉線の旅客線化や東雲駅の設置を視野に入れた土地利用がなされていたことが伺える。ホーム途中で勾配が変化しているのは元々駅の設置計画が無かったことの表れであり、駅のホームが対向式となっているのも完成していた高架橋を取り壊すことなく駅を設置するための工夫である。ホームは北側に国道357号線が近接していることや、コスト削減のため最小限のサイズとされ、長さは10両編成ぎりぎりの205m、幅も大崎方の階段設置部分以外は2~3mほどしかない。
●現地写真

東雲駅駅舎
東雲駅の駅施設は高架下にあり、駅舎はその施設と真上のホームを取り囲むように設置されている。外壁はフッ素樹脂加工を施した白色の大型のパネルで、ホーム部分には大型の窓が設置されている。窓の両端は階段の角度(30度)に合わせて斜めにカットされており、「明るさ」と「スピード感」を象徴している。
ちなみに地名や駅名となっている「東雲」は夜明けを示す言葉の一つである。(夜明けを示す言葉には他に暁(あかつき)、曙(あけぼの)、黎明(れいめい)などがある。)


左:国道357号線側の出入口
右:既設の高架橋を切り欠いて設置されているホーム桁の橋脚
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国道357号線側は高架橋と道路との間が非常に狭いため、出入口は直接道路側に出るのではなく高架橋と並行する形で設置されている。駅付近の国道には車寄せなどの設備は無いため、ここで送迎待ちなどの車の駐停車を行うのは不可能であり、必要な場合は後述する駅南側のロータリーを使用することになる。
駅舎部分以外の高架橋は国鉄時代に建設された複線分の高架橋の両側に細いホーム桁が寄り添うような形となっている。ホーム桁を支える柱をよく見ると既設の複線分の高架橋の一部を切り欠いて柱を設置しており、東雲駅が完全に「後付け」の設計であることを窺い知ることができる。


左:高架下にある改札口
右:南側にある駅前ロータリー
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駅施設は全ては高架下にあり、改札口前にはコンビニ(コミュニティストア)が入居している。東雲駅の北側に都営住宅や高層マンション(UR東雲キャナルコート)があるものの、後者は東京メトロ有楽町線の辰巳駅のほうが近く、当駅の利用者は周辺にある倉庫などの工業地帯の勤務者が中心となっており、利用者数もりんかい線内で最も少ない5千人台にとどまっている。このため、自動改札機の台数も4台と少なくない。
駅の南側には路線バスが乗り入れるロータリーが設置されており、2011年現在では3路線が乗り入れている。
<東雲駅の路線バス(全て都営バス)>
1番乗り場
門19系統:門前仲町行き
東15乙系統:東京駅八重洲口(平日朝のみ)
2番乗り場
錦13乙系統:錦糸町駅行き
3番乗り場
門19系統:深川車庫・国際展示場駅行き
錦13乙系統:深川車庫行き


左:ホーム大崎方の階段
右:ホームの新木場方は幅が狭い。画面左端の高層マンションは都営住宅。
※クリックで拡大
高架下の改札口とホームは上下線とも階段1箇所、エスカレータ1基(上り)、エレベータ1機でそれぞれ連絡している。ホームは階段部分のみ幅が6.8mで、それ以外の部分はスペースの問題により2~3m前後と狭くなっており、屋根は階段部分にしか設置されていない。屋根は駅舎と一体構造となっていることから、内面は全て化粧版仕上げとなっており、部分的に明り取り用の天窓が設けられている。床は屋根のない部分も含め磁器タイル張りとなっており、列車の乗降ドアに相当する部分には乗車目標として正方形の模様を描いたタイルが埋め込まれている。
なお、前記した通りホームの途中で勾配が変化しており階段がある大崎側1/3の部分は駅としては比較的急な10パーミルの下り勾配となっている。ホーム端から駅全体を見渡すと途中で勾配が変化していることや、階段の取り付け部分が斜めになっていることが確認できる。
●駅データ
駅名:東雲(しののめ)
住所:東京都江東区東雲2丁目8-10
乗車人員(降車客を含まない):5,268人(2010年、東京臨海高速鉄道ホームページによる)
Web:東雲駅|りんかい線
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