国際展示場駅~東京テレポート駅(現地写真) - りんかい線東臨トンネル(9)

東京臨海高速鉄道りんかい線東臨トンネル ~時代に翻弄されたもうひとつの京葉線~
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有明第3トンネル 3km610m~4km050m(L=440m)
  有明第4トンネル 4km050m~4km305m(L=255m)
  台場第1トンネル 4km305m~4km525m(L=220m)
  有明立坑 4km530m付近
  台場第2トンネル 4km530m付近~4km795m付近(L≒265m)

▼参考
臨海副都心線の工事概要 - 建設の機械化1992年12月号3~8ページ
首都圏における新線開業 5、東京臨海高速鉄道臨海副都心線 - 日本鉄道施設協会誌1996年9月号20~31ページ

●概説
前回の記事を参照。

●現地写真(地上)
国際展示場駅西側のコロシアムブリッジから東京テレポート駅方面を見る。りんかい線のトンネルは道路左側の地下を通る。
国際展示場駅西側のコロシアムブリッジから東京テレポート駅方面を見る。りんかい線のトンネルは道路左側の地下を通る。2011年5月5日撮影

国際展示場駅を出たりんかい線は引き続き国道357号の南側の地下を進む。前半の有明第3トンネルはパナソニックセンター、TOC有明の敷地内を通過しているが、いずれもトンネル上部は盛土を行ったうえで駐車場として利用されており、トンネルに直接大きな荷重がかからないよう配慮されていることが分かる。

有明第3トンネル終端付近で交差する豊洲・有明埠頭連絡道路 有明第4トンネルに隣接して建つ東京都水の科学館。トンネルは建物右の森の下を通っている。
左:有明第3トンネル終端付近で交差する豊洲・有明埠頭連絡道路
右:有明第4トンネルに隣接して建つ東京都水の科学館。トンネルは建物右の森の下を通っている。2枚とも2011年5月5日撮影

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有明第3トンネルは終端付近で東京港フェリーターミナルへ通じる豊洲・有明埠頭連絡道路と交差する。トンネルとの交差部分は豊洲・有明埠頭連絡道路と国道357号が交差する有明二丁目交差点の南側で、左写真で正面の横断歩道左の地下にトンネルが埋設されているものと思われる。この部分は道路下の共同溝と工事が競合し、調整に手間取った部分であるが現在の地上の様子からはその痕跡を見ることは残念ながらできない。
一方、その先の有明第4トンネルは有明西運河の直前で東京都の有明給水所脇を通過している。有明給水所の地上部分は東京都水の科学館として利用されている。東京都水の科学館は私たちが日ごろ利用している上水道の水がどのようにして作られているかを解説した資料館で、館内を解説して回るツアーには地下にある実際の水道施設である有明給水所の見学が含まれている。りんかい線のトンネルはこの東京都水の科学館と国道357号の間の土地を通過しているが、この部分もやはり盛土をしたうえで公園として利用されている。

▼参考
東京都水の科学館 TOKYO WATER SCIENCE MUSEUM

国道357号西行きの有明橋。(東行きは「新都橋」という。)りんかい線のトンネルはこの左を通過している。 有明橋の上から新木場方面を見る。護岸のコンクリートの切れ方はトンネルに合わせたもの?
左:国道357号西行きの有明橋。(東行きは「新都橋」という。)りんかい線のトンネルはこの左を通過している。
右:有明橋の上から新木場方面を見る。護岸のコンクリートの切れ方はトンネルに合わせたもの?2枚とも2011年5月5日撮影

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東京都水の科学館の先はすぐに有明西運河となっている。りんかい線のトンネルと平行する国道357号線西行きはこの運河を「有明橋」という橋で渡っており、昭和50年代に建設されたりんかい線の台場第1トンネルのケーソンはこの橋のすぐ南側に隣接した運河の中に埋設されている。橋の上から新木場側の護岸を見るとトンネルの幅に合わせる形でコンクリートに切込みが入っており、この部分だけ周囲より若干色が明るく見える。これは陸上側で新規に建設した開削トンネルと運河側の既存のケーソンをつなぎ合わせるために、護岸を一旦壊して造り直したためと思われる。

有明橋の上から見たりんかい線有明立坑換気塔。上下2線分のルーバーがある。 換気塔の裏側には小さな扉がある。
左:有明橋の上から見たりんかい線有明立坑換気塔。上下2線分のルーバーがある。
右:換気塔の裏側には小さな扉がある。2枚とも2011年5月5日撮影

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一方、有明西運河の西側(東京テレポート駅側)のりんかい線のトンネルにはシールドトンネルの到達立坑として使われた「有明立坑」がある。立坑部分は運河の護岸とトンネル天井が一体となっているためか、周囲の護岸が鋼矢板(波型の鉄板)であるにも関わらずこの部分の護岸だけコンクリート製になっている。その上部には長方形の角を丸くしたような建物が建っているが、その外観は明らかに新しく、りんかい線の開業と同時期に建設されたものと見て間違い無いだろう。建物の運河側には地下の線路の上下線間隔に合わせる形で2枚の大きな黒いルーバーが設置されており、現在はトンネルの換気塔として利用されているようであった。ただし、トンネルの長さが短く深度も浅いためか送風機を用いた強制換気は行っていないようで、特に地下鉄特有のにおいなどは感じられなかった。運河の反対側の壁面は端に人1人分の小さな扉と階段が設置されている以外は何も無く、トンネルの非常口として使うことは考慮されていないようであった。

国道357号から見た青海東臨時駐車場とテレポートブリッジ。
国道357号から見た青海東臨時駐車場とテレポートブリッジ。2011年5月5日撮影

有明立坑から先の台場第2トンネルは上下線が別のシールドトンネルとなっており、地上には特にトンネルの存在をうかがわせるものは何も無い。トンネルの地上部分は都市博中止後も利用先が見つからず暫定的に駐車場(青海東臨時駐車場)として利用されているが、フジテレビ本社やパレットタウンなどの観光地からはやや離れた中途半端なロケーションのためか、取材日がゴールデンウィーク中にもかかわらず一部が空車となっていた。



●現地写真(地下)
有明第4トンネル内には第一期開業時に使用していた両渡り線が残されている。下り列車の前面展望。 台場第1トンネル(ケーソン)と台場第2トンネル(シールド)の接続部分。
左:有明第4トンネル内には第一期開業時に使用していた両渡り線が残されている。下り列車の前面展望。
右:台場第1トンネル(ケーソン)と台場第2トンネル(シールド)の接続部分。2枚とも2011年5月5日撮影

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トンネルの建設方法は有明第3・4トンネルが一般的な開削工法、台場第1トンネルがケーソン工法、台場第2トンネルがシールド工法となっている。このうち、有明第4トンネルは部分的に中柱が無く、この部分には上下線を接続する両渡り線(ポイント)が設置されている。このポイントは1996(平成8)年のりんかい線の第一期開業から2001(平成13)年の天王洲アイル駅延伸までの間折り返し運転に使用されていたもので、現在は非常用として機能を維持したまま残しているようである。このポイントを過ぎるとトンネルは上下線の間が柱から壁になるが、この部分が国鉄時代に造られた台場第1トンネルのケーソンのようである。その先は同じく国鉄時代に造られた台場第2トンネルの単線シールドトンネルとなるが、ケーソンとシールドの間の有明立坑の部分は到達立坑ということもあり長さが短く、一瞬で通過してしまうため車内から確認することはほとんど不可能であった。
最後に、毎度おなじみの前面展望動画で記事を締めくくることとしたい。なお、撮影当日は東日本大震災に伴う夏の電力使用制限令により、トンネル側壁の照明がすべて消灯されていたことや、運悪く対向列車が来たためヘッドライトをロービームに切り替えられてしまったためほとんどの区間が暗闇で何があるのかよくわからない状態となってしまった。この点は素人が作ったものということでどうかご了承願いたい。

りんかい線前面展望・3/7 国際展示場→東京テレポート - YouTube 音量注意!
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