カテゴリ:鉄道:建設・工事
2011年10月29日の状況 - 浦和駅高架化工事(2)
公開日:2011年12月28日20:03

浦和駅高架化工事の続きです。前回の記事では、浦和駅高架化工事の概要や今年3月6日に行われた東北旅客線下り線の高架化に伴う運転変更の模様をお伝えしました。2回目の今回は今年10月29日に取材した浦和駅の工事の様子をお伝えします。
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事業の概要と2011年3月6日の線路切替 - 浦和駅高架化工事(1)(2011年12月26日作成)
■東北旅客線ホーム

高架化された東北旅客線ホーム。右側が今回使用が開始された下り4番線。
東北旅客線下り線の高架化は2011年3月5~6日に行われ、6日夕方には高架ホームの使用が開始されました。高架化された下り線は2009年に高架化された上り線の島式ホームの対面で、ホームの構造物は2009年の高架化時にほとんどが完成しており、前回訪問時はホームの半分を柵で仕切った状態となっていました。今回新たに建設された下り線は高架橋・軌道ともに上り線とほぼ同一の構造となっています。


左:東北旅客線ホームから大宮方面を見る。2010年2月6日撮影
右:同じ場所の2011年10月29日の状況。 ※クリックで拡大
ホームの大宮方面はすぐに地上へ降りる下り勾配となっています。勾配は1990年代に高架化された赤羽駅とは異なり、電車専用線の京浜東北線と同じ傾斜となっており、長大な機関車牽引列車の走行は考慮されていないことがわかります。前回訪問時は高架化された上り線左側の地上上り線跡地で下り線の高架橋建設が行われていました。今回訪問時はこの下り線の高架橋が完成し、前回は床面のみだった上下線の間の空間には信号機器のボックスが新設されていました。


左:地上時代の東北旅客線下りホーム。2010年2月6日撮影
右:地上ホーム跡地では貨物線上りの高架橋建設が始まっていた。 ※クリックで拡大
高架化で使われなくなった地上の下り線はホームなどが全て撤去され、貨物線上り線(湘南新宿ライン南行)の高架橋建設が始まっていました。今後はまず線路部分の高架橋を完成させ、上り線をそこに移設した後既存の高架橋の改修(階段設置部分)とホーム本体の建設が進められるものと思われます。(横須賀線武蔵小杉駅新設と同様の手順。)
■改札口移転と東西自由通路の暫定開通


左:内装が完成した高架下の改札内通路(2010年2月6日訪問時と比較)
右:案内板にはシールで隠された5・6番線(湘南新宿ライン)文字がある ※クリックで拡大
前回訪問時、高架下の改札内通路は内装の工事が全く着手されておらず、高架橋の躯体がむき出しとなっていました。今回訪問時は後述する改札口の移転に伴い、高架橋が完成している部分に関しては内装のみならずトイレ・案内板類に至るまで全て整備が完了していました。内装のデザインは最近一般的となっているグレーのパネルを全面的に採用しており、案内板類は全てバックライトにLEDを採用した省エネ型となっています。なお、ホームの案内板はまだ完成していない5・6番線(湘南新宿ライン)の文字が準備されており、現在はシールで隠した状態となっています。

高架下に移転した改札口
高架化着工前の浦和駅は駅の東西に1箇所ずつ改札口があり、改札内にある2本の地下道で双方が接続されていましたが、改札外の自由通路が無く駅を挟んだ両側を行き来するのが困難となっていました。このため、高架化完了後は高架下に幅25mの自由通路が設けられる計画となっており、この工事の一環として去る2011年8月28日に東西に分かれていた改札口を統合する形で改札口が移転しました。さいたま市のホームページにある完成予想図を見ると将来的にはこの改札口の前が東西自由通路となる模様ですが、現状では通路のほとんどが完成形となっていないため幅は狭く、内装も改札内とは異なりごく一部しか完成していません。


左:改札内の地下道を再利用した暫定自由通路
右:地下道の途中には地上のホームへつながっていた階段の跡がある。
※クリックで拡大
この高架下の新改札口と東口・西口の両駅舎は以前改札内通路として使われていた上野方の地下道を再利用する形で接続されており、暫定的ながら東西自由通路が完成したことになります。この地下道は、現在行われている貨物線の高架橋・ホームの建設が終了した後に整備される本設の自由通路完成後に取り壊される予定となっており、転用にあたっては必要最小限の整備しか行われていません。このため、通路の途中には地上の東北旅客線ホームにつながっていた階段が仮設の柵で蓋をした状態で残されているなど、改札内通路時代の面影を随所に見ることができます。


左:東口駅舎の改札口跡。自動改札機を撤去し開口部を目張りしただけでそのままの状態となっている。
右:西口駅舎の改札口跡。自動改札機が撤去され、通路がかなり広くなった。
※クリックで拡大
改札口の移転に伴い、びゅうプラザやみどりの窓口も高架下の改札口前に移転しています。このため、東口・西口双方にあった駅舎はテナントが全て撤退しており、通路の途中には目張りされた改札口の残骸が残るだけとなっています。東口駅舎は元々仮設のもので高架化工事完了時に撤去される予定となっていますが、着工前からある西口駅舎についても2階にあった飲食店などが全て退去しており、実質的には建物の筺体のみが残っている状態となっています。西口駅舎は建設から40年が経過し(昭和49年の航空写真で存在が確認できる)老朽化が進んでいることから、今後は取り壊される可能性が高いと思われます。

今後取り壊されると思われる西口駅舎
この浦和駅高架化工事は2012年度に貨物線(湘南新宿ライン)のホーム新設が完了し、一通りの事業が完成する予定となっています。詳細が不明な既設の貨物線高架橋へのホーム追加の手法などもあわせ、今後も取材を続ける予定です。
▼参考
小林,有光 - 停車場改良あれこれ-鉄道が街が生まれ変わる-(25)東北本線浦和駅 - 日本鉄道施設協会誌2011年1月号4~8ページ
さいたま市暮らしのガイド - まちづくり・交通 - 浦和区内
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(おわり)
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