大井町駅~大崎駅(現地写真) - りんかい線東臨トンネル(28)

東京臨海高速鉄道りんかい線東臨トンネル ~時代に翻弄されたもうひとつの京葉線~
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■第1広町トンネル 10km852m~11km082m(L=230m)
  第2広町トンネル 11km095m~11km513m(L=418m)

▼参考
臨海副都心線工事誌 - 日本鉄道建設公団東京支社2003年9月 227~253ページ

●概説
前回の記事を参照

●現地写真(地上)
東急大井町線と並行する都道420号線。大井町線の高架下は店舗になっている。 JR広町住宅へ向かう道路の部分は高架橋が新しくなっている。
左:東急大井町線と並行する都道420号線。大井町線の高架下は店舗になっている。
右:JR広町住宅へ向かう道路の部分は高架橋が新しくなっている。2枚とも2012年3月3日撮影

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大井町駅を出たりんかい線は都道420号線から外れ、東急大井町線の高架橋と斜めに交差する。交差する部分の高架橋はりんかい線の工事に先立ち補強や改築が行われた。高架下はほぼ全てが商店街となっており、補強や改築に当たってはこれらの店舗を一時的に退去させて工事が行われたことが工事誌に記されている。高架橋をよく見るとJR広町住宅へ向かう道路と交差する部分だけ桁が新しくなっており、この部分を改築したことが分かる。

東急大井町線の高架下から見たJR東日本広町住宅。第1広町立坑は正面の管理棟裏の駐車場に設けられた。
東急大井町線の高架下から見たJR東日本広町住宅。第1広町立坑は正面の管理棟裏の駐車場に設けられた。2012年3月3日撮影

シールドマシンの拡大用である第1広町立坑は東急大井町線の北側にあるJR東日本広町住宅5号棟前の駐車場に設けられた。工事終了後、立坑は埋め戻されており現在は駐車場として復旧されている。JR広町住宅は私有地であるため立坑の跡地を直接確認することはできないが、工事誌には地上に通じる構造物を設置したとの記述はなく、GoogleやYahoo!の航空写真を見ても不自然な構造物は見られないことから、地上とのつながりは無いようである。

品川区役所本庁舎(第1庁舎)と総合庁舎(第2庁舎) 品川区防災センター
左:品川区役所本庁舎(第1庁舎)と総合庁舎(第2庁舎)
右:品川区防災センター。ここから先の地上部分の写真は全て2012年4月7日撮影

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大井町駅前から続いてきた商店街が終わると、都道420号線は右へ曲がり東急大井町線の高架下をくぐる。本来の都道420号線はここでは曲がらず、そのまま直進して台地の下をトンネルでくぐりぬけ、都立大崎高校の裏に出るが、その部分はまだ未完成となっている。2011(平成23)年7月には、大田区の吞川新橋の架け替えに使用するため、このトンネル内に保管されていた橋桁(重量60トン・3500万円相当)が盗難に遭うという事件が発生した。
大井町線の下をくぐると右手には品川区役所の建物群が広がる。品川区役所は南側から第3庁舎、総合庁舎、本庁舎、防災センターの4棟により構成されており、りんかい線のトンネルは一番北側に建つ防災センターの下に食い込んでいる。4棟ある建物は完成時期は異なるものの、外観はいずれもベージュのタイル張りに統一されており、空中廊下で接続されている。

▼参考
橋桁60トン盗難 都内で3500万円相当  - MSN産経ニュース

品川区防災センター前の歩道橋から大崎駅方面を見る 駐車場側の高台から品川区防災センターを見る。
左:品川区防災センター前の歩道橋から大崎駅方面を見る
右:駐車場側の高台から品川区防災センターを見る。

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品川区役所の裏手は目黒川へ向かって急傾斜となっており、品川区防災センターの駐車場は区役所の玄関から2フロア以上下ったところにある。りんかい線のトンネルはこの駐車場の下を通過している。防災センター前の道路もこの地形に合わせて急坂となっており、スペースの関係上歩道は区役所側にしか設けられていない。反対側は台地上の住宅地内を通る道路が歩道として機能しており、区役所側から道路を斜めに歩道橋が架けられている。

りんかい線大井町変電所。 左下の門扉(フェンス)に掲げられている施設名。「東臨大井町変電所」と書かれている。



左:りんかい線大井町変電所。
右:左下の門扉(フェンス)に掲げられている施設名。「東臨大井町変電所」と書かれている。

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品川区防災センター駐車場の先にはりんかい線の第1広町トンネルの発進立坑を転用した大井町変電所が設置されている。変電所の建物は平屋で、区役所側の端には換気塔と思われる格子状の開口部が付いた出っ張りがある。変電所建物は道路から離れているうえ、高低差があるため、道路と建物の間は立体駐車場のようなスロープが設けられており、建物の屋上に接続している。時折点検などのため、車が止まっていることもあるようだが、今回は特にそういった人が出入りしているような様子は見受けられなかった。
この大井町変電所の給電区間は天王洲アイル駅から大崎駅構内までの区間となっている。大崎駅構内はJR東日本とは別の給電系統を設け、りんかい線が折り返しに使用している6・7番線のみに電力を供給している。(大崎駅構内の配線や電気設備ついては別の記事で詳しく解説予定。)

左の湘南新宿ラインE231系は大崎支線を走行中。右の建物群はJR東日本東京車両センター。りんかい線はこの付近から大崎支線の下に潜り込む。 道路からフェンス越しに東京総合車両センター内部を見る。第2広町トンネルの立坑はこの付近に設置された。
左:左の湘南新宿ラインE231系は大崎支線を走行中。右の建物群はJR東日本東京車両センター。写真中央付近でりんかい線はこの付近から大崎支線の下に潜り込む。
右:道路からフェンス越しに東京総合車両センター内部を見る。第2広町トンネルの立坑はこの付近に設置された。

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大井町変電所を過ぎるとりんかい線はJR東日本東京総合車両センターの敷地内に入る。直後に西側から湘南新宿ラインの走行ルートとなっている大崎支線(大崎~蛇窪(信))が近づいてきて、りんかい線はその下に斜めに潜り込んでいく。HEP&JES工法で建設された第2広町トンネルの工事用立坑はこの大崎支線の下に入る直前の東京総合車両センター敷地内に設置された。立坑跡はアスファルトで舗装されているため地面の状態は直接は見えないが、大崎支線や道路との間にあるコンクリートよう壁はこの付近だけ妙に新しくなっており、りんかい線建設時に手を加えたことが伺える。

大崎支線の西側を通る道路から大崎支線の盛土高架を見上げる。 道路とほぼ同レベルに降りた地点に大崎駅の第3場内信号機が設置されている。
左:大崎支線の西側を通る道路から大崎支線の盛土高架を見上げる。
右:道路とほぼ同レベルに降りた地点に大崎駅の第3場内信号機が設置されている。

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大崎支線の下に潜り込んだりんかい線は大崎支線の上下線間に割って入る形で地上へ出てくる。大崎支線は線路両側の盛土を斜めから垂直に近い形に整形し直すことで上下線の間隔を広げており、新たな用地買収を行うことなくりんかい線の線路スペースを捻出している。大崎支線自体は大崎駅へ向けて下り勾配となっており、急勾配で地上へ出てくるりんかい線と一気に高度差を縮め、大崎駅構内へ進入していく。

●現地写真(地下)
大井町駅発車直前。 第1広町立坑跡。トンネル断面が一瞬だけ箱形になり、その先はシールドトンネルの直径が小さくなる。
左:大井町駅発車直前。
右:第1広町立坑跡。トンネル断面が一瞬だけ四角形になり、その先はシールドトンネルの直径が小さくなる。

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列車内からの前面展望による地下のトンネル内の解説である。
大井町発車時はトンネルの直径は10.3mと大きく、セグメントもダクタイル鋳鉄製となっている。大井町駅を出ると半径245mの急カーブで右に曲がりながら東急大井町線の高架と斜めに交差する。その直後にトンネルの断面が一瞬だけ四角形になるが、これが第1広町立坑の跡である。ここから先はトンネルの直径が7.3mに小さくなり、セグメントも鉄筋コンクリートに変わる。

第2広町立坑。地上には前記した大井町変電所がある。急カーブのためレールの消耗が激しく、線路脇には交換用レールが準備されていた。 HEP&JES工法で建設した上下線が一体の円形トンネル。ここから大崎支線の下に入る。 円形トンネルの途中にももう1つ立坑跡がある。
左:第2広町立坑。地上には前記した大井町変電所がある。急カーブのためレールの消耗が激しく、線路脇には交換用レールが準備されていた。
中:HEP&JES工法で建設した上下線が一体の円形トンネル。ここから大崎支線の下に入る。
右:円形トンネルの途中にももう1つ立坑跡がある。

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引き続きカーブが続き、左写真のように再度トンネルの断面が四角形となる地点に差し掛かるがこれが地上に大井町変電所がある第2広町立坑である。ここから50mほどは四角形の開削トンネルとなり、その後は中央の写真のようにHEP&JES工法で建設した上下線が一体の円形トンネルとなる。この円形トンネルは両端と中間の計3つの立坑を設けて建設しており、右写真の通り中間にも四角形断面となる場所が存在する。

トンネル断面が四角形に変わると間もなく地上。左端に見える黄色の「→」は大崎駅の進入線路を示す予告器。 地上に出る地点。
左:トンネル断面が四角形に変わると間もなく地上。左端に見える黄色の「→」は大崎駅の進入線路を示す予告器。
右:地上に出る地点。

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円形トンネルを通過すると、中柱がない四角形断面のトンネルとなり、地上に出る。地上に出る地点は半径268mの左急カーブとなっており、信号機の見通し距離も確保することが困難であるため、ここまでの線路上には中継信号機や進路予告器が多数設置されている。完全に地上に出ると大崎駅の場内信号機が現れる。大崎駅は5~8の4本ある線路すべてに進入可能であるため、信号機の下にある進路表示器は番号を直接表示できる多進路対応型となっている。両側から大崎支線の線路が降りてきて、同一レベルになるとそこから先は大崎駅の構内である。急カーブが続くため、大崎駅のホームはまだ見えない。

大崎駅の場内信号機。5~8番の全ての線路に進入できるため、進路表示器は数字表記ができる多進路対応型。 大崎支線と同一高さになる地点。急カーブのため大崎駅のホームは見えない。
左:大崎駅の場内信号機。5~8番の全ての線路に進入できるため、進路表示器は数字表記ができる多進路対応型。
右:大崎支線と同一高さになる地点。急カーブのため大崎駅のホームは見えない。

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りんかい線前面展望・7/7 大井町→大崎 - YouTube 音量注意

(つづく)
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