目黒川の桜 - 2012年桜めぐり(1)
公開日:2012年04月09日20:04

この週末、首都圏では桜が一斉に見頃を迎えました。これまで当ブログではほぼ毎年に渡り首都圏の桜の名所をご紹介しており、今年も目黒川・靖国神社・千鳥ヶ淵の3か所を訪問してまいりました。今回はその中から目黒川の桜についてお伝えいたします。
■目黒川の桜
目黒川は世田谷区内の池尻・三宿付近から始まり、目黒区内を縦断して品川区の天王洲アイル付近で東京湾に注ぐ二級河川です。池尻から上流には世田谷区上北沢付近(都立松沢病院内)を源流とする北沢川と北烏山付近(高源院)を源流とする烏山川、中目黒付近からは世田谷区弦巻を源流とする蛇崩川がそれぞれ支流として存在しますが、いずれも都市化の進展のため昭和40年代に暗渠化(下水道に転用)され上部は緑道として整備されています。一方、目黒区大橋で交差する国道246号線から下流はコンクリート張りの護岸に改修されたものの開渠のまま残されています。このうち、大橋から目黒までの3.8kmの川沿いには約800本の桜が植えられており、都内でも屈指の花見スポットとして知られています。
この目黒川の桜は2009年に一度見に来ていますが、このときは諸事情により記事化するタイミングを逸してしまったため、これまで「お蔵入り」となっていました。今回は2009年取材時の内容に加え、新たに品川区五反田付近で撮影した写真も合わせてご紹介したいと思います。(写真の撮影日は2009年分が2009年4月5日、今年撮影分は2012年4月7日です。)
■大橋ジャンクション脇がスタート地点


左:国道246号線の大橋の下から目黒川の開渠区間が始まる
右:目黒川の脇にある大橋ジャンクションのループトンネル。このときはまだ工事中だった。
目黒川が開渠になるのは国道246号線(玉川通り)・首都高速3号渋谷線と交差する大橋から下流です。大橋の脇には2010(平成22)年3月28日よりに供用開始となった大橋ジャンクションがあります。大橋ジャンクションは目黒川と並行して走る山手通りの地下40mに建設中の中央環状線と国道246号線の上空30mにある3号渋谷線を連絡する設備で、両路線間にある70mに及ぶ高低差を楕円形のスパイラルループ2周で接続しています。2009年の訪問時はまだループを構成するトンネルの工事が進行中であり、工事車両の進入路となっていた国道側はトンネルが途切れ、内部が見える状態となっていました。翌年の開通直前にはループトンネル内部の見学会が開催されました。この見学会は工事中の見学会とは異なり、事実上定員無制限という大サービスで、首都高速道路株式会社の中央環状線に対する意気込みが垣間見られるイベントともなりました。詳しくは後述しますが、中央環状線は現在も大井ふ頭にある大井ジャンクションまでの延長工事(中央環状品川線)が進められており、2013(平成25年度末)の開通が予定されています。
▼関連記事
首都高速大橋JCT見学会「山手トンネルウォーク」(その1)(2010年3月13日作成)
首都高速大橋JCT見学会「山手トンネルウォーク」(その2)(2010年3月17日作成)


左:大橋付近は川幅が狭く「桜のトンネル」と化している。
右:歩行者専用の中の橋
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大橋付近の目黒川はまだ川幅が狭いため、川を覆い隠すように桜の木が生えています。そこに花が咲く様子はまさに「桜のトンネル」と呼ぶに相応しいものです。現在の目黒川は下水を高度処理した水以外に水源が無いため流量は少なく、川に落ちた花びらはゆっくりと水面を滑るようにして流れていきます。(ただし、大雨時には上流の下水が越流するため流量が増える。)
なお、大橋から中目黒付近までは道路と交差するごとに橋が架けられており、橋の間隔は50~100m程度と狭くなっています。


左:東急東横線中目黒駅と交差
右:蛇崩川が合流
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大橋から1km少々歩くと東急東横線・東京メトロ日比谷線中目黒駅と交差します。東横線と交差すると右側から蛇崩川が合流します。蛇崩川はこの合流地点の10mほどを除いてすべて暗渠化されており、目黒川本流の大橋より上流と同じく下水道幹線として利用されています。大雨時はオーバーフロー(越流)した汚水がここから目黒川に流れ込むため、水質悪化の原因となっています。
田楽橋から中目黒駅方向を見る。正面の高い建物は賃貸マンションの中目黒アトラスタワー(撮影当時はまだ工事中)。
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駒沢通りと交差すると目黒川は工事用の作業台の下をくぐりぬけます。この作業台は目黒川の脇で行われている首都高速中央環状品川線中目黒換気所の工事のために設置されているものです。中央環状品川線は大井ふ頭の首都高速湾岸線大井ジャンクションと大橋ジャンクションを接続するシールドトンネルに加え、五反田付近に出入口、大井ふ頭・南品川・五反田・中目黒の4か所に換気所が設置される計画となっています。本線を構成するトンネルは大井ふ頭にある立坑から発進し、8km離れた大橋ジャンクションまで内回り(大井行き)・外回り(大橋行き)それぞれ1機のシールドマシンで建設しており、去る2012年3月22日に首都高施工の外回りトンネルが到達し、両方向のトンネルが貫通しました。中目黒換気所は既に完成しているシールドトンネルと地下で接続する予定となっており、現在も工事が続いています。


左:なかめ公園橋から下流方向を見る。左の煙突は目黒清掃工場。
右:引き続き川の両側に遊歩道が続く。
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首都高の工事現場を過ぎると目黒川は川幅が一気に2倍近くまで広がります。ここから先、目黒駅付近までは一直線に南下していきます。川の右側は相変わらず住宅地で、マンションなどが立ち並ぶ一方、左側は自衛隊幹部学校や目黒区の清掃工場など公共施設が多くなってきます。




左上:田道橋から下流方向を見る。正面のグレーの建物は目黒雅叙園アルコタワー。
右上:目黒新橋(目黒通り)から上流を見る。遥か遠方に先程通過した中目黒アトラスタワーが見える。
左下:桜の開花時期に川沿いに吊り下げられる飾り。
右下:桜の花と目黒川の水面。
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■品川区内の川沿いにも桜

五反田駅に停車中の東急池上線7700系電車と桜の花
目黒駅を過ぎて東急目黒線の高架橋と交差すると目黒川は品川区に入ります。連続した桜並木はここで一旦途切れます。次に桜並木が復活するのは500mほど下流に進んだ五反田駅付近(桜田通りとの交差付近)で、ここから大崎駅付近にあるゲートシティ大崎の裏手まで再び桜並木が続きます。筆者が特に今回気に入ったのは五反田駅の南にある「ふれあいK字橋」という歩行者専用の橋です。この橋はその名の通り橋桁の形がアルファベットのKの字のような形となっています。(通行する部分はKの縦棒の部分。)この橋は上流側に東急池上線、下流側にJR山手線・湘南新宿ラインが通っており、さらに下流側には大崎駅前の再開発地区に建つ高層マンションが望めるなど、大都市ならではの景観を楽しむことができます。


左:ふれあいK字橋から見た通過中の山手線E231系と桜の花
右:下流方向には大崎駅前の高層マンション・ビル群が見渡せる。
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目黒川を渡る電車と桜 - YouTube 音量注意
大崎駅の先の目黒川も点々と桜並木が続いており、例えば大井町駅付近のものは京浜東北線の電車内からも確認することができます。これらを全部合わせると全長は5kmは軽く超えると思われ、高層ビルが密集する東京都心の中では貴重な緑であると言えます。
▼参考
目黒川桜並木|桜名所 全国お花見900景2012 - Walkerplus
世田谷区 緑道
▼関連記事:東京都内の桜
●2007年
東中野の桜と中央線(2007東京さくら紀行[1])(2007年4月3日作成)
桜満開の井の頭公園(2007東京さくら紀行[2])(2007年4月5日作成)
神田川と井の頭線(2007東京さくら紀行[3])(2007年4月6日作成)
外濠の桜・市ヶ谷→飯田橋(2007東京さくら紀行[4])(2007年4月8日作成)
中央線と春の風景(2007東京さくら紀行[5])(2007年4勝ち9日作成)
●2008年
隅田川の桜1 - 昼の隅田川テラスを歩く(5)&2008年桜めぐり(1)(2008年4月4日作成)
隅田川の桜2 - 昼の隅田川テラスを歩く(6・終)&2008年桜めぐり(2)(2008年4月5日作成)
飛鳥山公園の桜 - 2008年桜めぐり(3)(2008年4月9日作成)
国立科学博物館付属自然教育園の桜 - 2008年桜めぐり(4)(2008年4月25日作成)
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