隅田川立坑~八丁堀駅(概説・現地写真) - 京葉線新東京トンネル(13)


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■新川トンネル:1km400m08~1km839m78(L=439.70m)
▼参考
京葉線工事誌 598~622ページ

工期:1987(昭和62)年1月(シールド機製作は1985(昭和60)年8月から)~1990(平成2)年5月

●概説
隅田川立坑を過ぎると京葉線は新川トンネルに入り、八丁堀駅新木場寄りの高橋立坑に至る。線形は半径600mの左カーブで針路を北西から西に変える。勾配は隅田川側から3パーミル、20パーミルの上りとなっている。この新川トンネルのシールドマシンは八丁堀駅に到達した後そのまま八丁堀駅構内の線路部分のトンネルも掘削するが、この部分はホーム幅を確保するため線路が外側へ偏った配置となっており他のトンネルと同じ寸法で造ると高さが不足してしまう。そのため、八丁堀駅構内とこの新川トンネルのみシールド外径を8.1mに拡大した。


新川トンネルの位置
(C)国土交通省 国土情報ウェブマッピングシステムカラー空中写真データ(平成元年)に筆者が加筆

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この新川トンネルは大部分が住宅などが立ち並ぶ民有地の地下を通る。掘削深度が深いことや安定性に優れた泥水加圧式シールドを使用したため崩落などの事故は一切発生しなかったが、着工前には全く予想だにしなかったある別のトラブルが発生した。それは掘削音が地上に伝わることである。
新川トンネルが通過する地表面下22~26m付近は硬質な洪積層(東京層)となっている。この部分にシールドマシンが入った直後からルート上に住む住民から騒音・振動に関する苦情が殺到するようになったのだ。調査を行ったところ、音源は特定できないが明らかにシールド掘進と関係があること、この付近は特に大きな道路などが無いため都心の中でも静かな部類に入る場所であり、騒音・振動が余計に目立ってしまったものと推測された。振動の感じ方は人それぞれであるが、

(1)地底に引きずり込まれるような
(2)下から突き上げられるような
(3)化け物の心臓の鼓動のようで気味悪く


などと表わされており、ズーン、ズーンと一定周期を持つ音で異様な感じがするという点では一致している。また、振動レベルを数値で示すと以下のようになっており、この結果からもやはり地表面に振動が伝わっていると結論付けられた。

シールド掘進時の振動レベル(京葉線工事誌621ページ 表3-6-74)


この振動・振動に対する対策としては

(1)24時以降は作業を行わない。
(2)ルート上の住民には事前に通過予定日を連絡し、転石などにより多少振動が発生する可能性があることを知らせる。


ということが行われた。その後も苦情は続き、23時で作業を止めさせられたこともあったが、作業自体に支障はなくトンネル掘削が完了した。

●現地写真
(2009年8月16日撮影)


中央大橋へ続く都道から東京住友ツインビルとリバーシティ21新川を見上げる
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新川トンネルは区間の大半が住宅地の下となるため写真はこの1枚のみである。トンネルは奥に見える東京住友ツインビルとリバーシティ21新川の間から手前に向かって進んでおり、筆者が立っている真下を通過している。

(つづく)
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