つくばエクスプレス南流山駅ホーム延伸(2012年7月28日取材)&ダイヤ改正の概要

流山おおたかの森駅に到着するTX-2000系

去る、7月27日(金)につくばエクスプレスより10月にダイヤ改正を実施することが発表されました。今回は今年3月にお伝えした南流山駅のホーム延伸工事と車両増備のその後の状況とダイヤ改正に関する考察についてお伝えいたします。

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つくばエクスプレスの混雑緩和に向けた改良工事(2012年3月17日取材)(2012年3月28日作成)

■南流山駅ホーム延長工事
南流山駅ホーム延伸の概略図
南流山駅ホーム延伸の概略図 ※クリックで拡大

 南流山駅はJR武蔵野線との乗換駅で、島式ホーム1面2線の地下駅となっています。1日の乗車人員は秋葉原駅、北千住駅に次いで線内第3位の31,200人(2012年4月のデータ)となっており、朝ラッシュ時は激しく混雑します。地下駅である南流山駅では、ホームの拡幅や増設が困難であるため、ホーム両端をそれぞれ2両分(40m)ずつ延伸し、上下線で列車の停止位置をずらすことによりホーム上の混雑を緩和することになりました。
 なお、つくばエクスプレス線は最大10両編成を想定した設計で着工されており、地下駅のうち秋葉原・浅草・六町・南流山・つくばの各駅についても当初は10両分のホーム設置を考慮した設計とされていました。その後、需要予測の見直しにより1996(平成8)年に最大編成を8両、開業から12年程度は6両とする計画に縮小されました。南流山駅についても公には「最大8両対応」とされていますが、当初計画の名残で10両分のホーム設置スペースが確保されており、今回のような「両端に2両分ずつの延伸」が可能になったものと思われます。(ただし、全線の10両化は8両前提で建設された他の駅の構造や電機・信号設備との整合性が確保できないためほぼ不可能であると考えられる。)

7月28日の南流山駅ホーム延伸工事の様子(秋葉原方) 7月28日の南流山駅ホーム延伸工事の様子(つくば方)
7月28日の南流山駅ホーム延伸工事の様子。左が秋葉原方、右がつくば方でともに内装材の設置が進んでいる。
※クリックで拡大

7月28日の時点ではホームの秋葉原方、つくば方ともにホーム床面はすべて完成してホームドアの据え付けも完了しており、線路側のトンネル側壁・天井への化粧材の取り付けが進められていました。列車の停車範囲ではない各線の後2両分はホームドアの戸袋部分に似た形状の壁が設置されています。
 この延伸部分来る10月15日のダイヤ改正から使用を開始する予定ですが、現在のつくばエクスプレス線は全列車が6両編成であるため、現在使用しているホームドアのうち後2両分は不要ということになります。ただし、前回の記事でお伝えした通りつくばエクスプレス線は近い将来8両編成への増車が計画されていることから、不要となったホームドアは将来の増車用に残される、もしくは将来の再設置を考慮した形で撤去される可能性もあり、今後の動向が注目されます。

■車両増備も進行中
2012年に増備されたTX-2000系(2171編成)
2012年に増備されたTX-2000系(2171編成)。2012年7月28日、流山おおたかの森駅で撮影

 10月のダイヤ改正では後述する通り列車の増発も予定されており、これに対応するためTX-2000系が新たに3編成増備される予定となっています。既に第1本目となる2171編成が6月に搬入されており、営業運転も開始しています。最初の製造から8年が経過していることから、今回増備される編成は

●室内灯をLED化し、消費電力を23%削減
●座席クッションを厚くし、座り心地を改善
●車端部窓を開閉可能にし、停電時の換気性能をアップ
●座席下の暖房ヒーターの容量アップ
●乗降ドア開扉中のチャイム鳴動・戸尻ゴムの改良による戸袋への引き込まれ防止
●吊革の高さを5cm低下


といったサービス面・バリアフリー面での改良がなされています。

■10月15日にダイヤ改正を実施



つくばエクスプレス線の1日利用者数の推移
年度1日利用者数実績(人)
2005(平成17)150,700
2006(平成18)195,300
2007(平成19)234,200
2008(平成20)257,600
2009(平成21)270,300
2010(平成22)283,000
2011(平成23)290,000


つくばエクスプレス線の利用者数は2005(平成17)年の開業以来一貫して増加を続けており、2011年度の1日平均利用者数は29万人に達しています。この利用者数は開業時の約2倍に相当しており、平日は朝夕を中心に混雑が激しくなっていることから来る10月15日(月)に増発を中心とするダイヤ改正が実施される予定となっています。ダイヤ改正の内容は以下の通りです。

(1)平日朝ラッシュ時の増発
平日朝のラッシュ時に秋葉原~守谷間で普通列車を3本増発、守谷~つくば間で列車の運行区間延長・種別変更を行い区間快速を2本増発する。この結果、平日朝の最混雑時間帯の1時間当たりの運行本数は北千住駅基準で現在より2本増の22本となる。また、下りも守谷~つくば間で運行区間の延長により1本増発する。

(2)「通勤快速」の新設
平日朝ラッシュ時の上りと夕ラッシュ時の下りに快速に代わ新種別「通勤快速」を新設する。通勤快速の停車駅は秋葉原、新御徒町、浅草、南千住、北千住、六町、八潮、南流山、流山おおたかの森、柏の葉キャンパス、守谷、研究学園、つくばの13駅。通勤快速はさ朝夕それぞれの最混雑時間帯に4本ずつ運行される予定で、通勤快速の運転中は快速の運行は取りやめとなる。

(3)平日夕・夜間帯の増発
下りは17時台に秋葉原発つくば行き区間快速1本を増発、17・18時台の守谷行き普通列車2本をつくばまで延長する。上りは16時台に守谷発秋葉原行き区間快速1本を増発、18・19時台の守谷発秋葉原行き普通・区間快速各1本をつくばまで延長する。

(4)終電延長
秋葉原発つくば行きの最終電車を現行の23時30分発から15分繰り下げた23時45分発とする。

(5)土・休日のパターンダイヤ延長
土・休日は昼間のパターンダイヤ(快速2本・区間快速2本・普通6本)を現行の16時から20時まで延長し、わかりやすいダイヤ構成にするとともに守谷駅での接続を改善する。

この中で特に注目すべき点に値するのは(2)の「『通勤快速』の新設」です。通勤快速の停車駅のうち、北千住以北の停車駅は快速停車駅+六町・八潮・柏の葉キャンパス・研究学園となっており、現行の「区間快速」とも違う構成となっています。これは下の表の通り利用者数の特に多い駅を厳選して抽出したともいえるもので、速達性を維持しつつ平行ダイヤに近づけることで列車ごとの混雑を平準化する狙いがあるものと考えられます。

つくばエクスプレス線の列車種別・停車駅・乗車人員

駅名







乗車人員
(人)
01秋葉原57,590
02新御徒町14,778
03浅草8,363
04南千住4,135
05北千住37,306
06青井5,812
07六町10,621
08八潮14,895
09三郷中央8,708
10南流山29,277
11流山セントラルパーク2,855
12流山おおたかの森29,056
13柏の葉キャンパス12,152
14柏たなか2,854
15守谷22,644
16みらい平3,387
17みどりの2,690
18万博記念公園2,063
19研究学園4,886
20つくば15,638
●:停車駅 レ:通過駅 乗車人員は全て2011年度の数字

信号設備上は2分程度の運行間隔まで対応しているこのつくばエクスプレス線ですが、25本/時以上の増発は運行速度の低下を伴う可能性もあります。今後の利用者数の増加にはこれまで通り増発で対応するのか8両編成への増結で対応するのかその方法が注目されます。

▼参考
10月15日(月)にダイヤ改正を実施いたします。?輸送力を増やし、利便性の向上を図ります? | つくばエクスプレス (PDF版
輸送力増強に向けて車両を増備! 3編成18両(TX-2000系車両)を導入します。 | つくばエクスプレス (PDF版
3編成18両の車両増強と南流山駅ホーム改良計画について |つくばエクスプレス(PDF)
つくばエクスプレスの利用状況について - 流山市
つくばエクスプレス(常磐新線)工事誌 - レールウェイエンジニアリング(鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社監修)2006年

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