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京急蒲田駅高架化完成(その3:大森町・梅屋敷・雑色・糀谷の各駅の模様)
公開日:2012年11月06日22:55

少々間が開いてしまいましたが、10月21日に完成した京急蒲田駅高架化工事の未取材個所の調査が完了しましたので、続きをお送りいたします。3回目の今回は京急蒲田駅と同時に高架化が完成した京急本線の大森町・梅屋敷・雑色と空港線の糀谷の各駅の様子についてお伝えします。(調査日:10月21・27日)
「その1:事業概要・京急蒲田駅周辺・改札口の模様」はこちら
「その2:京急蒲田駅ホーム・記念乗車券について」はこちら
■下り線も高架化された各地点の様子
●大森町駅

大森町駅高架ホーム。奥が今回使用開始となった下り線ホーム(1番線)。
※クリックで拡大(800*600px/105KB)
今回高架化された区間のうち、京急蒲田駅以外の駅はすべて対向式ホーム2面2線の棒線駅(停留場)で下り線が1番線、上り線が2番線となっています。大森町駅の下り線ホームは階段1箇所・エスカレータ2機(上下1機ずつ)・エレベータ1機全ての使用を開始しています。また、ホーム上には上り線と同様エアコン付きの待合室が設置されています。



上段:地上改札内通路の1番線・2番線分岐地点。右奥へ進むと下り1番線へ向かうエレベータ・エスカレータがある。
下段左:左の階段を上がると奥に下り線ホームへ向かう階段がある。
下段右:右奥の突き当たりにある下り線ホームへ向かうエスカレータ。
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大森町駅は現時点では下り線高架化前に使用していた上り線側地上の改札口をそのまま使用しています。下り線ホームへ上がるエスカレータ・エレベータへの通路は、従来からある上り線ホームへ向かう階段・エスカレータ・エレベータの入口付近から地上の線路跡を横切って新設されており、地上下り線ホームは床の一部が分断されています。下り線ホームのエスカレータ・エレベータはいずれも壁など内装の一部が完成しており、今後周囲の仕上げを行って完成となる模様です。(従って、完成時の改札口は地上に置かれることになる。)また、下り線ホームへ向かう階段は、上り線ホームへ通じる階段途中(中2階相当の踊り場)からやはり地上の線路を跡を横切る形で分岐しています。
●梅屋敷駅


左:梅屋敷駅の高架ホーム。奥が今回使用開始となった下り線ホーム(1番線)。
右:下り線は梅屋敷駅を出ると京急蒲田駅3階へ向けて急勾配で上昇する。
※クリックで拡大(左は800*600px/103KB)
梅屋敷駅は2010(平成22)年5月の上り線高架化時から今年5月まで、下り線の線路上に仮設の床面を設置して下り線ホームを暫定的に上り線ホームとして使用していました。ホーム上の設備は案内板の一部が交換された以外はその時のままとなっており、階段・エスカレータ・エレベータの数量も大森町駅と同様となっています。
地上時代の梅屋敷駅はホームの長さが4両分しかなかったため、6両編成の列車は横浜寄りの2両のドアを締め切りにしていました。高架化されたホームは上下線とも6両分の長さが確保されており、この扱いも解消されました。梅屋敷駅と隣の京急蒲田駅の間は800mしかないため、下り線はホームを出た直後から3階へ向けて急勾配で上昇を開始します。



左:エスカレータ・階段は中2階までしか完成していない。
中:下り線ホームと改札口をつなぐ通路は地上下り線ホームを流用している。
右:駅の外から閉鎖された下り線を見る。ホーム上に通路が設置されているのがわかる。
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下り線ホームの階段・エスカレータは上り線ホームとして暫定使用されていた当時と同じく中2階止まりとなっており、そこから先は一旦駅の外に設置された仮設の階段を経由して地上に降りる構造となっています。地上の改札口は品川寄りに設置されており、階段から改札口の間の通路は地上ホームの一部を流用して設置されています。


左:梅屋敷駅下り線改札口
右:踏切は線路側にバリケードが設置されている。
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梅屋敷駅は今年5月の上り線ホーム完成以降改札口上下線で独立した構造となっており、下り線が高架化された現在も地上の線路の撤去が完了していないため、そのままの状態となっています。地上の線路跡は高架から1週間後の10月28日の時点で架線が取り外されており、まもなく軌道や信号設備の撤去に入るものと思われます。改札口の統合はこれら設備の撤去が一通り完了した後実施されるものと思われます。
●雑色駅

雑色駅高架ホーム。奥が下り線ホーム(1番線)。
※クリックで拡大(800*600px/99KB)
雑色駅は最終的に階段・エスカレータ・エレベータの数量が大森町駅・梅屋敷駅と同様になる予定ですが、現時点では下り線ホームのエスカレータが未完成となっています。2010年の上り線高架化時も同様に高架化直後はエスカレータが完成しておらず、地上の駅設備の撤去が終わった同年12月に遅れて使用を開始したことから、下り線ホームについても同様の方法が取られるものと思われます。


左:下り線ホーム品川寄りのエスカレータはまだ完成していない。
右:下り線ホームへ向かう通路は上り線の階段付近から地上の線路跡を横切って設置された。
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下り線高架化に伴い、雑色駅は改札口が上り線側の1箇所に統合されました。改札口からホームへ向かう通路は、大森町駅と同様に以前からある上り線ホームへ上がる階段・エスカレータ付近から、地上の線路跡を横切る形で設置されました。これに伴い地上の旧下り線ホームは床面の一部が分断されています。
●糀谷駅

糀谷駅の高架ホーム。手前が上り線(横浜・品川方面行き)ホーム(2番線)、奥が下り線(羽田空港行き)ホーム(1番線)。
※クリックで拡大(800*600px/104KB)
糀谷駅は2010年5月の上り線高架化完成以来、下り線(1番線)の線路上に仮設の床面を設置して下り線ホームを暫定的に上り線ホームとして使用してきました。これは京急蒲田駅で空港線から横浜方面・品川方面両方向に直通できるよう京急蒲田~大鳥居間が単線並列※となっており、2本ある線路の走行方向が一定しておらずホームごとに改札口を分離できなかったため、地上のホームと位置を合わせるための措置でした。
下り線高架化に先立つ今年10月7日(日)からは下り線の使用開始に向けた準備を行うため、上り線ホーム直下に仮設の改札口が設置して上り線(2番線)ホームの使用を開始し、一時的に両ホームで改札口が分離されました。そして10月21日の下り線高架化により本来の形での使用が開始されました。同時に、単線並列区間が糀谷駅の手前までに短縮※されたため、線路ごとの走行方向も固定されました。
10月7日から使用を開始した上り線ホームは大森町駅などと同様階段1箇所・エスカレータ2機・エレベータ1機が設置されています。ホームの幅が狭いため、エスカレータは2機を並べて設置できず、ホーム中央付近と羽田空港寄りに分かれて設置されています。一方、下り線ホームはこれらの設備はすべて未完成となっており、ホームの外側に仮設階段とエレベータを1箇所ずつ設置しています。
▼脚注
※下り線高架化前は京急蒲田~大鳥居間の上下線が2層に分かれており、品川方面・横浜方面の転線ができなかったため、やむを得ず糀谷~大鳥居間にシーサスクロッシングを置き、京急蒲田~大鳥居間を単線並列としていた。高架化完成後は京急蒲田駅の直前まで上下線が同一階層となるため、前記したシーサスをここに移設し、単線並列の区間を短縮した。詳細は2010年5月の上り線高架化時の「その2」の記事にある「空港線~本線を直通する列車の走行経路」の項を参照。また、下り線高架化後の走行ルートは次回の「その4」の記事でも解説予定。



左:上り線ホーム直下の改札内通路。将来はこの付近に改札口が移転するようだ。
中:通路の分岐点。左に進むと上り2番線、右に進むと下り1番線ホーム。
右:上り線ホームへ向かう通路は地上の旧下り線・仮設改札口通路を横切って設置された。
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高架化にあわせて駅構内は地上の線路を横断する形で上り線ホームと下り線側の改札口をつなぐ通路が設置されたため、上り線側の仮設改札口はわずか2週間で閉鎖されました。上り線ホーム高架下のエスカレータ・エレベータの乗り場付近は今回取り上げたほかの3駅とは異なり、内装がかなり完成に近い形となっています。改札口に向かう通路の途中の床には自動改札機を取り付けるためと思われる穴が設置されていたり、脇の壁に巨大なシャッターが設置されていることから、将来的にはこの付近に改札口が移転するものと思われます。


左:わずか2週間で閉鎖された上り線ホーム専用改札口。
右:閉鎖された地上の下り線跡と現在使用中の駅舎。
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前記したとおり、今回の下り線高架化に伴い空港線を中心に列車の走行経路が若干変化しています。次の「その4」の記事では高架化工事区間両端の切替地点の模様に加え、これら列車の走行経路について図を交えながら解説する予定です。
「その4:切替地点の模様・走行経路図解」の記事へ→
▼参考
大田区ホームページ:京浜急行線の連続立体交差事業と関連する街路事業
京急本線・空港線を10月に全線高架化|東京都
京急蒲田駅付近の上下線が全線高架化します! - 京急電鉄ニュースリリース(PDF/911KB)
品川⇔羽田国際線12分! 10月21日(日)ダイヤ改正で,羽田へ都心方面からも さらに速く - 京急電鉄ニュースリリース(PDF/830KB)
京急沿線情報満載!京急まちWeb
→各駅の構内図・時刻表などはこちら
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