東横線旧渋谷駅跡イベント“TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park”
公開日:2013年04月21日18:01

東急東横線・東京メトロ副都心線直通開始に伴い、東横線の旧渋谷駅(地上)は廃止となりました。この廃止後のホームは再開発が始まる5月までイベントスペースとして利用されます。直通開始1週間後の3月22日(土)~24日(日)の3日間、早速このイベントスペースを利用し、長年の利用に対する謝恩イベント「TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park」というイベントが開催されました。初日にこのイベントを訪問してまいりましたのでその模様をお伝えいたします。
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東横線・副都心線直通開始(1)渋谷地上駅最終日・代官山駅工事
東横線・副都心線直通開始(2)渋谷ヒカリエ前夜祭・直通運転開始
東横線渋谷地上駅跡はイベントスペース「SHIBUYA ekiato」に

現役当時の東横線渋谷駅。2012年9月16日撮影
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2013年3月16日(土)より東急東横線は東京メトロ副都心線との相互直通運転を開始しました。これに伴い、東横線は渋谷~代官山間が地下化され、地上の渋谷駅は廃止となり、2008年に副都心線の駅として開業済みの地下駅を新たな都心側のターミナルとして使用しています。
廃止となった地上の駅は1927(昭和2)年の東京横浜電鉄渋谷~丸子多摩川(現・多摩川)間開業時に開設されたもので、これまで太平洋戦争、高度経済成長による利用者の激増などによる幾度の改変を受けながら85年間にわたり使用されてきました。現在の4面4線のホームになったのは東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年のことで、ホーム終端側3分の2には特徴的な11連の半円形(かまぼこ形)断面の屋根が設置されたのもこの時です。地上駅の跡地は今後十数年かけて行われる渋谷駅全体の再開発に伴い解体され、地上46階、高さ230mの高層ビルの建設やJR埼京線ホームの移設用地として活用される計画となっています。
地上駅の解体工事は今年夏以降に行われることになっており、5月のゴールデンウィークまでは線路跡にホームと同じ高さの床面を設置し、イベントスペースとして利用されています。イベントスペースは「SHIBUYA ekiato(シブヤ エキアト)」という実に単純な名称が与えられており、特徴的なかまぼこ形屋根と側壁をイメージしたロゴマークも制定されています。
謝恩イベント「TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park」
廃止から1週間後の3月22日(金)・23日(土)・24日(日)の3日は早速この「SHIBUYA ekiato(シブヤ エキアト)」を利用して、長年の東横線渋谷駅の利用に対する謝恩イベント「TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park」が開催されました。このイベントはその名の通り東横線渋谷駅の跡地を都市公園に見立てて、駅構内を見学、会場中央に設置されたステージでのライブイベント、東横線や渋谷駅に関連するグッズ販売などを行うというものでした。開場時間は22日が12:00~21:00、23日が10:00~21:00、24日が10:00~18:00となっており、その立地条件を生かし平日である初日も仕事帰りなどに立ち寄ることも可能な時間設定となっていました。また、入場料は東横線渋谷駅として営業していた当時と同じ120円(小学生以下無料)で、写真入りの特製の入場券も用意されました。


左:「TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park」入口。
右:イベントの入場券(半券)
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会場入口は2階の正面改札口跡1箇所となっており、自動改札機をすべて撤去した上で金属製の枠が設置され、「SHIBUYA Station Park」のロゴマークが掲出されました。ロゴマークはイベントスペースのものと同様にかまぼこ型の屋根と東口ロータリー側の側壁をイメージしたデザインとなっていました。1階南口改札口はバリケードで封鎖されていましたが、トイレがあるため会場中央の階段を通じて入ることができました。


会場入口付近に展示された現在の渋谷駅のジオラマ(左)と昭和30年代の渋谷駅のジオラマ(右)
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会場を入ってすぐのところには1週間前の渋谷ヒカリエのイベントでも展示された現在の渋谷駅のジオラマに加え、かまぼこ型の屋根が完成した昭和30年代の渋谷駅のジオラマが展示されました。昭和30年代のジオラマには東口ロータリーに発着する都電、東急5000系電車(初代)、東急文化会館(現・渋谷ヒカリエ)、建設中の首都高速など当時の情景が精巧に再現されていました。



「TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park」の会場内の様子
(右下の写真と同じ場所の2013年3月10日の様子)
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駅構内は線路部分に仮設の床面を設置して完全な平面とした上で、全面に緑色の人工芝が敷かれました。天井の架線・信号設備・照明・広告などは1週間前の状態そのままとなっており、「85年分のありがとう。東横線渋谷駅」の垂れ幕もそのまま展示物として残されていました。


左:車止め近傍は床面は設置されなかった
右:その近傍に展示されたプラレールの巨大レイアウト
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線路部分のうち、車止め近傍の部分は標識などがあるため床面は設置されず、東急ハンズの出張イベントとして東急線キャラクター「のるるん」のキーホルダー製作コーナーとプラレールの巨大レイアウトの展示が行われました。プラレールのレイアウトには3月に発売された東急5050系が走行しており、会場内のグッズ販売コーナーで購入することもできました。

4番線側の側壁に掲出された3月15~16日の渋谷駅周辺の写真
旧4番線側の側壁は広告がすべて撤去され、代わりに3月15~16日に渋谷駅内外の風景と代官山駅の切替工事の模様を撮影した写真が時系列順に掲出されました。これらの写真は東急電鉄の公式Facebookページなどでも紹介されていますので、ご興味のある方はご覧ください。
▼参考
東急電鉄 Tokyu Corporation - Facebookページ

会場中央のステージで行われた向谷実とチャージ&バックスフライデージャズナイトライブ
会場中央にはステージが設置されており、3日間とも東横線渋谷駅の写真集「DREAM TERMINAL」の撮影を担当した中井精也氏のトークショーや音楽界きっての鉄道ファンとして知られる向谷実氏プロデュースのライブイベントが開催されました。
中井精也氏のトークショーは「DREAM TERMINAL」に掲載されている写真のいくつかを抜粋しながら、撮影をした当時の状況の解説や写真に込められた思いなどが詳しく語られました。なお、写真集「DREAM TERMINAL」は会場内のグッズ販売ブースでも購入することができました。
向谷実氏のライブは各日とも1時間のプログラムで、22日(金)と23日(土)はニコニコ生放送でもおなじみバンド「チャージ&バックス」との共演によるジャズなどの演奏、24日(土)は音楽グループ「SUPER BELL"Z(スーパーベルズ)」がパーソナリティを勤めるココログのインターネットラジオ「鉄音アワー」のスピンオフ企画として、SUPER BELL"Zと向谷実氏のコラボライブが行われました。向谷実氏は学生時代に東横線を利用するなど東横線に造詣の深い人物で、自身が社長を勤めるゲームソフト会社「音楽館」で東横線の運転シミュレーションゲームを発売したことがあるほか、東急電鉄の乗務員訓練施設のシミュレータの製作にも携わっています。ライブの最中には東横線のATC(自動列車制御装置)に関する解説が飛び出すなど、その知識を生かしたマニアックなトークも展開されました。
なお、23日(土)のライブはニコニコ生放送でインターネット配信が行われました。現在もタイムシフト事前登録不要・視聴回数無制限でご覧いただけますので、IDをお持ちの方は上記リンクよりどうぞお楽しみください。


左:再び渋谷に登場した「のるるん」着ぐるみ
右:ホームの横浜方は「バラスと詰め放題」参加者のみ立ち入り可能(訪問した日は終了済み)
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会場入口付近では1週間前の渋谷ヒカリエのイベントに続いて東急線キャラクター「のるるん」の着ぐるみが登場し、撮影タイムが設けられました。また、今回訪問時はすでに受付終了となっていましたが、体験企画としてホームの横浜方の線路に降りて線路に敷かれている砂利(バラスト)を特製の巾着に詰めて持ち帰ることができる企画もありました。この「バラスト詰め放題」は参加費500円で、各日とも先着1000名限定で参加することができました。


左:会場出口付近に掲出された渋谷駅の写真の数々
右:会場出口と「のるるん」モニュメント
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会場出口の天井部分は自動改札機の通行可否を示す表示番が塞がれ、代わりに「長らく東横線渋谷駅をご利用いただきまして誠にありがとうございました。」のメッセージが掲げられていました。通路脇には壁一面に渡り「さよなら、東横線 渋谷駅。そこには行き交う列車だけでなく、たくさんの夢がありました。」のメッセージとともに現役当時に撮影された多数の写真が飾られました。この写真も「DREAM TERMINAL」に収録されています。また、その対面には昨年9月から渋谷駅構内を見守り続けてきた「のるるん」のモニュメントがわずかに位置を変えて鎮座していました。現役当時の「のるるん」像は中に入って口から顔を出したりすることができましたが、今回のイベント時は設置されていた有人窓口部分が封鎖されてしまったため、中に入ることはできませんでした。

「のるるん」モニュメントの脇で敬礼する毛内定夫・渋谷駅長
今回のイベントでは東横線渋谷地上駅の毛内定夫駅長も頻繁に登場し、記念撮影を行っていました。毛内氏は1976(昭和51)年に東急電鉄に入社後、大井町駅駅員、東横線車掌を経て、池上線運転士を13年間に渡り務め、その後は駅係員の教育施設を立ち上げ指導員となった後、2004年からはみなとみらい線みなとみらい駅の助役として同線の開業準備に携わりました。そして2011年からは東横線渋谷駅に配属となり、去る3月15日の営業終了まで駅長を務めるなど、まさに東急電鉄、東横線を知り尽くした男とも呼べる人物です。東横線渋谷駅の営業終了にあたっては通常の業務に加え、他の社員とともにイベントの企画などにも関わり、85年の歴史のエンディングを飾る立役者にもなりました。記念撮影に応じる毛内駅長の顔には東横線渋谷駅最後の駅長としての任務を全うしたことに対する自信と誇り、そして安心感が満ち溢れているように感じられました。
毛内駅長をはじめ、東横線渋谷駅から最後の列車が出るその瞬間まで安全運行を守り抜いた社員の皆様には感謝と敬意を表します。
今回の記事を以って東横線・副都心線直通前後のイベントに関するレポートは一区切りとなります。今後は5~6月中を目途に直通開始後の各社の新しい列車の運行パターンや施設について調査を行う予定です。また、渋谷駅の再開発についてはカテゴリを分離してお届けする予定です。
▼参考
SHIBUYA ekiato
3月22日~24日、旧・東横線渋谷駅で3日間限りの謝恩イベントを開催します(2013/3/8)|ニュースリース|東急電鉄
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