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【速報】東北縦貫線(上野東京ライン)初試運転!
公開日:2014年07月29日23:18

7月29日未明、東北縦貫線(上野東京ライン)の東京~上野間の新線区間において、完成後初となる電車列車を使用した試験走行が実施されました。今回この試運転の様子を捉えることに成功しましたので、完成した信号設備や沿線での環境測定などの様子とともに速報としてお伝えします。
なお、東北縦貫線の概要については以下の記事並びに本記事が格納されているカテゴリページ等をご覧ください。
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信号設備が全て完成!
試運転の開始に先立ち、7月中旬には東京~上野間で設置が進められていた信号設備の封印が解除され、全ての信号機に電源が入りました。同時に区間内に多数存在する急カーブ区間に速度制限標識が設置されています。以下、東京駅、秋葉原駅付近、上野駅の様子です。
●東京駅

東京駅ホーム端から上野方面を見る
東京駅東海道線ホーム7~10番線の上野方は2012年末~2013年夏頃にかけて、相次いで東北縦貫線用の出発信号機が設置されました。これまで東京駅の上野方は東海道線の引上線として使用されており、駅構内扱いであったことから、新設された色灯式信号機は機能が封印されており、入換信号機のみでの制御となっていました。7月中旬には色灯式信号機の白い×印が描かれた蓋が取り外され、本線として正式に使用可能な状態になりました。


左(1):7番線中央に新設された第三場内信号機も使用開始
右(2):10番線の第三場内信号機も使用開始
東北縦貫線の乗り入れにより列車の運行本数が増えることが予想されるため、7番線と10番線ではホーム中間にも場内信号機(第三場内信号機)を増設しています。こちらについても7月中旬より封印が解除され、使用を開始しています。



左(1):既存のレピーターには「東海道」の識別標識が新設
中(2):新設された縦貫線用のレピーターは「東北」の標識が併設
右(3):非常停止ボタンの動作表示灯は両方向から見える形に置き換えられた
この他にホーム上では駅員や車掌が使用する出発反応標識(レピーター)や非常停止ボタンの動作表示灯が増設されています。
出発反応標識はホーム中間や後部に設置され、ホーム先頭にある出発信号機が開通している場合に点灯して、駅員や車掌に発車の可否を伝えるものです。上野方の本線が開通したことにより、ホーム上には新たに東北縦貫線用の出発反応標識が増設されており、混同を避けるため東海道線用は「東海道(オレンジ色)」、東北縦貫線用は「東北(緑色)」の識別標識が併設されています。
非常ボタンの動作表示灯はひし形の標識で、ホームから乗客が転落した場合等で非常ボタンが押された場合に大音響のブザーとともに中心部に設置された赤いランプが2個点滅するものです。上野方にも出発が可能になったことから、一部の標識が上野方・品川方双方から見ることができるよう背中合わせで2個設置される形に置き換えられました。右の写真で隣に見えるビニールに包まれた物体は片方向のみに設置された古い標識で、今後は撤去されます。
●秋葉原駅付近


左(1):秋葉原駅脇に設置された下り線中継信号機と速度制限標識。
右(2):ほぼ同じ場所に設置されている上り線の第2閉塞信号機と速度制限標識。
東京~上野間の新線区間の信号機も7月中旬より電源が投入され、使用可能な状態になりました。東京~御徒町間については途中に分岐や駅が無く、15両編成での運転が前提であることから、中央線のような極端に短い閉塞区間は無く、概ね500m~1kmに1箇所閉塞信号機が設置されるという割り振りになっています。途中交差する構造物やカーブにより見通しが悪い箇所が多く存在するため、中継信号機も多く見られます。

秋葉原駅ホーム端から上野方面を見る。やはり急カーブが続く。
信号機の使用開始に合わせて速度制限標識も設置されました。東北縦貫線の線路は京浜東北線と新幹線に挟まれた空きスペースを縫うように線路が敷設されていることや、重層高架部分は両端に35パーミルの急勾配があることから、65~90km/hの速度制限が連続しており、郊外線のような高速走行は基本的に不可能となっています。
●上野駅


左(1):上野駅6~9番線の東京方。こちらも出発信号機の封印が解除された。
右(2):ホームの先はポイントや急カーブが連続するため低速での走行を強いられる。
上野駅でも2013年夏頃に6~9番線東京方のホーム端に出発信号機が新設されました。今年春頃からは信号機本体の電源が投入され、封印を示す白い×印が描かれたプレートの裏で停止現示を示す赤いランプが点灯していました。こちら側の信号機についても7月中旬に封印が解除され、正式に使用開始となりました。
ホームの先の線路は秋葉原駅付近にある留置線の入出庫線として以前から使用されていますが、今回東北縦貫線の本線になることから、速度制限標識が増設されています。本線への格上げに際してレールの重量化やまくらぎの強化などの軌道改良が行われていますが、線形は入出庫線時代と全く変わっておらず、7~9番線の先はポイントや急カーブが連続することから、低速での走行を強いられます。


左(1):5番線東京方の第四場内信号機
右(2):5番線ホーム中央にある第五場内信号機とその先にある出発信号機
5番線は他の線路からは独立しており、東京方の出発信号機は設置されず、代わりにその場所にはホームに進入する際使用する第四場内信号機が設置されています。また、ホーム中間には同じ方向で第五場内信号機が設置されており、東北縦貫線側から見た場合この線路は下り専用となっています。第四場内・第五場内も他の信号機と同様に封印が解除され、使用開始となっています。5番線の先にある常磐線用の出発信号機は現在も使用停止のままとなっていますが、今後常磐線側からの乗り入れ試運転開始に合わせて使用開始になるものとみられます。
深夜に行われた初試運転


左(1):東京~神田間で交差する外堀通り。中央分離帯の一部を占用して騒音測定が行われた。
右(2):高架下で騒音測定中の作業員。三脚の上にあるのが測定用マイク。
そして昨晩(7月29日(火))未明、ついに東京~上野間の新線区間で初となる営業用の電車列車を使用した試運転が実施されました。この試運転は信号機の動作確認等加え、列車走行時の高架橋周辺での騒音測定もチェック項目に入っていた模様で、試運転の実施時間中は高架下を交差する道路の一部が通行止めになり、マイクやノートパソコンを持った作業員が多数待機していました。

靖国通りの淡路町交差点付近の歩道橋から見た試運転列車通過中の様子。縦貫線の高高架橋の上をオレンジ色のLEDが点々と過ぎ去っていく。
※クリックで拡大(800×600px/67.3KB)
試運転に使用されたのは、今後東北縦貫線での運用が予定されているE231系1000番台15両編成でした。深夜の試運転であったことから、沿線への光害を防止するためなのか、室内灯は全て消灯した状態で走行しており、高架橋の外から試運転の様子を確認するのは非常に困難でした。写真は以前昼の風景をお伝えした靖国通りの淡路町交差点付近の歩道橋から見た試運転列車通過の様子で、E231系側面のオレンジ色の行先表示器が点々と過ぎ去っていく様子が辛うじて確認できるといった状況でした。試運転はおおむね30分~1時間に1回のペースで実施されましたが、上下線で本数が均等ではなく、上り線は1回のみの運行でした。初回の運転は慎重を期して25km/h前後の徐行運転となっていましたが、その後は試運転の目的が騒音測定ということもあり、実運行に近い速度(60~70km/h)での走行となりました。

昨年11月の昼に撮影した同じ場所の様子との比較。確かに縦貫線の高架橋上を電車が走行していることが分かる。
※クリックで拡大(1200×448px/100KB)
昨年11月24日の昼に撮影した同じ場所からの風景との比較です。下から3段目の高架橋が東北縦貫線用で、確かにこの高さを電車が通過していることが確認できます。静止画ではわかりづらいという方のために動画も用意しました。(恐らくこれが一番わかりやすいと思います。)
東北縦貫線(上野東京ライン)初試運転(2014年7月29日未明) - YouTube 音量注意
前回の記事でも触れたとおり、この東北縦貫線は今年3月のダイヤ改正時より昼間の試運転も考慮した形で上野駅や東京駅の発着番線の設定がなされており、今後は昼間も試運転を行う可能性があります。また、現在も未発表となっている常磐線に関しても今後どの車両を使って試運転が実施されるのかなど注目される点が多くあります。今後も引き続き調査を継続する予定です。
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