イオンモール幕張新都心「SL博物館」

千葉県千葉市にある大型ショッピングモール「イオンモール幕張新都心」で、8月末まで段ボールで造られた蒸気機関車D51形の実寸大模型の展示が行われています。地元での開催ということで出かけてまいりましたので、ショートレポートとしてご紹介したいと思います。
■長崎県から全国を走ってきたD51実寸大模型
今回展示されている蒸気機関車D51の実寸大模型を製作したのは、長崎県南島原市に在住の
実寸大模型の素材となったのは段ボールです。段ボールは島さんが手伝いをしていた野菜の通信販売の事業の過程で廃棄される梱包材を再利用したもので、この縁もあって実寸大模型の製作作業は地元南島原市の方々から多くの支援を受けることができたとのことです。 制作作業はまず蒸気機関車の図面を起こすところから始まります。モデルとなったのは東京都北区の飛鳥山公園にあるD51形853号機や全国各地に保存されている同形の蒸気機関車で、2010(平成22)年から2年間で合計約3000枚に及ぶ膨大なスケッチを作り、そこから手作業で図面を起こして行きました。

今回の模型の元になった飛鳥山公園にあるD51形853号機。2008年3月29日撮影
こうして準備が整い、2013(平成25)年3月よりついに実寸大模型現物の制作に着手しました。そしてその年の末、精巧に再現されたD51形の段ボール製実寸大模型が完成しました。使用された段ボール箱は4000箱、総重量は1.8トンという文字通り超大作です。車号は「D51形1162号機」※とされています。
できあがった実寸大模型は2014(平成26)年5月の長崎県東彼杵町総合文化ホールを皮切りに、福岡、山口、奈良、大阪、新潟とこれまで10回に渡り巡回展示が実施され、その様子は新聞・雑誌等でも話題となりました。そして今回、千葉県のイオンモール幕張新都心へとやってきたわけです。
▼脚注
※この車号は太平洋戦争中台湾向けに作られた車両として実在した。ただ、その車両と関連付ける意味合いで付与されたのかは不明。
■メイキングも全て公開
イオンモール幕張新都心の展示は「SL博物館」のタイトルで8月25日(火)から31日(月)までの1週間が予定されています。場所はイオンモール幕張新都心の一番南東側の建物である「グランドモール」中央の吹き抜け1階です。模型の組み立て・解体作業は、近隣にある千葉工業大学の学生の協力の下実施されています。組み立て作業は25・26日の2日間、解体作業は31日に予定されており、いずれもショッピングモールの営業時間中に公開状態で実施されます。




イオンモール幕張新都心でのメイキングシーン。段ボール箱には「ばれいしょ」などの文字があり、廃材利用であることがわかる。
まずは25日夕方に訪れた際行われていた組み立て作業の模様です。完成状態では隠れてしまっている部品もこの時点では床に並べられており、箱の表面には「ばれいしょ」など野菜が梱包されていたことを示すロゴが描かれているのが確認できました。また、ボイラー部分は一部側面が開いた状態になっており、内部には頑丈な骨組みが組まれているのも見えました。




その後予定通り組み立て作業は完了し、30日(日)までの予定でこの状態で展示が行われています。展示に際しては「千葉工業大学×イオンモール幕張新都心」のヘッドマークも制作されています。ボイラー本体だけではなく、足回りのシリンダ、板ばね、ボルトなど細部まで極めて精巧に再現されている点も注目です。

運転席わきにある銘板。完成場所である「長崎」、完成年である「平成26年」の文字が描かれている。
■2両目の制作にも着手

次の「停車駅」は如何に?
この蒸気機関車の実寸大模型制作プロジェクトですが、現在2両目の制作にも着手されているとのことです。2両目のモデルとなったのはC62形1号機で、山口県下松市の日立製作所笠戸工場に保存されていた図面を元にした完全復刻原寸大模型になります。この制作作業に専念すること、また島さんが66歳とご高齢で長期間・頻繁に遠方へ出向くことが難しいこともあり、現在幕張で展示中のD51形の定期的な巡回展示は今回をもって一区切りとなる予定です。今後はC62が完成次第、重連での展示なども構想されているようです。幕張では残り数日の展示ですので、お近くの方はぜひお見逃しのないよう。
▼参考
D51 蒸気機関車 原寸ダンボール模型を作る(プロジェクト公式サイト)
煙を上げて走り出しそう!段ボール製のSL「D51」:日本経済新聞(2015年3月29日)
イオンモール幕張新都心公式ホームページ

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