カテゴリ:遠征旅行記
九州旅行2010その1:鹿児島県の自然
公開日:2010年04月22日23:04

出発地である羽田空港第1ターミナル出発ロビー。
去る2010年3月8日から3泊4日の行程で大学の研究室の総勢14名で九州を縦断する旅行に行ってまいりました。ここでは5回(予定)にわけてそのレポートをお送りしたいと思います。1回目の今回は1日目に周った鹿児島県内の自然に関する内容を中心にお送りしたいと思います。
■今回の旅行の行程
本題の前に今回の旅行の行程について簡単に解説します。今回の旅行は大人数だったため、宿泊地のみを統一し、その間は数人ずつに分かれて行動するという方法をとりました。以下に示すのは自分がいた班についてのものです。
●1日目(3月8日)
羽田空港を10時半の飛行機で出発し、鹿児島空港に12時過ぎに到着しました。その後、空港のそばでレンタカーを借り、高速道路(九州自動車道)・一般道を利用して鹿児島県内を南下。途中知覧町にある知覧特攻平和記念会館や指宿市の池田湖などを周り、宿泊先である指宿温泉の「指宿シーサイドホテル」へ向かいました。
●2日目(3月9日)
高速道路(九州自動車道・長崎自動車道)で九州を長崎県まで北上しました。途中、佐世保市内へ立ち寄り、名物の佐世保バーガーを昼食にしました。宿泊先は長崎市街の西側の高台にある「長崎ホテル清風」でした。
●3日目(3月10日)
午前中は長崎市内の平和公園・原爆資料館を見学の後、旅行会社からもらったクーポンを利用して名物の長崎ちゃんぽんを昼食にしました。その後は高速道路(長崎自動車道・九州自動車道・福岡都市高速)を利用して福岡市内へ向かいました。宿泊先は博多駅に近いビジネスホテル「博多エクセルホテル東急」でした。夜は名物の屋台ラーメンやもつ鍋を食しました。
●4日目(3月11日)
昼頃に福岡空港へ向かい、お土産の購入などをした後16時過ぎの飛行機で羽田空港へ戻りました。
今回の旅行はあいにく天候に全く恵まれず(3日目は季節外れの雪となり、我々が通過した直後に高速道路が通行止めになった)、九州の醍醐味である火山などの自然を十分に堪能することはできませんでした。この記事に関しては鹿児島空港から指宿まで南下する途中で撮影した写真の中から辛うじてお見せできるものを選んで掲載しています。
■桜島

鹿児島湾を挟んだ反対側(国道10号線姶良市付近)から見た桜島
※クリックで拡大(800×334px)
まずは鹿児島空港から南下する途中で桜島を見物しました。
桜島は錦江湾(鹿児島湾)の北部の海中からそびえる標高1117mの火山です。この桜島は北岳・中岳・南岳の3峰からなっておりこのうち南岳が現在も活発に噴火活動を行っています。特に1471~1476年の「文明」、1779年の「安永」、1914年の「大正」、1946年の「昭和」の各噴火は規模が大きく、山腹に噴火口を形成しそこから大量の溶岩を流しています。かつて桜島はその名の通り錦江湾内にある完全な島でしたが、大正噴火の際大量に噴出した溶岩が海まで達した結果、現在は大隈半島と陸続きになっています。また、鹿児島県の県庁所在地である鹿児島市の市街地はこの桜島と海を挟んだ対岸に位置しており、これまで日夜大量に降り注ぐ火山灰や爆発の際生じる空振(衝撃波)によりさまざまな被害が出ています。(鹿児島市内に本社がある南日本新聞ではリアルタイムで桜島の風向きを発表しています。これはこれから降灰がある風下側の地域に注意を促すためです。)ちなみに、上の写真で山の右側に灰色に見える部分は雲ではなく火山灰です。(走行中の車にも降ってきました。)
大きな地図で見る桜島と姶良カルデラ(Googleマップ)
太平洋から始まり、鹿児島県を東西に分割する錦江湾は桜島よりもさらに北側に続いています。この桜島より北側の金港湾は実は「姶良カルデラ」と呼ばれる巨大なカルデラなのです。この姶良カルデラの主要な部分は約2万5千年前の大噴火で形成されたもの推定されており、噴出物の総体積は300立方キロメートル(1991年の雲仙普賢岳(長崎県)の噴火における噴出物のおよそ3千倍)に上ります。このとき噴出した入戸火砕流は九州南部をすべて焼き払い、分厚いシラス台地を形成しました。また、大量の火山灰は遠く関東地方まで飛散し、「姶良Tn火山灰」として地質学・考古学などにとって重要な鍵層となっています。
桜島は地質学的に見ればこの巨大な姶良カルデラの縁に生じた小さな噴出口の1つに過ぎないわけです。(この他カルデラ北部の海中にも「若尊(わかみこ)」と呼ばれる噴気口があり、海面に泡が湧出する現象(地元では「たぎり」と呼ばれる)が観測されています。)姶良カルデラは現在も地下に大量のマグマを蓄えており、その証拠に姶良カルデラ周辺ではGPSの観測により1993年以降地盤の隆起(=マグマ溜まりの膨張)傾向が明らかになっています。このマグマの蓄積もそろそろ限界に達している模様で、今年の桜島の爆発回数はすでに400回を越え、爆発回数が年間548回と観測史上最多だった昨年を大幅に上回るペースで噴火が続くなど桜島直下へマグマが移動する前兆が現れつつあります。このため、近い将来大噴火が発生することが危惧されており、国や自治体では観測体制の大幅な強化など対策に乗り出しています。
■池田湖・開門岳

池田湖(7枚合成)。左端の湖に向かって突き出している部分は鍋島岳(4300年前に形成された溶岩ドーム)
※クリックで拡大(1400×227px)
池田湖・開門岳は鹿児島県の南端の指宿市にあります。いずれも桜島と同様「阿多カルデラ」と呼ばれる巨大なカルデラの内部に位置しています。池田湖は5700年前に形成された火口湖で、その後東へ向かって噴火が繰り返され巨大な噴火口がいくつも形成されました。池田湖の隣にある鰻池や錦港湾へ向けて開いている山川湾、池底、成川などの窪地はすべてこれら一連の噴火で形成されたものです。また、開聞岳は4000年前から噴火活動を開始した独立峰で、こちらは平安時代の874年と885年に噴火し溶岩を流出しています。(この他、2000年には山頂の岩穴数箇所から噴気が上がるのが観測されています。)
指宿市はこのように火山活動が活発な場所の中心にあるため多数の温泉が湧いており、指宿温泉として全国にその名が知られています。ここでは錦江湾に面した海岸線でも温泉が湧いており、砂浜に寝転んで体の上に砂を載せて温まる「砂蒸し風呂」が名物となっています。また、豊富に存在する高温の地下水を利用した地熱発電も行われています。(九州電力の山川発電所。)
ちなみに、池田湖には1970年代から巨大生物が生息しているとの噂がたつようになり、これまでいくつかの「目撃証言」なるものも明らかになっています。この謎の巨大生物はイギリスのネス湖で同様に噂となっている未確認生物の「ネッシー」をもじって「イッシー」と呼ばれています。


左:池田湖にすむとされている「イッシー」。湖岸の各所にこのような像が置かれている。
右:開門岳は雲に隠れてほとんど見えず(移動中の車内から撮影)
※クリックで拡大
今回は天候が非常に悪かったためまともに見物できたのは池田湖のみで、開門岳に関しては写真の通り中腹から上が完全に雲に隠れるという酷い状況でした。(2日目の朝は天気がよければ指宿枕崎線の西大山駅(本州最南端の駅)へ行く予定だったのですが、こちらもあまりにも条件が悪いため中止にしました。)砂蒸し風呂に関しては今回宿泊先の「指宿シーサイドホテル」に併設されていたため、ここで実際に体験することができました。
▼参考
気象庁 | 桜島
気象庁 | 若尊
気象庁 | 池田・山川
気象庁 | 開聞岳
日本の第四紀火山(独立行政法人産業技術総合研究所)
鹿児島の最新ニュース 鹿児島の情報は南日本新聞- 桜島定点観測カメラ
九州電力 山川発電所
おまけ・・・


左:鹿児島市電9500形(9506号車)
右:鹿児島市電500形(501号車)
いずれも車内から撮影したので画質が悪い点がご容赦を…
(つづく)
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