東急東横線地下化&10両編成対応化工事(2010年3月20日取材ほか)

東急東横線5050系。2006年6月24日、横浜駅で撮影

現在、東急東横線渋谷~代官山間では2年後に予定されている東京メトロ副都心線との直通運転に向けて線路を地下化する工事が進められています。昨年3月にこの状況を取材いたしましたが(記事化したのは11月)、それからおよそ1年が経過したため、去る2010年3月20日に再度取材をしてまいりましたのでその結果をお届けしたいと思います。なお、地下化計画の概要などは11月に作成した記事に詳しく記述されておりますので、そちらをご覧ください

▼関連記事
東急東横線代官山~渋谷間地下化工事(2009年3月21日取材)(2009年11月12日作成)

■渋谷~代官山間の地下化工事の現況
地下化区間の断面(11月の記事の図を再掲)
地下化区間の断面(11月の記事の図を再掲)

この工事では東横線代官山~渋谷間を地下化し、すでに開業している副都心線渋谷駅と接続します。新設される地下トンネルは全体の7割が現在線の直下を走るため、現在線の高架橋は工事に先立ち、トンネルが浅い部分については橋脚基礎杭の移設・撤去を、深い部分については橋脚の補強と地盤改良を行いトンネル建設に伴う高架橋の沈下を防止しています。また、明治通りから現在線の高架橋に移る区間については民有地かを横切ることになるため、この部分を含む渋谷駅側508mの区間については「アポロカッター工法」と称する四角形に近い断面を持つ特殊なシールド工法で建設されています。このシールドトンネルは昨年4月に渋谷駅側の立坑を発進し、約9ヵ月後の今年1月14日にJR山手線との交差部手前に設けられた到達立坑(開削トンネル)までの掘削が完了しています。

渋谷駅側の明治通りの状況。防音ハウスはすべて解体された。
渋谷駅側の明治通りの状況。防音ハウスはすべて解体された。

前回訪問時は渋谷駅に近い明治通り上でシールドトンネルの発進に向けた準備が進められており、道路の中央には巨大な防音ハウスが設置されていました。今回訪問時はシールドトンネルの掘削はすべて終了したため、防音ハウスはすべて解体されており、中央分離帯内で引き続き後片付けが行われていました。道路下の掘削に伴う路面の仮覆工は前回よりも国道246号線側へ伸びていることから現在は副都心線渋谷駅と接続する開削トンネルの構築に移っているものと思われます。

並木橋から見た東横線高架橋。いずれも仮設の橋脚が挿入されている。脇を流れるのは渋谷川。 並木橋から見た東横線高架橋。いずれも仮設の橋脚が挿入されている。脇を流れるのは渋谷川。
左・右:並木橋から見た東横線高架橋。いずれも仮設の橋脚が挿入されている。脇を流れるのは渋谷川。
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シールドトンネルが現在線の真下に入り込む並木橋から先の区間は高架橋が補強または仮受けされています。施工を行っている鹿島建設のホームページによると、トンネルと橋脚基礎杭の離隔が大きい渋谷駅側約450mの区間では橋脚の根元付近に厚さ70cmのコンクリート盤を新設し、併せて橋脚を鋼材で囲うことで全体を強化しており、残る約50mと到達立坑部分についてはトンネル断面外に設置した仮設の杭と添え梁で橋脚を受け替えているということです。

到達立坑付近の高架橋。防音シートの裏ではトンネルの埋め戻しらしき作業が行われていた。 JR山手線交差部分の状況。一番左の山手線外回り以外は線路が仮設の桁で支えられている。
左:到達立坑付近の高架橋。防音シートの裏ではトンネルの埋め戻しらしき作業が行われていた。
右:JR山手線交差部分の状況。一番左の山手線外回り以外は線路が仮設の桁で支えられている。

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到達立坑から先は開削トンネルとなるため、掘削作業が続いています。JR山手線との交差部分では4本ある線路すべてを工事用の仮設桁に受け替えて線路下を掘削することになっており、3月訪問時点では一番西側の山手線外回りを除き桁の設置が完了していました。また、山手線の両側には道路がありますがこちらも地下の掘削のため路面のほとんどが仮覆工になっています。

■急行停車駅のホーム10両対応化
10両分に延長された横浜駅のホーム。このときは検査のため照明も点灯されていた。
10両分に延長された横浜駅のホーム。このときは検査のため照明も点灯されていた。2009年11月24日撮影

副都心線との直通開始に伴い、急行・特急の停車駅ではホームを8両分から10両分に延長する工事が開始されています。対象となる駅のうち、最近改良が行われた武蔵小杉駅や横浜駅、それに新高島駅を除くみなとみらい線の各駅はあらかじめホームの伸スペースが確保されており、今回の工事ではホーム床版や照明設備の新設が行われています。一方、10両化が考慮されていない自由が丘駅や中目黒駅では高架橋の拡幅や線路の移設などかなり大規模な改良が必要となります。中目黒駅では2009年春よりすでに高架橋の拡幅工事に着手しており、あわせて高架橋全体の耐震補強やエスカレータの新設も行われる計画です。
なお、各駅停車は副都心線直通開始後も引き続き全列車が8両編成で運行される計画となっており(副都心線を走る東京メトロ7000系に8両編成が存在するのはこのため)、この列車のみが停車する駅はホームの延伸は行われない予定です。

▼参考
東急東横線と営団13号線の相互直通運転実施を決定(2002年1月29日発表)|東急線の取り組み|東急電鉄:
東急線の取り組み:東横線渋谷~横浜間改良工事
鹿島:KAJIMAダイジェスト:ザ・サイト:(13号相直)東横線渋谷~代官山間地下化工事(土木工事第1工区):
東横線地下化のシールド機が到達|日経BP社 ケンプラッツ:

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★副都心線開業前・開業日
東急東横線代官山~渋谷間地下化工事(2009年3月21日取材)(2009年11月12日作成)
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