カテゴリ:鉄道:建設・工事(終了したもの) > 横須賀線武蔵小杉駅新設
横須賀線武蔵小杉駅(2010年4月3日取材)
公開日:2010年05月31日21:44

昨年11月に工事中の様子を取材(記事は1月に作成)した横須賀線武蔵小杉駅ですが、去る2010年3月13日のダイヤ改正より予定通り営業が開始されました。新駅の概要については下記の1月作成の記事をご覧頂くこととして、今回は新駅のホームや一部が仮設となっている南武線ホームとの連絡通路の様子についてお伝えします。
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■横須賀線ホーム


左:ホームの東京寄り。急カーブとなっている。
右:ホームの横浜寄り。こちらは幅が広い。
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武蔵小杉駅の横須賀線ホームは南武線との交差地点から若干横浜寄りへ進んだ地点に新設されました。この場所が選ばれたのは、既存の路盤(盛土・高架)の改築をしない※1ことや、ホーム新設に伴い下り線を移設するのにあたり橋梁の架け替えを最小限に抑えるためです。(この結果、架け替えを行ったのは南武線と交差する橋梁1箇所のみに抑えられた。)この区間はもともと半径500mのカーブ区間となっていましたが、今回のホーム新設に伴い下り線を東側に移設したことから、下り線のカーブ半径400mに縮小されました。このため、ホームの東京寄りは見通しが悪くなっており、安全確認のためホーム上には常に駅員が常駐しています。また、車内放送では電車とホームの間に隙間が開くことをアナウンスし※、下車する乗客に注意を促しています。

新南改札(横須賀線口)前の駅前広場。(3枚合成)
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新南改札(横須賀線口)入口。頭上を東海道新幹線N700系が通過中。



左:新幹線高架橋の反対側。この右手はNECの工場内となるため行き止まりになっている。
中:横須賀線高架下の新南改札。(オレンジ色の自動改札機については後述)
右:改札口を入ったところ。波型の天井が特徴的。
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今回、横須賀線のホーム新設に際して西側で建設中のマンション群へのアクセスのため横須賀線ホームの横浜寄りに新たに改札口(新南改札口・横須賀線口)が新設され、あわせてバスターミナルなど駅前広場も整備されました。この改札口と駅前広場を結ぶ通路は以前横須賀線の東側にあるNEC玉川事業場への通用口として利用されていたもので、現在も横須賀線の東側は工場に突き当たる形で唐突に通路が終了しています。
横須賀線ホームの真下にはこの新南改札口と後述する南武線ホームへの連絡通路が設置されています。通路内は最近主流の白を基調とした内装となっていますが、天井には波型のスリット状の部材を使用することで単調になりがちな風景に変化をもたせるなどの工夫がなされています。なお、この通路は既存の高架橋の改築を避けるため、新設の下り線側に寄せた配置となっており、横須賀線ホームへの階段やエスカレータも同様に下り線側に偏っています。
▼脚注
※1:当駅付近の横須賀線の路盤は東京寄りが東海道新幹線、横浜寄りが武蔵野南線(地下)とそれぞれ一体構造となっているため改築が困難であった。
※2:E217系の自動放送では足元注意に関する内容が含まれていないため、車掌が肉声で案内を行っている。(製作時のミス?)
■一部が仮設の南武線ホーム連絡通路

南武線ホーム川崎寄りに新設された横須賀線ホームへの連絡通路
1月作成の記事でもお伝えしましたが、横須賀線ホームと南武線ホームを結ぶ全長約300mの連絡通路は工事が遅れているため、一部が仮設構造での開業となっています。これは東海道新幹線との交差部分のトンネル掘削において新幹線の線路の沈下を防止する追加の対策を行ったためです。


左:綱島街道から見た南武線脇の仮設通路。本来の通路はこのすぐ右側で建設中。
右:仮設通路の内部。最小幅員は3mで、1列ずつですれ違うのが精一杯。
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左:壁面が透明になっている部分から工事中の本設通路を見る。コンクリートの仕切りはエスカレータ用?
右:横須賀線ホーム上には既にこの本設通路へ通じる階段が完成済みだが、まだ仮囲いで覆われている。
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本来の連絡通路は南武線立川方面行き(2番線)ホームの川崎寄りの端から南武線の線路沿いを真っ直ぐ進み、綱島街道、東海道新幹線、横須賀線をそれぞれ南武線とは独立したトンネルでくぐり、直角に曲がって横須賀線ホームへ接続する構造となる予定になっています。しかし、前述の通り東海道新幹線との交差部の工事が未完成となっているため、今回の横須賀線ホーム開業に際してはこの部分の通路を暫定的に南武線の線路脇に設置した仮設通路に迂回させる構造としました。これにより、東海道新幹線・横須賀線との交差地点では通路の最小幅が3mまで縮小されており、混雑時に乗り換え客を捌き切れないことが予想されています。このため、南武線と横須賀線を乗り換える利用客についてはJR東日本では初となる改札外乗換えの制度を導入しました。これは1度改札口を出て30分以内に再入場すれば新たな運賃を徴収しないというもので、都内の地下鉄各線ではおなじみのシステムとなっています。(例:都営浅草線東日本橋駅と都営新宿線馬喰横山駅、九段下駅の東京メトロ東西線と東京メトロ半蔵門線 など)武蔵小杉駅では南武線、横須賀線の両改札口にこの制度が適用されるオレンジ色に着色された自動改札機が設置されています。


左:武蔵小杉駅の南武線・横須賀線ホーム間の連絡通路のイメージ
右:北改札(南武線口)の自動改札機は有人通路側2台のみ改札外乗換えに対応していない。
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この武蔵小杉駅は特急を含む横須賀線を走る全列車が停車しており、武蔵小杉駅周辺のみならず川崎市内各所から東京方面への利便性を飛躍的に向上させることになりました。駅前には総戸数4000戸の高層マンション群がほぼ完成し、続々と入居が開始されています。南武線ホームとの連絡通路の完成は来年3月頃を予定しており、川崎市の新たな副都心への玄関口としての姿を整える日も間近に迫っています。

横須賀線武蔵小杉駅の開業を記念して南武線の一部編成に205系にはヘッドマークが装着された。
▼参考
2010年3月ダイヤ改正について(PDF) - JR東日本
横須賀線西大井新川崎間武蔵小杉新駅設置計画について - 第32回土木計画学研究発表会・講演集 - 土木学会(PDF)
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