成田スカイアクセスの概要…成田スカイアクセスまもなく開業!(1)

東松戸駅で並んだ試運転中の新型スカイライナー

来る2010年7月17日(土)、東京都心と成田国際空港(以下、成田空港)を結ぶ新しい鉄道路線「成田スカイアクセス」(成田新高速鉄道・京成成田空港線)が開業します。今回は4回にわたりこの成田スカイアクセスの概要や施設の工事の様子、新線区間を走る特急「スカイライナー」の新型車両などについてお伝えいたします。
1回目の今回は成田スカイアクセスの概要について解説致します。

■東京都心~成田空港の鉄道の歴史と成田スカイアクセスの概要

成田空港の新設が決まった当初、東京都心と成田空港を結ぶ主要な交通機関として「成田新幹線」の建設が予定されており、1971(昭和46)年に策定された整備新幹線計画にも盛り込まれていました。しかし、この成田新幹線は騒音公害などを懸念したルート上の自治体などの激しい建設反対運動により、成田空港付近(延長8.7km)の路盤が完成したところで計画が頓挫してしまいます。(このあたりの経緯は以下の京葉線新東京トンネルのコラム欄で詳しく説明しているのでそちらを参照願いたい。)

▼関連記事
幻の成田新幹線計画と東京駅(その1) - 京葉線新東京トンネル(19)(2010年2月20日作成)
幻の成田新幹線計画と東京駅(その2) - 京葉線新東京トンネル(20)(2010年2月22日作成)

このような情勢を受け、昭和50年代になると運輸省(現在の国土交通省では)に「新東京国際空港アクセス関連高速鉄道調査委員会」が設立され、1982(昭和57)年に東京都心と成田空港を結ぶ鉄道について以下のA・B・C3つの案を答申として発表しました。

A案:成田新幹線の建設再開
B案:当時建設中の北総線を延長して成田空港へ接続する(成田新高速鉄道
C案:国鉄(現・JR東日本)成田線を活用して成田空港へ接続する

この答申をもとに政府内で検討が重ねられ、1984(昭和59)年にはB案を推進していくことを決定します。しかし、用地買収や工事にはなお時間がかかると判断されたことから、成田新幹線の構造物の中で唯一完成していた成田空港付近の路盤を暫定的にJR成田線・京成線が1線ずつ使用することで成田空港開港から実に13年後の1991(平成3)年、成田空港直下への鉄道乗り入れが実現しました。
一方、本命であるB案の成田新高速鉄道についても2000(平成12)年の運輸政策審議会第18号答申で「2015年までに開業するべき路線」として位置づけられるなど、引き続き整備を推進していくことが確認されました。この計画では現行のJR成田線・京成線よりも大幅な所要時間短縮を実現するため、北総線内については130km/h運転、線路を新設する印旛日本医大~成田空港間については国内の在来線で最高速度となる160km/h運転を行い、日暮里~空港第2ビル間を現在と比べ15分短縮の36分で結ぶこととされました。また、沿線住民への還元措置として新設線とJR成田線(我孫子支線)との交差部に新駅を建設することもあわせて盛り込まれました。
運輸政策審議会の答申発表以後、都市計画決定や鉄道事業許可など法律上の手続き、環境アセスメントなどの準備は順調に進み、2006(平成18)年にはいよいよ着工式が行われ本格的な工事が開始されました。2009(平成21)年には新駅の名称が「成田湯川駅」(仮称:成田ニュータウン北駅)、路線の愛称が「成田スカイアクセス」にそれぞれ決定し、必要な施設の工事が全て完了した今年3月から試運転が開始されました。
なお、上記の工事とは別に京成電鉄でも都心側のターミナル駅となる日暮里駅のホーム増設(高架化)や京成高砂駅の金町線ホーム高架化(踏切遮断時間の増大防止対策)など成田スカイアクセス開業に備えた独自の対策を行っています。前者については2009(平成21)年11月に新ホームの供用を開始しており、後者については来る2010(平成22)7月5日より高架ホームの使用を開始する予定です。

▼関連記事
京成日暮里駅新ホーム(2009年10月10日取材)(2010年1月2日作成)
京成高砂駅金町線ホーム高架化(2009~2010年取材まとめ)(2010年3月27日作成)

成田スカイアクセスのルート図
成田スカイアクセスのルート図

この成田スカイアクセスは前述の通り北総線を成田空港まで延長する形で新設されます。この区間はいずれも京成電鉄が運行する成田スカイアクセス(京成成田空港線)の列車が別会社の所有する線路に乗り入れるという形をとっており、事業者の関係が複雑化しています。線路の保有会社と列車の運行会社の関係は以下の通りです。

●京成高砂~小室(19.8km)
線路の保有:北総鉄道(第1種鉄道事業者
列車の運行(北総):北総鉄道(第1種鉄道事業者)
列車の運行(成田スカイアクセス):京成電鉄(第2種鉄道事業者)

●小室~印旛日本医大(12.5km)
線路の保有:千葉ニュータウン鉄道(第3種鉄道事業者)
列車の運行(北総):北総鉄道(第2種鉄道事業者)
列車の運行(成田スカイアクセス):京成電鉄(第2種鉄道事業者)

●印旛日本医大~旧成田新幹線路盤接続点(成田市土屋)(10.7km)
線路の保有:成田高速鉄道アクセス(第3種鉄道事業者)
列車の運行(成田スカイアクセス):京成電鉄(第2種鉄道事業者)

●旧成田新幹線路盤接続点~成田空港(8.4km)
線路の保有:成田空港高速鉄道(第3種鉄道事業者)
列車の運行(成田スカイアクセス):京成電鉄(第2種鉄道事業者)

今回の成田スカイアクセス新設に伴い設立された第三セクターの成田高速鉄道アクセス株式会社は成田スカイアクセス全線(京成高砂~成田空港間)の施設の建設・改良を行い、開業後は印旛日本医大~旧成田新幹線路盤接続点(成田市土屋)の施設の保有を行います。なお、成田スカイアクセス開業後も北総線の列車は現在と同じく印旛日本医大駅での折り返し運転がなされる予定で、線路が新設された印旛日本医大~成田空港間は京成電鉄が運行する列車のみが乗り入れることになります。

▼脚注
:第1種鉄道事業者は線路施設の保有・列車の運行の両方を行う事業者を示す。一方、第2種は列車の運行のみ、第3種は施設の保有のみを行う。

▼参考
千葉県内の鉄道整備計画(成田新高速鉄道) - 千葉県ホームページ
成田高速鉄道(成田高速鉄道アクセス株式会社)
京成電鉄・2010年デビュー!新型スカイライナー・成田空港まで36分
7月5日(月)始発より京成高砂駅金町線専用ホーム使用開始 - 京成電鉄(PDF)

次回はこの成田スカイアクセスの列車が通過する北総線の施設の改良工事について解説する予定です。

(つづく)
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