新橋駅(現地写真(改札内)) - 総武・東京トンネル(21)
公開日:2008年08月10日10:30

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■新橋駅:1km633m50~1km954m00(上り線L=320m50),1km950m00(下り線L=316m50)
▼参考
工事誌(東海道線) 4・14~18・326~340・382~388ページ
●概説
→前々回の記事を参照。
●現地写真(改札外・地上)
●現地写真(改札外・地下)
→前回の記事を参照。
●現地写真(改札内・地上)

地上ホームと地下ホームの連絡口
改札内の地上部分は地上・地下のコンコースを連絡する階段だけである。東京駅と同じく階段と上下のエスカレーターが1本ずつセットになった構造となっているが、東京駅よりも利用者数が少ない分幅は狭い。階段正面の壁面には鉄道発祥の地新橋をイメージしたステンドグラスが飾られており、最近の新線では一般化しつつある「パブリックアート」を先取りした格好となっている。階段脇の解説板には以下のような説明があった。
くじゃく窓 このステンドグラス“くじゃく窓”は 日本の伝統的な美しさと気品をたたえる孔雀と 明治五年汽笛一声の由緒ある新橋駅に因み 鉄道の力強さを表現する機関車を題材に製作された。 左側の機関車は新橋―横浜間を運転した 一号機の正面像で往時の姿をそのまま伝えている。 右側の動輪はE10 2号機のもので 現在青梅鉄道公園に保存されている。 ステンドグラス制作のための手作りのアンチックグラスは 欧州から直接取り寄せられ 完成まで約一年の月日が費やされた。 原画 吉岡堅二 題字 日本国有鉄道総裁 高木文雄 監修 ルイ・フランセン 企画 財団法人日本交通文化協会 |
●現地写真(改札内・地下)

地下4階へ向かうエスカレータ
地下1階から地下4階へ向かうエスカレータは3基×2群の計6基となっており、馬喰町・新日本橋の両駅と同じ構成である。東京地下区間の各駅のエスカレータは老朽化のため2000年ごろに一斉に交換されたのだが、新橋駅のみ手すりが青、緑、赤と色を変えてある。

新橋地下駅の解説板 ※クリックで拡大
エスカレーターの前、売店と壁に挟まれた袋小路のような場所に新橋地下駅の設備に関する解説板が掲げられている。東京地下区間について一般向けに書かれた説明はこれが唯一のものなのだが、最近この解説板の前は物置と化しておりその存在自体ほとんど知られていないことだろう。もっとも、年月の経過とともに実際の設備とこの解説板の記述が違ってきている部分もあり、きちんと見せるという考えがあるならば書き直しが必要であるのだが・・・

地下4階改札内コンコース
地下4階でエスカレータが終わり、ホームまでもう1フロア階段を降りる構成も他の駅と同様である。東京駅と同じく、ホームへの階段には開業当初からエスカレータが設置されている。

地下5階ホーム(開削部分)
新橋地下駅は地上駅に沿う形で建設されたため半径400mでS字にカーブしている。電車とホームの間が広く開くため、電車が停車している間はホーム下のスピーカーから「足元にご注意ください」という音声が流れる。また、見通しが悪いためホームには常に駅員が常駐しており、ホームの監視・構内放送・車掌への発車合図を行う。
ホーム上に並ぶ柱は他の駅と違い、化粧石が被せられておりやや高級感のあるつくりとなっている。

ホーム先端のLEDランプ
ホーム先端の床にはLEDランプが埋め込まれており、電車進入時に走行方向に向けて赤い光が流れ、利用者に注意を促すようになっている。このランプは地上駅でも設置されていることがあるが、地上駅の場合常に風雨にさらされる劣悪な環境であるため、ほぼ例外なく点灯しないドットが発生しており酷い場合全く点灯しないこともある。

ホーム東京寄り(シールド部分)
東京寄り85mはシールド工法で建設されている。この部分は天井が極端に低いため、独特の雰囲気が感じられる。天井中央部は当初から漏水の発生を考慮してか、パネルが左右に向かって低くなっており、柱に沿って排水用のパイプが設置されている。柱どうしの間隔は3ドアの113系1000番台にあわせて建設されたわけだが、総武・横須賀線の113系は1999(平成11)年に全て4ドアのE217系に置き換えられており、現在はドアと柱の位置関係が崩れてしまっている。工事誌の写真によると開業当初線路側の壁には化粧版が設置されていたのだが、現在はそれが取り払われてセグメントがむき出しになっている。再塗装時の手間を省くために外してしまったのだろうか?

ホーム東京寄りの端(新橋換気所)
ホーム東京寄りの端は他の駅と同じくトンネルの給排気口となっている。上り線側は上層階へ向けてらせん階段が延びているが、送風機のメンテナンス用に設置されたものでありここから地上に出ることはできない。

ホーム品川寄り(パイプルーフ部分)
一方、品川寄り15mはパイプルーフ工法で建設されている。内装は開削部分と全く同じであるため素人目には区別がつかないが、よく見ると線路側の天井が丸くなっていたり柱がホーム中央にあったりと違いを見出すことができる。この部分は天井にトンネルの給排気口を設置できないため、開削部分の上層階に送風機を置き、ホーム天井裏のダクトを経由して給排気を行っているようだ。


左:上の写真と同じ地点。トンネル天井から激しく漏水しており、線路も濡れている。
右:ホーム上に出現した水たまり。
※クリックで拡大
こちらは2011年3月26日に撮影した同じ地点。この日から遡ること2週間前の3月11日には、三陸沖を震源とする日本の観測史上最大の地震「東北地方太平洋沖地震」発生した。東京都内でも震度5強の揺れを観測したが、横須賀線東京トンネルを含む地下鉄各線に深刻な被害が生じたとの情報は無く、通常通り使用が継続されている。
しかし、詳しく観察すると建設の古い路線を中心にトンネル壁面の亀裂は相当数生じたようで、新橋駅でもこの品川寄りのパイプルーフトンネル部分で地震前と比べ漏水が激増していることが見てわかる。漏水はトンネル天井から満遍なく発生しており、ホーム上も一部浸水しているほどである。漏水の発生自体が直ちにトンネルの強度に影響を及ぼすことないものの、量が多いだけに長期的には地表面の沈下が発生する可能性も否定できず、ゆくゆくは何らかの対策(たとえばトンネル壁面裏への凝固剤注入など)が必要になってくるものと思われる。
(つづく)
<更新履歴>
2011年3月28日 トンネル漏水について追記
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