カテゴリ:公園・風景

久留里城と生きた水

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。


この日の目標だった風っこくるり号も撮影し、1時間後に来る(だろう)上り列車で久留里駅を後にする予定だったのですが、いざ駅の時刻表を見ると・・・

09時 04 57
10時 49   ←乗ってきた「風っこくるり」の到着と入れ替わりで発車(乗り継ぎ不可)
11時
12時 34
13時 30

おい!11時台が無いYO!!www

久留里線はタブレット閉そく。駅員さんの「昼休み」を考えれば11時、もしくは12時台が抜けるのはある意味当然です。完全に調査不足。
さて、久留里で2時間近く待たねばいけなくなったわけですが、事前の駅周辺の調査は全くしていませんでした。とりあえず駅前に出てみます。



駅前にある観光マップの看板。

大多喜城(3月27日訪問)について調べた際に久留里にもお城があるというのを薄々と気づいてはいたものの、今回は計画に組み入れていませんでした。(夜に所属している合唱団の練習があったのであまり遅くまで出るわけにはいかなかったので。)すぐ横で観光パンフレットを配っていたのでそれを貰い見てみると、どうやら往復して1時間半程度でちょうどいい距離にあるようです。
予定外ですが、今回は久留里城に行ってみることにしました。

久留里城


久留里城の天守閣

久留里城は築城中は3日に1回雨が降った、完成後は霧がかかって雨が降っているように見えたことから別名「雨城」と呼ばれています。
初期の久留里城は上総武田氏の祖、武田信長が康正2(1456)年に真勝寺(現在の久留里城から1kmほど北に行ったところ)の上の丘陵に築いたとされています。その後、武田氏の衰退に乗じて里見氏の6代里見義堯が天文4(1535)年現在の場所に築城し、里見氏全盛期の本拠として機能しました。江戸時代は久留里藩の藩庁となり土屋氏、黒田氏が入城し、明治維新・廃藩置県を迎えます。
現在の天守閣は昭和54(1979)年に復元されたものですが、江戸時代に実際に立っていたものとは大幅に異なるものだそうです。なお、久留里城の起源は平将門の三男、頼胤の築城という伝説がありますが、これは確証がありません。


久留里城址資料館にある新井白石の像。

天守閣から少し山を下ったところには君津市が運営している資料館があります。ここには土屋氏に仕えた儒学者新井白石の像が立っています。



久留里城の山からの眺め。西側(左)は町が見えますが、東側(右)は見渡す限り山です。



駅から35分の道のりは半分が険しい山道(もちろん上り)。途中にはこのように杖の貸し出しがされています。


久留里の「生きた水」


久留里城址資料館にある上総掘りのやぐら

もともと千葉県は地質の関係で多くが地下水脈が深く水が得にくい土地です。(下総台地は特にその傾向が顕著で、戦前までは専ら軍用地として使われた。)江戸時代に行われてきた手掘りの井戸ではせいぜい十数メートルの深さが限界であり、深い地下水脈を掘り抜くことはできませんでした。明治時代、上総地域ではこれを打開するものとして「上総掘り」という深井戸を掘る技術が考案されました。上総掘りは竹ひごの先に鉄製の管をつけ、竹ひごの反対端には竹でできた「はねぎ」というバネをつなぎ、これを木でできたやぐらに設置して鉄管の自重と竹の弾力を利用しながら地面を掘り抜くものです。
上総掘りの開発により一挙に数百メートル級の井戸が掘削可能になったことから、千葉県内を中心に飲料水・温泉・天然ガスなどの掘削へと爆発的にその利用が広まりました。(その例が大多喜町の天然ガス開発。)高度経済成長期の頃からは機械化が進み、上総掘りは衰退していきました。しかし、難しい技術を必要としないことや手近な資材で利用できる簡便さから、水不足に悩む東南アジアやアフリカなどで利用されています。天然ガス開発の副産物、ヨウ素に続き、ここでも千葉県は国際社会に貢献しています。



町内に散在する自噴井戸

久留里の町でもこの上総掘りを利用して井戸が多数掘削されました。得られた水は極めて水質がよく、かつ抗菌性を持つ土壌菌類である乳酸菌やペニシリン菌などを含んでおり「生きた水」として地元の人たちに利用され、さらに遠方からペットボトルやポリタンクに汲んで帰る人も多く見かけます。また、久留里の町ではこの良質な水を利用した酒造りが盛んで久留里駅周辺には数件の酒屋が密集しています。
このあたりの地下水は高い水圧がかかっており(被圧地下水)、掘削すると自動的に水が噴き出してきます。ずっと出しっぱなしで地下水が枯渇してしまうのではと心配になりますが、掘られてから100年以上も水が噴出し続けている井戸もあり、地下水の収支に関しては問題はなさそうです。




おまけ:民家の軒先で売られていたたけのこ。

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