カテゴリ:雑記

大多喜と天然ガスのはなし

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。


大多喜駅。駅前には「歓迎」と書かれたモニュメントが立っており、そのてっぺんにはガス灯がついています。このガス灯は大多喜町が国内初の天然ガス生産を行ったことにちなんで設置されたもので、よくありがちな「見せ掛け(中身が電灯)」ではなく、きちんと都市ガスを利用して点灯します。(その証拠に根元にはガスメーターが設置されています。)今回は千葉県の天然ガスの話。

「燃える水」から発見された天然ガス
千葉県にお住まいの方ならば「大多喜ガス」と言うガス会社をご存知ではないでしょうか?この大多喜ガスは房総半島で産出する天然ガスを使用して都市ガス供給を行っている会社です。

千葉県での天然ガス生産の始まり1世紀以上前の明治20年頃にさかのぼります。大多喜町の醤油醸造業者が地下水を得ようと上総掘り(※1)で井戸を掘ったところ、噴き出したのは泡立つ褐色の水。ところが、そこにタバコの吸殻を放り込むと水が燃え出したのです。泡の正体は地下水に溶けていた天然ガスだったのです。
千葉県は海底が隆起してできた土地で、その堆積物(有機物)が分解して天然ガスの主成分であるメタンが生成しました。(この堆積物の地層は首都圏南部の地下に広く分布しており、「南関東ガス田」を形成している。)その量は現在の産出量を維持したとしても800年分あると言われています。(※2)千葉県で産出する天然ガスはメタンが99%で酸性雨の原因になる硫黄などはほとんど含まないため、燃料として使用するには最適なものです。(※3)
その後、昭和3~6年にかけて房総半島の天然ガス利用はピークに達します。さらに昭和6年には大多喜天然瓦斯(:「がす」と読みます)株式会社、今の関東天然瓦斯株式会社が設立され現在に至るまで房総半島での天然ガス供給が行われています。

また、戦時中には石油不足をかわすと言う目的でいすみ鉄道(当時は木原線)でこの房総で産出する天然ガスを燃料にした気動車が走ったこともあります。

※1「上総掘り」:千葉県で伝統的な深井戸を掘る技術。
※2:地盤沈下防止のため産出が規制されている。
※3:余談ながらメタン(CH4)は二酸化炭素(CO2)の21倍の地球温暖化係数があり、大気中に放出するのはよろしいことではありません。

ヨウ素で国際社会に貢献する千葉県
ちょっと派手なタイトルですが、この天然ガスが溶けている地下水(これを「かん水」といいます)にはヨウ素が含まれておりこれが天然ガス産出の副産物として生じます。千葉県で産出するヨウ素はなんと世界全体の1/3、世界第2位の産出量であり資源の少ない日本では貴重な輸出源になっています。

「ヨウ素」と言われると思いつくのは小学校の理科の実験ででんぷんを紫色に染めた「ヨウ素液(※4)」ですが、それ以外にもヨウ素の使い道は多岐にわたります。たとえば「イソジンうがい薬」など消毒剤のの主成分である「ポビドンヨード」はヨウ素の化合物です。また、ヨウ素は人の体内で甲状腺ホルモン(※5)を作るために必須な元素ですが、海藻に凝縮されているためそれを食べる機会が少ない大陸中央部に住んでいる人たちは慢性的にヨウ素の摂取量が不足し、ヨード欠乏症(※6)が起きます。千葉県ではモンゴル、カンボジアへのヨード支援を行い、以降こういった問題を抱える患者が激減しているそうです。

あまりなじみの無い話題ですが、ヨウ素を通じて千葉県は国際社会にも貢献しているわけですね。

※4:ヨウ化カリウム(KI)溶液。
※5:細胞の代謝に関係する。
※6:甲状腺機能障害・発育不全など。


理系大学生のつまらない独り言でした。(爆)
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