いすみ鉄道「菜の花色の鉄路をいつまでも・・・」

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。


大原から第三セクターのいすみ鉄道に乗り、大多喜まで向かいます。平日でしたが乗った列車はツアーのお客さんで満員でした。今回は大多喜駅を拠点に撮影を行いました。

国鉄廃止路線を引き継ぎ


大多喜~上総中川間(船子地区)にて。遠くに大多喜城が見える。(クリックで拡大)

いすみ鉄道は国鉄再建法により第1次特定地方交通線(1kmあたりの輸送量が2,000人/日以下の路線)に指定され廃止対象となった木原線を引き継いだもので、国鉄分割民営化後の1988年3月24日に開業しました。「木原線」の名の通り、もとは上総亀山で久留里線と接続して木更津と大原を結ぶ計画でしたが、戦争や需要の少なさなどさまざまな事情により実際は建設されずに現在に至ります。線路脇には菜の花が植えられ春には鮮やかな黄色い花が咲き誇り、その中を黄色いディーゼルカーが走り抜けるという美しい風景が見られます。終点の上総中野では小湊鉄道と連絡し、大原~五井まで鉄道を利用して「房総半島横断」をすることもできます。



いすみ200形のディティール。2両連結はこの日は1本のみ。(クリックで拡大)

いすみ鉄道で使用されている「いすみ200形」は富士重工業(2003年鉄道車両製造から撤退)製の“LE-Car”というブランドの車両で、一般的には「レールバス」と呼ばれているものです。「レールバス」の名の通りこの車両はバスの構造や部品をそのまま流用したもので、国鉄の赤字路線の第三セクター化に際し、初期費用を抑えることができることから全国的に導入が行われました。折り戸のドアや窓を見るとまさにバスそのものであるのがよくわかります。

存続に黄色信号


大多喜駅にて。

国鉄の廃止予定線を引き継いだいすみ鉄道ですが、残念なことに開業後も自動車の普及などを理由に一貫して乗客数が減少しており、毎年億単位の赤字が出るなど大変厳しい状況に置かれています。これに加え、19年前の開業時に導入された車両は自動車ベースの構造ゆえ耐用年数が十数年に設計されており、安全を脅かしかねないトラブルが多発していることや線路構造物の深刻な老朽化が経営危機に追い討ちをかけています。いすみ鉄道では「経営改善計画」を策定し車両数の削減、通勤・通学に主眼を置いたダイヤ構成への改革、業務の民間委託による徹底した人件費削減などを行っているものの抜本的な経営改善には至っていません。このため、今年8月を目処に存続か廃線かの具体的な方向性が決められる予定です。
一方、大多喜町では2007年度予算に大多喜~上総中川間に新駅を設置するための費用を計上するなど存続への積極的な支援を行う姿勢を示しています。また、上総中野駅から接続する小湊鉄道は現在1日5本しかありません。これを改善すべく千葉県も加わりいすみ鉄道・小湊鉄道の相互乗り入れやDMV(JR北海道が開発した軌陸両用の自動車)の活用を検討するなど存続への模索を続けています。



この3月、茨城県の鹿島鉄道(全線)、宮城県のくりはら田園鉄道(全線)、福岡県の西鉄宮地岳線(西鉄新宮~津屋崎)の3線が一挙に廃線となります。急激に進む少子高齢化の中で鉄道はより重要になる一方で経営に関してはより厳しい環境に置かれることでしょう。地方私鉄の存続に関してはもはや待ったなしの対応が求められます。

いすみ鉄道によりよい未来が訪れることを願って・・・
ガンバレ!いすみ鉄道!!

▼参考
いすみ鉄道オフィシャルサイト
→撮影地の案内あり。「会社情報」に経営改善計画に関する記述も。
千葉県「房総横断鉄道について」
→小湊鉄道との乗り入れ、DMVの活用の検討について。
千葉県「いすみ鉄道再生会議」
→他県の例などを交えて検討(デッドリンクの部分あり)。
日刊動労千葉No.5806「いすみ鉄道の大幅な列車削減を許すな」(2004年1月14日)
→いすみ200形車両に関して現場からの訴え。
※いすみ鉄道の社員はJR東日本からの出向でまかなわれており、ほとんどが動労千葉の組合員。
Wikipedia - いすみ鉄道
Wikipedia - いすみ鉄道いすみ線
→Wikipediaの記述。
日本経済新聞「いすみ鉄道の存廃、8月に結論持ち越し」(2007年3月30日)
→上記「いすみ鉄道再生会議」の中間報告(リンク切れ)

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