カテゴリ:公園・風景

大房岬(4)要塞跡の数々

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。



あまり人気の無い観光スポットだからでしょうか?ググってみても大房岬の要塞に関するページはほとんど出てきませんでした。というわけで千葉駅のそばの大きな図書館に行って資料を探してきました。それでも見つかったのはたった2冊ですが。(私の探し方が悪いだけかな?)
今回紹介する要塞類はどれもうっそうとした森の中にあり、昼間でも懐中電灯が必要ではないかというほど暗く不気味です。9年前林間学校で来たときはこれも定番、肝試しのコースに入っていました。また、足場も悪いので、もしご訪問される際はご注意を。

封鎖され続けた岬


ビジターセンター脇の施設跡。倉庫に利用されている模様。

大房岬は東京湾の入口に位置することから、江戸時代は黒船来襲に備え大砲を置くなど重要な軍事拠点になっていました。その色を特に濃くしたのが昭和3年からで、旧帝国陸軍が東京湾防衛のため「東京湾要塞」の一部としてこの大房岬に軍事施設を多数建設し、終戦後の昭和33年に南房総国定公園に指定されるまで岬は原則的に一般人の立ち入りが禁じられました。また、軍事施設建設のため周辺住民が幾らか動員されましたが、その給料は当時の一般相場の約3倍といわれているそうです。ただ、実戦ではこれらの施設はあまり役に立たなかったようで、終戦後は兵器類を取り去ったものの施設の筐体自体はそのまま放置され現在に至っています。
終戦から60年以上経ち、物々しい外観をした要塞の数々も自然に返りつつあります。



ビジターセンターから海岸方向へ下ったところにある地下発電所跡。当時はドイツ製の50馬力ディーゼルエンジンを用いた出力27kwの直流発電機が置かれており、特に重要な施設であることからその存在は極秘とされ技師だけが立ち入ることを許されたということです。安全上の理由から現在は入口がコンクリートで密閉されています。



地下発電所の上部にある森を抜けると地下施設が2つまとめて配置されています。ともに探照灯(航空機を探すための明かり)に関連した施設で、左が探照灯を格納する掩灯所(えんとうしょ)、右が実際に使用する照明所があったといわれています。ここで使用されていた探照灯は直径2m、射程約9000mで当時は最大級の性能を誇っていたそうです。



掩灯所・照明所の詳細です。掩灯所から照明所まではレールが敷かれ、探照灯を台車に乗せて運びました。(ただし、床にその痕跡は見当たらなかった。)奥のピット状になっている部分は照明を載せた床がエレベータのように上下する構造になっていた跡です。壁面には電灯やガイドレール(?)を引きちぎった跡が残っています。
上段左から・・・掩灯所脇の入口、照明所のトンネル、壁面の電灯配線跡?
下段左から・・・探照灯を上下したエレベータの跡、見上げたところ、見下ろしたところ(転落防止柵がある)



やや離れた運動場の端にある砲台跡です。平成5年に運動場の拡張を行うため掘削したところ出てきたということです。これは東京湾を挟んだ三浦半島の剣崎(参考:Yahoo!地図情報の地図)と連携し、東京湾に侵入する敵艦船の動きを阻止するためのものです。設置された砲塔は、ワシントン海軍軍縮条約(大正10~11年)のため廃艦になった巡洋戦艦(「鞍馬」か「伊吹」といわれる)の艦載砲を陸上用に改造した20cmカノン2門入砲塔が2基、砲身のみの重量は120t、砲塔を覆う鋼鉄の厚さは30cm、総重量は420tもあったといわれています。



その背後には弾薬庫の跡があります。上部は森になっていて上空からその存在が知られないよう工夫されています。
膨大な軍事費と歳月をかけて作られた砲台ですが、実戦は航空機が中心であり使われること無く終戦を迎えたそうです。今は花壇になって暖かい時期には色とりどりの花々が訪問した人たちの目を楽しませています。



お腹が空いたので砲台をベンチ代わりに弁当を食べました(爆)
ちなみに、弁当は万葉軒(千葉駅の駅弁)の焼肉弁当です。

このように軍事要塞化したことが幸いして大房岬にはもとの自然がほぼそのままに残っています。続きは次の記事で。

▼参考
千葉県の戦争遺跡をある<戦跡ガイド&マップ> 千葉県歴史教育者協議会編 平成16年国書刊行会
房総発見100 産経新聞社千葉総局編著 平成10年崙書房出版
要塞探訪 東京湾要塞「大房岬砲台」
異界散策記 関東編千葉県「大房岬」

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テーマ:千葉県 ジャンル:地域情報
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