東急田園都市線複々線化(その0)

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。


東急田園都市線は神奈川県大和市の中央林間から東京都渋谷区の渋谷を経由して東京メトロ半蔵門線、さらにはその先の東武伊勢崎線へとつながる路線です。沿線は東急が主体となって開発した住宅が密集しており、特に朝ラッシュ時の混雑が深刻な問題になっています。最混雑区間の池尻大橋~渋谷間では朝ラッシュ時の平均乗車率が194%で、これは首都圏私鉄ではワースト2位、JRを含めても9位という深刻さです。(※1)しかも、この数値は朝7時台の全列車の平均値であり、最混雑列車(特に急行)の最混雑車両に限れば300%近くに達するといわれます。(昭和30年代に中央線の混雑が社会問題化した頃がこのオーダーだった。)このため乗降時間延伸により遅延は日常化しており、東急は私鉄としては異例の6ドア車導入に踏み切り、遅延の防止に努めています。(左写真:「6DOORS」のマークがついた5000系。)
また、これが遠因となっておきた東急大井町線等々力駅地下化問題について採り上げた際もこの件について若干触れましたが、奇しくも時を同じくして東急電鉄ホームページに以下のようなお願いが出されました。

田園都市線分散乗車のお願い

田園都市線の朝ラッシュ時の最混雑車両は、5号車と8号車です。
特定の車両への集中乗車により、遅延が生じる場合がございますので、なるべく他の車両にご乗車いただきますようお願いいたします。

図などを含めた全文はこちら(東急電鉄ホームページ内)(リンク切れ)

駅のポスターなら同様のお願いは時折見られますが、鉄道会社が完全オープンのホームページ上、しかもトップページから告知するのは異例中の異例です。まさに「最後の嘆き」と言わんばかりの状況で、東急がいかに追い詰められた立場にあるかがうかがえます。また検索したところ、利用者の「嘆き」も見つけました。

「しょっちゅう青あざができます。」
「車内はイライラで殺伐としており、乗客同士のトラブルもよく目にします。」
「二子玉川あたりから両足が持ち上がる。」
「傘曲がりました。」
「(混雑による)遅延は日常茶飯事。」
「肩半脱臼しました。」


引用元:読売新聞 発言小町「田園都市線のラッシュ」(リンク切れ)


これが朝の上り列車の様子だそうです。さすがに物が壊れるとかケガをするというのは他では聞きません。毎日の通勤・通学がもはや「命がけ」という極めて深刻な状況ですね…

(※1)2005年度。全体で1位はJR山手線外回り上野→御徒町間で216%、私鉄で1位は東京メトロ東西線木場→門前仲町で198%。

▼参考
国土交通省 「公共交通の『快適性・安心性評価指標』について」(2006年11月27日発表)

二子玉川~溝の口を複々線化&大井町線延伸


▲二子新地駅から二子玉川駅を眺める
首都圏のJR各線では国鉄時代に、そのほかの私鉄各線でも昭和末期~平成にかけて複々線化などの抜本的な混雑緩和策が行われてきました。小田急線のように一部ではその是非を巡って司法沙汰にまでなってしまいましたが、いずれも一応は完成した、もしくは完成に向かっており目に見える混雑緩和がかなっている状況です。しかしながら、東急田園都市線は当初から10両編成で設備が設計されておりこれで十分と考えられていたことから、信号システムの改良(CS-ATC化)などで対処してきました。しかし、現在は最短2分5秒間隔の運転(※2)となり、増発もこれ以上は無理という状態になっています。さらに、二子玉川~渋谷間が地下区間であり、その直上には大幹線道路である国道246号線と首都高速3号渋谷線が通っており、これらの改修が伴うトンネルの拡張は不可能です。(※3)仕方が無く、二子玉川~溝の口間を複々線化し、大井町線を延長する形で溢れる乗客を少しでも他線に逃がそうということになりました。次回からは各駅の改良についてとりあげていきます。

(※2)日本一の運転密度を誇るJR中央線快速や東京メトロ丸ノ内線は最短1分50秒間隔。
(※3)東急田園都市線のトンネルは大半が地上の首都高速3号渋谷線の橋脚と一体化して造られている。トンネル改修には交通量の多い高速道路を通行止めにして構造物全体を造りかえる必要などがあり、極めて困難。


(つづく)

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