京急蒲田駅付近連続立体交差化事業

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。


京急本線は平和島駅の南側から地上に降り、多摩川を渡る直前(六郷土手駅)まで地上を走ります。この間、線路には多数の踏切が存在し電車の高速走行への安全性に不安が残ります。梅屋敷駅ではホームの両端が踏切に挟まれ、4両分しかホーム長さが確保できないため、6両編成の列車は2両の扉を閉め切って乗降を行っています。この区間は現代の都市高速鉄道としては何とも不体裁な格好をしているわけです。

京急蒲田が最大の問題箇所、全線高架化へ
そして最大の問題は京急蒲田駅です。京急蒲田駅は横浜へ行く本線と羽田空港へ行く空港線が別れる駅ですがそのキャパシティーは極めて小さく、2面3線という線路数で空港線と本線の錯綜する列車を捌いています。しかも空港線に直通できるのは構造上このうちの1線のみ、つまり単線同然であるわけです。この線路は一部で本線と平面交差しており、すでに述べたように近年は羽田空港駅への直通密度が急速に上がっている中で、もはや増発は限界を超えている状況です。(朝夕のラッシュ時は交差待ちのため本線列車の駅外停車も多数。)
さらに、この京急蒲田駅を囲むようにして環状8号線と第1京浜という巨大幹線道路が通っており、踏切遮断による交通渋滞は極めて深刻化しています。(余談ながら、この第1京浜は毎年正月の箱根駅伝のコースにもなっており、駅伝開催時は一部電車を停めて選手の走路を確保しています。)

京急蒲田駅の現状(下の図)
1、空港線は事実上単線
2、京急本線と多数の平面交差
3、幹線道路と踏切で交差


この八方塞の状態を打開すべくこれら区間すべて、つまり京急本線平和島~六郷土手間と京急空港線大鳥居~京急蒲田間を高架化する事業が進められています。すべて完成すると新馬場~京急川崎間が全線高架になり、踏切解消による安全性向上、梅屋敷駅でのドア締め切り解消などさまざまな効果が期待できます。また、途中駅の京急蒲田・雑色・糀谷の各駅では駅前広場が整備されます。
そして懸案の京急蒲田駅は用地が確保できないことからなんと上下線を2層化するという妙技に出ました。これにより京急蒲田駅では、先に述べた「京急空港線の単線状態の解消」「京急本線との平面交差の解消」「踏み切りすべての除却」という今ある問題がすべて解決できることになります。また、切り欠きホームを設置することにより、実質的なホーム増設を行い追い抜きや普通列車と優等列車の同一ホーム上での乗り換えも可能になります。

現在はこれら区間のほぼ全線で工事が行われており、線路の直上には巨大な高架構造物が姿を現し始めています。京急蒲田駅は工事の進展に伴い、来る2006年11月26日から下り本線が仮線に移動します。(これにより線形が変わるためダイヤ変更も予定。)

現地写真


京急蒲田駅付近の踏切。
左上:京急空港線と第1京浜の交差。
右上:京急本線と環状8号線の交差。
今回切り替えられる線路。
左下:正面に進むのが新下り本線。左へそれていくのが空港線。
右下:左が今回移動・廃止される下り本線。右が上り本線。




左:京急蒲田駅構内(改札内跨線橋)から眺めた高架化工事のクレーン。
右:第1京浜側の改札を出ると工事についての解説をしている部屋があります。


ちなみに、11月26日といえば、京成船橋駅付近の連続立体交差化事業でが下り線が高架線に移動された翌日に当たります。高度経済成長期の急速な都市化の中で発生した「歪み」はここへ来て一気に解消へ向かうことになるわけです。相互乗り入れも行っているこの2社の建設プロジェクトから目が離せません。



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