神戸ポートタワーとメリケンパーク - 関西旅行2010(7)

メリケンパークと神戸ポートタワー

須磨駅からは再びJR神戸線に乗り、神戸駅まで向かいました。ここから神戸ハーバーランドの中を通りつつ次の目的地である神戸ポートタワー・メリケンパークへ向かいました。

▼関連記事:「関西旅行2010」1つ前の記事
山陽電鉄 - 関西旅行2010(6)(2010年11月23日作成)

■神戸ポートタワー
メリケンパークから眺めた神戸ポートタワー
メリケンパークから眺めた神戸ポートタワー
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神戸ポートタワーは1961(昭和36)年、神戸港に神戸市の船客待合所を建設するのに当たり、待合所の屋上に展望台を造って港や船を眺められるようにとの発想から建設されたものです。このため、タワー自体に港湾設備としての役割は無く、純粋なランドマークとして機能しています。この点は灯台として機能していた横浜港の横浜マリンタワーと異なっています。(ただし、横浜マリンタワーの灯台の機能は2008(平成20)年で廃止された。)
神戸ポートタワーの形状は日本古来の楽器である小鼓をイメージしたもので、タワーの骨組みは同時期に建設された国内のほかの鉄塔のようなH鋼やアングル材ではなく鋼管を全面的に採用しています。このような構造は日本では初となるもので、1963(昭和38)年の日本建築学界賞を受賞しています。1995(平成7)年には阪神・淡路大震災に見舞われましたが、タワーの設計自体は大地震にも耐えられる強固なものとなっており特に被害は発生しませんでした。昨年11月から今年4月にかけてはタワーの本体の塗装とライトアップ用の照明をLEDに更新するリニューアル工事が行われ、現在も神戸のランドマークとして親しまれています。

神戸ポートタワー展望4・5階からの風景(東)

神戸ポートタワー展望4・5階からの風景(北)

神戸ポートタワー展望4・5階からの風景(西)
神戸ポートタワー展望4・5階からの風景
上から東(大阪方面)、北(六甲山方面)、西(明石方面)

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展望フロアはタワーの3~5階にあり、3階は喫茶店、4・5階が通常の展望スペースとなっています。5階は天井に光ファイバーを利用した照明が施されており、夜は神戸の街の夜景とともに星座の絵を楽しむことができます。今回は夏の午後ということもあり、湿気の影響をモロに受けたため景色は全体的に霞んだ状態となっていましたが、空気の乾燥した冬場は天気がよければ東は関西国際空港、西は淡路島まで見渡すことができるようです。

▼参考
神戸ポートタワー | Kobe PortTower

■メリケンパーク
神戸ポートタワーから見たメリケンパーク
神戸ポートタワーから見たメリケンパーク
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神戸ポートタワーの脇に広がるのが1987(昭和62)年の埋め立て造成でできたメリケンパークです。公園内では毎年夏に「Kobe Love Port・みなとまつり」「みなとこうべ海上花火大会」などのイベントが開催されています。また、神戸海洋博物館、神戸メリケンパークオリエンタルホテルなどの各種施設も併設されています。

神戸海洋博物館。白い骨組みが被さった特徴的な外観。
神戸海洋博物館。白い骨組みが被さった特徴的な外観。

公園の北側にあるのが神戸海洋博物館です。館内には神戸港の歴史や乗り入れてきた船の様子などを展示した「神戸海洋博物館」と近隣に工場を持つ川崎重工業の企業博物館である「カワサキワールド」があります。今回は事前に調査を十分行わずに休館日である月曜日に行ってしまったため見学することはできませんでしたが、特にカワサキワールドについてはメカ好きの筆者にとっては大変興味のある場所であるため、次回神戸を訪れる機会があった際にはぜひとも見学しておきたい場所でもあります。
なお、公園内にはカワサキワールドの関連展示として川崎重工業が試作した水中翼船「疾風」超電導電磁推進船「ヤマト1」が展示されています。

▼参考
PORT OF KOBE
カワサキワールド

超電導電磁推進船「ヤマト1」。船体に取り込んだ海水に強力な磁力をかけ、その反力で推進するようだ。 水中翼船「疾風」。水中翼により海面から高く浮上することで波浪の中でも高速で航行できたそうだ。
左:超電導電磁推進船「ヤマト1」。船体に取り込んだ海水に強力な磁力をかけ、その反力で推進するようだ。
右:水中翼船「疾風」。水中翼により海面から高く浮上することで波浪の中でも高速で航行できたそうだ。

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公園中央にある「オルタンシアの鐘」 復元帆船「サンタ・マリア号」
左:公園中央にある「オルタンシアの鐘」
右:復元帆船「サンタ・マリア号」

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公園内にはこのほか、「オルタンシアの鐘」復元帆船「サンタ・マリア号」などの展示物があります。
「オルタンシアの鐘」は1989(平成元)年11月に開催された第1回神戸ファッションフェスティバルに合わせ、日本宝くじ協会の協力により製作が開始され、3年後の1992(平成4)年6月に完成したものです。当初は9時、12時、15時、17時の1日4回鐘を鳴らしていましたが、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災により破損したため現在は鐘を鳴らしていません。
復元帆船「サンタ・マリア号」はコロンブスが1492年にアメリカ大陸を発見してから丁度500年になるのを記念して1991年にその航海に使用した船を復元したものです。この「サンタ・マリア号」は完成後実際に実験航海にも使用され、1991年7月13日にスペインのバルセロナ港を出港した後、290日間をかけて3万5千kmの航海を行い、1992年4月28日に神戸港に入港しました。その後は現在に至るまで神戸市が保存・管理を行っています。

■神戸港震災メモリアルパーク
神戸港震災メモリアルパークの全景
神戸港震災メモリアルパークの全景
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展示スペースの解説(切り込みは震災が発生した5:46をイメージしている) 展示スペース 保存されている破損したメリケン波止場
左から展示スペースの解説(切り込みは震災が発生した5:46をイメージしている)、展示スペース、保存されている破損したメリケン波止場
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メリケンパークの一番東側には1995(平成7)年に発生した阪神・淡路大震災で被災したメリケン波止場を保存した「神戸港震災メモリアルパーク」があります。
1995(平成7)年1月17日5:46に発生した阪神・淡路大震災はマグニチュード7.3、最大震度7、死傷者数約4万3千人、全半壊した家屋は約24万棟に及ぶ未曾有の大災害となりました。神戸港もその被害の例外ではなく、埋立地特有の液状化現象により港湾施設や周辺を通る橋梁などに甚大な被害が出ました。神戸港震災メモリアルパークは被災したメリケン波止場をそのままの状態で保存・展示することで、震災の被害の規模、復興の歴史などを後世に伝え、地震に対する備えの重要さを訴えるべく震災から2年後の1997(平成9)年に竣工したものです。破損したメリケン波止場の脇には小規模な展示施設も併設されており、克明に記録された阪神・淡路大震災の歴史を学ぶことができるようになっています。
阪神・淡路大震災が発生してから今年で15年が経過し、震災の記憶をどのように受け継いでいくかが今後の課題となりつつあります。東海・南海地震や首都直下型地震がいつ発生してもおかしくないと言われている今、こういった施設の存在はもっと積極的にPRされるべきであると感じました。

▼参考
社団法人神戸港振興協会 -PORT OF KOBE-
神戸新聞Web News|阪神・淡路大震災


大きな地図で見る
今回周った神戸ポートタワー・メリケンパークの地図(Googleマップ)

<おまけ…>
海上保安庁巡視艇

メリケンパークの近くにはYouTubeに“流出”した某映像の件で話題の第5管区海上保安本部があります。公園からは停泊中の巡視艇を見ることができます。

▼関連記事:「関西旅行2010」
神戸市営地下鉄 - 関西旅行2010(1)(2010年10月2日)
姫路城「平成の大修理」 - 関西旅行2010(2)(2010年10月8日)
姫路市のマンホール - 関西旅行2010(3)(2010年10月17日作成)
姫路駅・加古川駅で見た車両 - 関西旅行2010(4)(2010年10月26日作成)
明石海峡大橋 - 関西旅行2010(5)(2010年11月4日作成)
山陽電鉄 - 関西旅行2010(6)(2010年11月23日作成)

(つづく)
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