大阪天満宮駅~北新地駅(現地写真) - JR東西線(11)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
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■桜橋シールド 2km440m~3km520m(L=1080m)
  西天満換気所 2km645m

▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 断面図
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ
大阪曽根崎地下の三事業の同時施工 曽根崎G・F、梅田共同溝、JR東西線 - トンネルと地下1997年4月号31~40ページ

●概説
前回の記事を参照。

●現地写真
堀川橋東詰・西詰交差点と阪神高速12号守口線。 高速道路の下には天神橋筋のバイパス道路(扇町バイパス)がアンダーパスしている。
左:堀川橋東詰・西詰交差点と阪神高速12号守口線。
右:高速道路の下には天神橋筋のバイパス道路(扇町バイパス)がアンダーパスしている。

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大阪天満宮駅を出たJR東西線の桜橋シールドはすぐに阪神高速12号守口線と交差する。この高速道路の下には堀川を埋め立てる形で建設された天神橋筋のバイパス道路である扇町バイパスが通っており、JR東西線が地下を通る曽根崎通(国道1号線)との交差部分は渋滞防止のためアンダーパスで交差している。曽根崎通の地下にはJR東西線以外に地下鉄谷町線が通っているが、扇町バイパスとの交差部分には上水道のポンプ室らしき施設はあるが地下鉄関連の構造物は一切見られない

西天満換気所換気塔
西天満換気所換気塔
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堀川橋を過ぎると曽根崎通の南側にはビルに挟まれる形で西天満換気所の換気塔が見えてくる。この換気塔は大阪城北詰~大阪天満宮間の東天満換気所とは異なり、換気塔周囲にビルが迫っていることからビルに向かって排気が吹き付けないよう排気口は高い位置に設置されており、その向きも曽根崎通側へ斜めに開く形となっている。換気塔を囲んでいる柵にはこの塔が何の施設であるのかを示す表記は一切無く、非常口として使用することは特に考慮していないようであった。

西天満交差点から西を見る。画面中央の上昇していく道路が新御堂筋へ向かう分岐ランプ。
西天満交差点から西を見る。画面中央の上昇していく道路が新御堂筋へ向かう分岐ランプ。

そのまま曽根崎通を西に進むと道路の中央から新御堂筋へ向かうランプが分岐する。軟弱地盤であるため、この陸橋の橋脚の基礎杭は地下15mほどの深さまで打ち込まれているが、桜橋シールドはそこからさらに10m以上深い場所を通過しており干渉することはなかったようである。地上の橋脚を見ても特段補強などを行った形跡も見られなかった。

梅新東交差点。歩道橋や新御堂筋のオーバーパスが複雑に重なる。
梅新東交差点。歩道橋や新御堂筋のオーバーパスが複雑に重なる。

陸橋が上昇しきり、北へカーブすると新御堂筋との交差点である梅新東交差点となる。交差点の上空にはX字状の歩道橋が架けられており、そのさらに上には新御堂筋の淀屋橋方面行き車線のオーバーパス用の桁が架かるという2重交差となっている。JR東西線と地下鉄谷町線が地下を通る交差点中央付近には橋脚などの構造物は無く、歩道橋の橋脚も道路の端にあることからJR東西線のトンネル掘削には支障が無かったようで文献にも特に記述は見られなかった。

梅田新道交差点
梅田新道交差点

梅新東交差点を通過すると連続して御堂筋と交差する梅田新道交差点となる。御堂筋の地下には歩行者横断用の地下道(梅新地下道)と地下鉄御堂筋線が通っており、大阪天満宮駅からJR東西線と並走してきた地下鉄谷町線はこの交差点で北に進路を変えてJR東西線と別れている。この交差点をもって東京都中央区の日本橋から543kmにわたり続いてきた「国道1号線」は終了し、ここから先は新たに福岡県北九州市へ続く「国道2号線」へと名称を変えることとなる。交差点の隅には両国道の起終点を示す石碑が設置されているが、国道上のドライバーたちは特に気に留めることもなく今日も淡々と交差点を通過していくばかりである。

JR東西線上部の地下道。北新地駅に続く。この日は絵画の展覧会が行われていた。
JR東西線上部の地下道。北新地駅に続く。この日は絵画の展覧会が行われていた。

梅田新道交差点から西側ではJR東西線桜橋シールドの上部に同線と同時並行で建設された駐車場(地下1階)と地下道(地下2階)が併設されている。内装は石材などを多用した豪華なものとなっているが、照明は全体的に暗めに設定されており店舗なども無いことから賑やかさには欠ける雰囲気となっている。なお、この地下道はそのまま北新地駅の改札口コンコースへ続いており、周辺ビルの地下階や北新地駅を越えた先の地下鉄四つ橋線にし梅田駅まで抜けることも可能である。悪天候の日などには重宝する通路だろう。

以上が大阪天満宮駅から来た新地駅にかけての地上・地下の様子であるが、JR東西線に関連する構造物は西天満換気所の換気塔のみであり他にトンネルの存在をうかがわせる物件は無かった。地上に痕跡が残らないのはそれだけトンネルの掘削技術が進歩している証でもあるが、我々のような“マニア”にとってはいささか物足りなさを感じてしまうのも事実だろう。

(つづく)
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