東京駅再開発の状況2009年


ドーム屋根部分の改修が始まった赤レンガ駅舎(2009年8月16日撮影)

Yahoo!ブログで2006年春から連載してきたJR東京駅の再開発「トウキョウ・ステーションシティ」プロジェクトならびに周辺の再開発事業について、今年7月から12月にかけて再び状況を確認してきましたので記事にしたいと思います。

■赤レンガ駅舎は躯体の改造を開始
丸の内口に建つ赤レンガ駅舎は1945(昭和20)年の東京大空襲で北口・南口のドーム状の屋根と3階部分を焼失し、八角形の屋根に仮復旧された状態で現在に至っています。本プロジェクトではこの焼失した部分を復原する予定となっており、創建当時に存在した「花飾りのレリーフ」「鷲の彫刻」など美しい内装品も当時の写真などを基に再現されることになっています。また、国の重要文化財に指定されている赤レンガ駅舎を永続的に保存していくため、駅舎の地下には免震装置を組み込み、合わせて敷地の有効活用のため2層構造の地下階が設けられることになっています。
駅舎の改修は昨年初めから開始され、まず北口・南口ドーム内で免震装置組み込みのための床面掘削が行われました。そして今年に入るといよいよ復原工事最大の見ぜ場である北口・南口の屋根の改修が開始され、双方の屋根部分が完全に足場で囲まれました。7月時点では屋根部分の解体作業が行われています。


中央線1・2番線ホームから改修中の北口ドームを見る。(2009年7月11日撮影)


丸の内地下北口。奥の銀色の壁の部分に北口ドームへの階段があった。(2009年7月11日撮影)

北口ドーム直下には総武・横須賀線の地下ホームの構造物があります。免震装置はこの部分にも組み込まれる予定となっており、これに関連してなのか昨年末から今年春頃にかけて駅舎直下となる丸の内地下北口周辺で天井部分の改修が行われました。(免震装置組み込みに備えた補強?)この工事の際地下改札口脇にあった北口ドーム内へ直接上がれる連絡階段が閉鎖され、地下改札口から北口ドームへ行くには駅舎外へ通じる階段を利用する形に変更されています。なお、閉鎖された階段は壁で覆われましたが、裏では現在も工事が続いているようで、建設機械が動作している音が聞こえるほか、脇にある作業用と思しき扉からは頻繁に関係者が出入りしているのが確認できます。

▼関連記事
東京駅(総武線側改札外エリアの現地写真) - 総武・東京トンネル(12)#●現地写真(地下・改札外)(2008年7月29日作成)
→閉鎖前の北口ドームへの階段の写真

■大丸旧店舗の解体

解体中の大丸東京店旧店舗(2009年8月16日撮影)

一方、八重洲口では「グラン・トウキョウ・ノースタワー」「グラン・トウキョウ・サウスタワー」「サピアタワー」の3棟が完成し、現在はその間に残る大丸百貨店東京店旧店舗(鉄道会館ビル)の解体が進んでいます。この建物は東海道新幹線開業前の1954(昭和29)年に6階建てで完成した後、1968(賞あ43)年に12階建てに増築したものです。8月時点では建物躯体のおよそ6割が取り壊されたという状況でした。解体工事に非常に時間をかけているような印象を受けますが、これは東京駅前という人や車の往来が非常に激しく作業時間が限られる立地条件や、建設が古くアスベストなど有害物質が建材に使用されている可能性があるためと考えられます。
なお、この大丸旧店舗の跡地は建物は建設せず、バスターミナルの拡張用地などに充てられる予定です。なお、事業とは直接関係しない事象ですが、この大丸旧店舗の撤去により東京湾方面から都心への空気の通り道ができ、近年問題となっている東京都心部のヒートアイランド現象が改善されるものと期待されています。

■駅周辺の再開発も続々竣工

丸の内パークビルディング内に復元された三菱一号館(2009年12月5日撮影)

丸の内地区には高度経済成長期にできた古いビルがたくさんあります。東京駅自体の再開発に連動する形でこちらの改築も進んでおり、この地域に多くのビルを所有する三菱地所が事業主体となり、東京駅丸の内駅前広場に接した「丸ビル」が2002年9月に、「新丸ビル」が2007年4月に相次いで竣工。さらに今年4月には駅前広場南側の「丸の内パークビルディング」が完成し、一角には1968(昭和43)年に解体された「三菱一号館」が復原されました。この旧三菱一号館は来年4月に美術館としてオープンする予定です。



再開発事業中の東京中央郵便局(2009年7月5日撮影)
※クリックで拡大


建物の裏手に回ったところ。ほとんどの部分が解体されている。(2009年7月5日撮影)

また、駅前広場に接する建物の中で唯一改築が行われていなかった東京中央郵便局についても、地上38階建ての高層ビルへの改築が決定し、昨年夏より工事が開始されています。東京中央郵便局はその歴史的価値の高さから以前から市民団体などにより保存が提起されており、再開発計画発表時には当時の総務大臣だった鳩山邦夫氏が建物の解体について痛烈に批判するなど本事業には賛否両論があります。このような世論の配慮する形で、再開発は旧局舎のうち駅前広場に面した部分を残し、その背後に高層棟を建設するという方法が採られています。

▼脚注
※後世の改造で変化した部分を原型に復するという意味から「復」の文字を使用している。

▼参考
東京駅が街になる Tokyo Station City
東京駅丸の内駅舎保存・復原工事の着工について - JR東日本プレスリリース(2007年5月8日)
鹿島:東京駅丸の内駅舎保存・復原工事
Marunouchi.com(三菱地所が運営する丸の内地区の地域情報サイト)
三菱一号館美術館
東京中央郵便局の再整備計画について - 日本郵便

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