阪神三宮駅改良工事 - 関西旅行2010(11)
公開日:2011年01月22日22:47

阪神本線三宮地下区間、2記事目は1933年の開業以来初となる大規模改良工事が現在進行中の三宮駅について解説いたします。
▼関連記事:「関西旅行2010」1つ前の記事
「日本一狭いホーム」だった阪神春日野道駅 - 関西旅行2010(10)(2011年1月17日作成)
■近鉄直通列車の折り返し駅に向けた改良
阪神本線の神戸側の終端は元町駅ですが、神戸市の市役所など行政の中心地は三宮駅周辺にあり、三宮駅が事実上のターミナル駅となっています。この阪神三宮駅は春日野道駅の記事でも触れたとおり1933(昭和8)年の阪神本線の地下化で完成したもので、開業から数年間は終着駅であったことから3本ある線路のうち南側の1本(3番線)は行き止まりとなっており、外側2本の線路の外側には降車専用ホームがあるというやや特殊な構造となっています。

改良工事着手前の阪神三宮駅
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行き止まりの線路は2009(平成21)年以降、阪神なんば線経由で近鉄奈良線から直通してきた列車の折り返し用として使用されていますが、高速神戸方から阪神なんば線方面へ向かう利用客はエスカレータの併設されていない階段を利用して乗り換える必要があり、不便を強いられています。また、阪神三宮駅はホームの西端にしか改札口が無く、エレベータの設置によるバリアフリー化が困難であることや災害発生時の避難通路が1箇所しかないという防災上の問題も抱えています。
これらの諸問題を解決するため、阪神電鉄では2005(平成17)年に制定された都市鉄道等利便増進法を活用し、国と自治体の経済的な補助を受けて1933年の開業以来初となる三宮駅の大規模改良工事に着手することになりました。この事業では以下のような改良工事がおこなわれる計画となっています。

改良後の阪神三宮駅
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1、駅構内の配線変更
現在は南側にある行き止まり線を上下線の間に挟まる形に変更して「コの字型」のホームとする。また、上下線間のホームを拡幅するため降車専用ホームを廃止する。これにより近鉄奈良線直通列車と高速神戸方面の列車が相互に同一平面上で乗り換えが可能となる。なお、ホームの拡張に当たっては西側にあるさんちか(三宮地下街)への影響を避けるためホーム全体を東に移動させる。
2、東改札口の新設
本事業に合わせて神戸市では三宮東交差点付近の地下に国道2号線を横断する形で地下道(三宮駅前東地下線)を新設する計画となっており、これに接続する形で新しい改札口(東改札口)を新設する。神戸市が新設する地下道は駅の北側にあるミント神戸の地下階にも接続し、同施設1階のバスターミナルともスムーズに接続できるようになり交通機関同士の結節が強化される。
3、西改札口の改良
現在の西改札口は前述の理由からバリアフリー化が困難である。このため、ホームが東に移動した分改札口コンコースを東へ拡張し、エスカレータ・エレベータを新設する。また、改札口そのものも東へ移動することで改札外の通路も拡張し、混雑緩和を図る。
4、防災対策の強化
前述の東改札口の新設により避難通路が2か所となり、災害時の安全性が向上する。また、駅全体の改良に合わせて空調設備や排煙設備の更新を図り、火災時の安全性を向上する。
事業全体に要する費用は約153億円となっており、阪神電鉄のみで負担することは難しいことから施設全体を神戸高速鉄道に譲渡したうえで(いわゆる上下分離方式)、国が1/3、兵庫県と神戸市がそれぞれ1/6ずつ補助を行うこととなっています。一方、国土交通省が試算した本事業による経済効果は直接便益(乗り換え時間短縮や速達性向上などによる効果)が約280億円、建設投資による効果が約229億円、さらに駅周辺の再開発促進や雇用創出による効果は実に550億円にのぼるとみられており、十分な投資効果が期待できる事業とされています。
改良工事は駅の機能を維持したまま行う必要があるため、現在のトンネルの外側に新しいトンネルを建設し、その後現在のトンネルを細かく切断して搬出するという手法がとられる計画です。工期は2005(平成17)年度から2012(平成24)年度の7年間の予定となっています。
■2010年8月の状況
現在のトンネルを覆う新しいトンネルは2007(平成19)年10月から建設が始まり、訪問した昨年8月時点ではそのほとんどが完成した状態となっていました。現在の駅ホームは天井のパネルが取り外され、トンネルの壁に接する部分に仮設の覆いが取り付けられた程度でしたが、その裏には新しいコンクリート壁が完成していたことになります。

現在の三宮駅西改札口。
現在の阪神三宮駅の入口はさんちか(三宮地下街)と一体化している西改札口のみです。改良工事完成後もこの改札口は存続しますが、現在よりも改札内のコンコースが拡張され、自動改札機の位置も現在より奥に移動することになります。今回訪問時は特に変化は見られず、駅の中で唯一工事の気配が感じられない場所でした。


左:改札口へ向かう階段の前から見た高速神戸方面ホーム(2番線)と折り返しホーム(3番線)。
右:阪神梅田方面ホーム(1番線)。左の降車専用ホームは今後撤去される。
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地下2階のホームはトンネルの取り壊しに備えて天井のパネルが全面的に撤去されており、開業当時のアーチ型の天井が見える状態になっていました。また、トンネルの側壁に接する降車専用ホームは壁面が全面的に仮設の作で覆われており、ホームも一部が撤去されて鋼材で組んだ仮設のホームに置き換えられていました。さらに、1番線の線路はすでに床面が取り壊されているのか直結軌道ではなくバラスト軌道に改築されており、重機が乗り入れられるようレールの周囲には木材が敷かれていました。


左:折り返し用に使用されている3番線ホーム
右:ホームの下は掘削されており、新トンネルの床面が見えていた。
南側の行き止まりとなっている3番線ホームはこの日も阪神なんば線経由で近鉄奈良線から直通してきた列車の折り返しに使用されていました。この折り返し線は改良工事完成後は高速神戸方面行きの線路となり、代わりに現在の2番線が頭端式の折り返し線となります。2・3番線ホームの下はすでに床面が取り壊されており、その奥には新トンネルの床面がわずかながら確認できました。


左:地上の国道2号線上にも作業帯が設けられていた。左上の高架はポートライナー。
右:作業帯に掲げられていた新しい阪神三宮駅の完成予想図。
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地下の掘削に伴い、地上の国道2号線も路面が全面的に覆工板に置き換えられており、中央分離帯や歩道を一部封鎖したうえで作業帯が設けられていました。なお、神戸市では地下道と同じ位置の地上にもペデストリアンデッキを新設することを計画しており、今後国道2号線の南北は地上と地下の2つのルートで横断が可能になる予定です。
この阪神三宮駅の改良工事は訪問直後の2010年9月末よりいよいよ最大の難関である既設トンネルの撤去工事が開始されました。この工事はワイヤーソー(ダイヤモンドの粉が付いた糸鋸のようなもの)で既設トンネルのコンクリートを1.5~2m間隔、合計869個のブロックに分割し、終電後の深夜に地上へ搬出します。1日に搬出できるブロックの数は最大4個で、天井、中柱、側壁の順に撤去が行われる予定です。東改札口の供用開始は2012(平成24)年春、事業全体の完成は2013(平成25)年春の予定となっており、完成した暁には阪神・近鉄直通の神戸側のターミナルとしてふさわしい姿に生まれ変わることになります。
▼参考
阪神電鉄三宮駅の改良工事に10月4日着手 - 阪急阪神ホールディングス ニュースリリース(PDF)
都市鉄道利便増進事業 阪神三宮駅改良 - 鉄道・運輸機構(PDF)
神戸新聞|社会|80年目の大改造着々 13年春新装の阪神三宮駅
神戸新聞|社会|旧トンネル解体始まる 阪神三宮駅改良工事
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(つづく)
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