新福島駅(概説) - JR東西線(15)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
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■新福島駅 4km660m~4km860m(中心4km760m)
▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 断面図
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ

●概説

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JR東西線の新福島駅は国道2号線となにわ筋が交差する浄正橋交差点の西側に設けられている地下駅である。施工は北新地駅と同様関西高速鉄道(株)が担当しており、建設中の仮称は「福島駅」であった。トンネルは地下1階が改札口コンコース、地下2階がホームの2層構造で、トンネル上部には建設省(現・国土交通省)が施工した共同溝の小型のボックストンネルが載っている。共同溝トンネルのサイズが小さくなったことから、地下2階の軌道の深さは地表面から約16mで、大阪天満宮・北新地の両駅と比較して1フロア分(約6m)浅くなっている。国道2号線の北側には福島1丁目交差点付近から併走してきた阪神本線のトンネルが通っているが、参考文献の図ではJR東西線と阪神本線のトンネルは完全に独立しているように描かれており、両者の間に直接的な関連性は無い模様である。(ただし、後述するとおり地上出入口の構造に阪神本線のトンネルの存在によると思われる特徴があらわれている。)

新福島駅の断面
新福島駅の断面

地下2階のホームは幅が7m、長さは8両編成対応の170mとなっている。地下1階の改札口とは階段3箇所、エスカレータ1箇所、エレベータ1箇所で連絡している。ホームと改札口の高低差が小さいため、エスカレータは上り1箇所のみの設置となっている。また、新福島駅の京橋方は複線断面の開削トンネルとなっているため徐々にホーム幅が狭くなっており(実際の様子は次回掲載)、昇降設備は尼崎方に偏って設置されている。
地上への出入口は駅の両端と中央の計3箇所設置されている。阪神福島駅に近い駅東端の1号出入口は国道2号線の北側にあり、エレベータが併設されている。また、1号出入口から改札口までの間には階段があるため、その部分にも車椅子専用の段差解消機が設置されている。駅中央の2号出入口と西端の3号出入口は国道2号線の南側にあり、2号出入口にはエスカレータが併設されている。
なお、新福島駅の東側、なにわ筋(浄正橋交差点)を挟んだ反対側の地下には前回の記事で触れた阪神本線の福島駅があるが、当駅とは地下で接続しておらず、乗り換えには一度地上へ上がる必要がある。これは次の節で述べるなにわ筋線の建設が考慮されているためと考えられる。

▼脚注
:新福島駅北側の地下には阪神本線のトンネルが通っているが、同線は当駅を過ぎるとすぐに国道2号線を外れて地上に出るため比較的浅い場所にトンネルがある。1号出入口の通路はこの阪神本線のトンネルの上部を通過しているため、床面をできるだけ浅くした結果このような階段が生じたものと思われる。また、2・3号出入口が国道2号線の南側にあるのも阪神本線のトンネルがあるためと思われる。

■大阪市を南北に貫く「なにわ筋線」とは?

国土交通省・大阪府・大阪市・JR西日本・関西私鉄5社などが現在建設に向けて検討を進めている「なにわ筋線」新大阪駅から大阪市中心部を南北に貫通してJR関西本線(大和路線)のJR難波駅と南海電鉄汐見橋線の汐見橋駅、もしくは南海本線の難波駅をそれぞれ結ぶ全長10.2kmの鉄道路線である。この路線が開通すると新大阪駅と関西国際空港が1本の鉄道路線でつながり、所要時間は現在の1時間10分から30~40分程度へと大幅に短縮されることが期待されている。なにわ筋線のルートはその路線名が示すとおり、ほぼ全線でなにわ筋(大阪府道41号線)の地下を通ることが計画されている。1996(平成8)年のJR難波駅の地下化はこれを見越したものであり、南海電鉄が大阪市内にありながら1日の利用者数が千人を切る汐見橋線を維持し続けているのも本路線との接続を考慮しているためとされている。(汐見橋線はなにわ筋線との接続するにあたり地下化されることになる。)
しかし、このなにわ筋線は構想開始から20年が経過しているが、今のところ本格的な整備に関する動きは見られない。その大きな要因は少なくとも2千億円に上るといわれる巨額の整備費用であろう。国土交通省近畿運輸局が2010年3月に発表した試算では今後再開発が行われる梅田貨物駅跡地を通る梅田貨物線に新駅(仮称:北梅田駅)ができた上でなにわ筋線に中間駅を一切設けない場合で2千億円中間駅を建設する場合で4千億円となっており、財政難にあえぐ大阪市が建設に強い難色を示している。大阪府の橋本知事は自治体の負担が大幅に減る新たな資金調達手法を提案しているが、国の反応は鈍く近い将来の着工は未知数な状態といえる。
仮に、今後途中駅を設ける形でなにわ筋線が整備された場合、人口密度が高い新福島駅近傍にも新駅が建設されることが予想される。なにわ筋を挟んで隣接しているJR東西線の新福島駅と阪神本線の福島駅が地下で連絡していない理由は、このなにわ筋線の新駅設置の有無や構造が未定であるため将来大きな手戻り工事が発生しないよう配慮したためと思われる。なにわ筋線の新駅が開業した暁には現在分断されているJR新福島駅・阪神福島駅の双方から連絡通路が建設され、晴れて3つの駅全てが地下で連絡されることになるだろうが、その日がいつになるのか、はたまたその日がやってくるのかは今のところ全く予測不能である。

▼参考
「大阪・梅田と関空「30分台可能」 なにわ筋線構想で近畿運輸局」:イザ!
asahi.com(朝日新聞社):つなげば光る 「原石」路線 南海汐見橋線 - 関西
asahi.com(朝日新聞社):橋下知事、交通網整備へ突進 淀川左岸線・なにわ筋線 - 関西交通・旅ニュース
【大阪】なにわ筋線で新事業制度提案 - 建設業界ニュース大阪版

●現地写真
→次回解説予定。

(つづく)
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