新福島駅(現地写真) - JR東西線(16)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
※クリックすると目次ページを表示します。

■新福島駅 4km660m~4km860m(中心4km760m)
▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 断面図
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ

●概説
前回の記事を参照。

●現地写真(地上)
エレベータが併設されている新福島駅1号出入口 なにわ筋の反対側にある阪神福島駅の出入口 阪神福島駅出入口に掲げられている注意書き
左:エレベータが併設されている新福島駅1号出入口
中:なにわ筋の反対側にある阪神福島駅の出入口
右:阪神福島駅出入口に掲げられている注意書き

※クリックで拡大

新福島駅の地上出入口は駅の前後端とやや京橋方へ向かった地点の計3箇所設けられている。
1号出入口は駅の京橋方の端、国道2号線となにわ筋の交差点である浄正橋交差点の脇に設けられており、エレベータも併設されている。写真では出入口と背後のマンションが一体の構造物のように見えるが、実際は隙間が小さいだけで別の構造物となっている。上部にはマンションのバルコニーが張り出しているが、これは区分地上権を設定して対応しているものと思われる。
なにわ筋の反対側には阪神福島駅(地下)の出入口がある。概説の記事で述べたとおりこの阪神福島駅と新福島駅は地下では連絡しておらず、両駅間で乗り換える場合は一度地上に出る必要がある。阪神福島駅入口の看板には「JR新福島駅とは、連絡しておりません。」と併記されており、利用者に注意を促している。

2号出入口 3号出入口。後には換気塔がある。
左:2号出入口
右:3号出入口。後には換気塔がある。

※クリックで拡大

駅のやや京橋方にある2号出入口1人幅の上りエスカレータが併設されている。出入口自体は国道2号線から路地が分岐する台形状の土地に設けられており、長い方の辺にあわせてエスカレータを設置するなど限られたスペースを有効活用している。
尼崎方の端にある3号出入口阪神ダイヤビルディングの前庭部分に設置されており、その延長線上には小型の換気塔と思しき構造物がある。しかし、新福島駅は後述するとおり駅の京橋方が複線断面の開削トンネルとなっており、トンネルの容積が大きいため列車走行時の気圧変動が小さく地上出入口のみで十分な給排気容量を確保することが可能である。また、工事誌には新福島駅のみトンネル用の換気塔を設置していないことが書かれており、実際の換気塔のルーバーを見てもサイズ・数量ともこれまで解説した3駅と比べて小さいことからこの換気塔は駅構内の空調設備の給排気のみを行うものと考えてよさそうである。

●現地写真(地下)
3号出入口へ続く通路の途中にある防水扉
3号出入口へ続く通路の途中にある防水扉

JR東西線の新福島・海老江・御幣島の3駅は標高が常時海面以下となるゼロメートル地帯となっている。このため、この3駅の地上出入口には全て鉄製の防水扉が備えられており、高潮や大津波の発生時には扉を閉めることで駅構内の浸水を防止できる構造となっている。
大阪市のゼロメートル地帯は東京と同様、戦前から高度経済成長期にかけて産業用に多量の地下水が汲み上げられたために地盤沈下を起こしたもので、淀川周辺の沖積平野を中心に広がっている。地盤沈下の速度は最盛期で年間20cmにも達し、杭基礎を持たない古い建物を中心に傾斜などの被害が続出した。その最たる例が大阪駅で、深さ5mの武智杭(コンクリート製の摩擦杭)や松杭を使用していた高架橋で著しい変形が発生したため、全ての基礎を深さ25mの井筒基礎に造り替えたほどである。大阪駅構内が現在も階段だらけなのはこのような経緯による。現在は東京と同様条例により地下水の汲み上げが厳しく規制されているため、地盤沈下はほぼ収まっているが、地下水利用が完全にストップしたわけではないため年間数mmずつ沈下が続いている場所もあるようだ。

▼参考
鉄道土木技術者が経験した変わった構造物と特異な災害 - 仁杉巖監修 池田俊雄・久保村圭助著 - 交通新聞社2004年
第8次大阪地域公害防止計画 第2章 第6節 地盤沈下対策 - 大阪府(PDF)
asahi.com(朝日新聞社):捨てられかけた巨大駅 JR大阪駅 - 関西

地下1階の改札口
地下1階の改札口

新福島駅の改札口は駅の中央にある1箇所のみである。みどりの窓口は設置されているが、利用者がそれほど多くないためか自動券売機、自動改札機の台数は少ない

地下2階ホーム(中央) 地下2階ホームの京橋方は複線断面の開削トンネルへ続くため狭くなる。
左:地下2階ホーム(中央)
右:地下2階ホームの京橋方は複線断面の開削トンネルへ続くため狭くなる。

※クリックで拡大

地下1階の改札口と地下2階のホームは階段3箇所、上りエスカレータ1箇所、エレベータ1箇所でそれぞれ連絡している。ホームの幅は標準で7mとなっているが、駅の京橋方は複線断面の開削トンネルにつながっているため徐々に狭くなっており、階段・エスカレータ・エレベータはいずれも尼崎方に偏って設置されている。
なお、当駅京橋方の開削トンネル区間には開業当初、保守用(非常時の折り返し用も兼ねる?)として上下線を連絡する渡り線が設置されていたが、使用頻度が極端に少ないためか今回訪問時はポイントが撤去されており、結果として現在のJR東西線は両端を除く全ての駅が棒線駅となっている。(ただし新福島駅は現在も停留場ではなく停車場(出発・場内信号がある駅)として扱われている。)

●駅データ
駅名:新福島(しんふくしま)
住所:住所:大阪府大阪市福島区福島5丁目9番先
乗車人員(降車客は含まない):8746人(2008年度、大阪市の統計資料による)
みどりの窓口:営業時間5:30~23:00

(つづく)
スポンサード リンク
テーマ:鉄道 ジャンル:趣味・実用
月別アーカイブ

全記事タイトル一覧

お知らせ

当サイトに関連するTwitterアカウントのうち、筆者個人のアカウント(@takuya870625)は4月30日をもって運用を終了いたしました。長らくのご愛顧ありがとうございました。当サイトに関する最新情報は「未来へのレポート 公式(@Rf_notify)」および調査速報アカウント「未来へのレポートNOW(@Rf_now)」にてご覧ください。→詳細はこちら
2021年以前の記事について、記事のレイアウトの一部やURLを最新記事と同様になるよう修正を進めています。古いURLでアクセスされた場合変更後のURLに自動転送されます。(2023,04,19)


過去のお知らせ一覧
公式Twitter

おすすめ&スペシャル


YouTube再生リスト:渋谷駅再開発


Reports for the future ~未来へのレポート~
Copyright (C) 2008-2023 Umemoto Takuya (takuya870625) some rights reserved. CreativeCommons-Attribution-Noncommercial-ShareAlike-2.1 Japan (About)
Powerd by FC2 Blog. Since:2008,05,17  レイアウト切替: パソコンスマートフォン
※当サイトは個人が運営しています。企業サイトではありません。
未来へのレポートNOW(取材速報Twitter)