中央線グリーン車連結に向けた12両化工事2022(3)青梅線西立川~青梅

青梅駅3番線で待機中の鉄道クレーン車

2024年度のグリーン車サービス開始に向けて進められている中央線ホーム延長工事のレポートの続きです。3回目の今回は中央線から直通がある青梅線西立川駅から青梅駅までの12駅の現状をお伝えします。

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中央快速線グリーン車連結プロジェクトの概要

各駅の工事状況 (1)東京~吉祥寺間

1回目の記事を参照
各駅の工事状況 (2)三鷹~八王子間

2回目の記事を参照

各駅の工事状況 (3)西立川~青梅間

青梅線立川~青梅間のホーム延長箇所一覧
青梅線立川~青梅間のホーム延長箇所一覧 ※クリックで拡大

 青梅線は立川駅を起点に多摩川に沿って北西に進み、東京都西部の山岳地帯の中にある奥多摩駅に至る全長約37kmの在来線です。途中の東青梅駅までは平野部となっており、そこまでが複線となっています。東青梅駅から先は多摩川が形成した谷の中となり、特に沢井駅から先は急峻な渓谷の中で急カーブを繰り返す線形となっています。
 このような路線環境のため、利用者数も途中の青梅駅を境に大きな段差があり、青梅駅を境に運行系統が分断されています。青梅駅以南は10両編成での運転で、終日中央線との直通が設定されています。一方青梅駅以北は4両編成が昼間は40分間隔で運転されるローカル線となっています。
 12両化の対象となっているのは中央線と直通がある立川~青梅間の各駅となっています。ほとんどの駅で土地に余裕があり、そのままホームを延長することが可能ですが、将来的な運行形態の再編や中央線内の施設移転の都合で大規模に改修する駅がいくつかあります。

※この先画像が44枚(2.4MB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。

JC
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西立川駅
当初計画と変更になり、立川寄りにも延長された西立川駅のホーム 青梅寄りは下り線がカーブでカントが付いているため、上下線でホームに段差がある。
左:当初計画と変更になり、立川寄りにも延長された西立川駅のホーム
右:青梅寄りは下り線がカーブでカントが付いているため、上下線でホームに段差がある。
上:当初計画と変更になり、立川寄りにも延長された西立川駅のホーム
下:青梅寄りは下り線がカーブでカントが付いているため、上下線でホームに段差がある。

 西立川駅は島式ホーム1面2線の南側に留置線が1線あります。当駅の立川寄りの下り線には立川駅構内の平面交差を回避するため設けられた青梅短絡線と呼ばれる線路が接続しています。
 この短絡線の合流部分があることから、当初計画では上下線とも青梅寄りに2両分ホームを延長することになっていました。しかし、延長予定部分は下り線がカーブしていることや上下線の間隔が狭く、ホームの延長には問題が多いことから実施工では上り線が両方向に1両分、下り線は立川寄りに0.5両分、青梅寄りに1.5両分という非対称の延長となりました。現在はホーム本体が全て完成していますが、柵で仕切られており入ることはできません。

JC
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東中神駅
東中神駅の立川寄りで延長されたホーム 青梅寄りで延長されたホーム
左:東中神駅の立川寄りで延長されたホーム
右:青梅寄りで延長されたホーム
上:中神駅の立川寄りで延長されたホーム
下:青梅寄りで延長されたホーム

 東中神駅は対向式ホーム2面2線です。当駅は元々上下線で停止位置がずれており、ホーム延長後に停止位置が揃うよう上り線は立川寄りに0.5両、青梅寄りに1.5両、下り線は両方向に1両ずつホームを延長します。こちらも現在ホーム本体は全て完成しています。

JC
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中神駅
中神駅の立川寄りで延長されたホーム 青梅寄りで延長されたホーム
左:中神駅の立川寄りで延長されたホーム
右:青梅寄りで延長されたホーム
上:中神駅の立川寄りで延長されたホーム
下:青梅寄りで延長されたホーム

 中神駅も対向式ホーム2面2線です。上り線は青梅寄りに2両、下り線は立川寄りに0.5両、青梅寄りに1.5両ホームを延長します。ホーム本体は全て完成済みです。

JC
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昭島駅
 昭島駅は島式ホーム1面2線です。当駅は青梅寄りに2両分ホームを延長します。ホーム延長工事は青梅線内では最も早く着工しており、前回調査時(2020年秋)で既に完成しその後大きな変化はありません。

JC
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拝島駅

拝島駅2番線の出発信号機。五日市線、青梅線、八高線の3方向に進出可能となっている。

 拝島駅は南側から五日市線の片面ホーム、青梅線の島式ホーム1面2線、八高線の島式ホーム1面2線、西武拝島線の島式ホーム1面2線(行き止まり)のレイアウトになっています。青梅線立川方面と八高線高麗川方面は直通可能な配線となっており、今年3月のダイヤ改正までは中央線東京駅からの直通列車が設定されていました。(詳細後述)


拝島駅で2021年11月13・14日に実施された五日市線1番線ホームの線形変更工事のイメージ。1番線に直結していた留置線のポイント1基を撤去し、カーブに変更した。

 当駅は五日市線ホームが立川寄りに2両、青梅線ホームが青梅寄りに2両ホームを延長します。また、当駅のホーム周辺には留置線が複数本設置されており、そのうち2本は五日市線ホームに直結していました。五日市線ホームの延長スペースを確保するため、このうち1本を廃止することになり、2021年11月13・14日の2日間ポイントの撤去工事が実施されました。工事は五日市線ホームの立川寄り4両分を閉鎖して行われました。五日市線は数分程度の時刻変更の上で通常通りの運行本数となっており、工事箇所の手前に仮設の車止めを置き、停止位置を変更して折り返し運転を維持しました。  

▼参考
中央快速線等グリーン車導入に伴う青梅線 拝島駅線路切換工事 一部列車の時刻変更等について - JR東日本ニュースリリース(PDF/873KB)

拝島駅線路切替工事当日の作業風景。五日市線ホームの立川寄りを閉鎖してポイントの撤去、線形変更に伴うホーム拡幅を実施した。
五日市線ホームは停止位置を武蔵五日市寄りに変更し、通常通りの折り返し機能を維持した。線路上にはオーバーラン防止用のATS-P地上子も仮設された。
工事中エリアの手前に設置された仮設の車止め。古枕木を載せただけである。
左:拝島駅線路切替工事当日の作業風景。五日市線ホームの立川寄りを閉鎖してポイントの撤去、線形変更に伴うホーム拡幅を実施した。
右上:五日市線ホームは停止位置を武蔵五日市寄りに変更し、通常通りの折り返し機能を維持した。線路上にはオーバーラン防止用のATS-P地上子も仮設された。
右下:工事中エリアの手前に設置された仮設の車止め。古枕木を載せただけである。
上:拝島駅線路切替工事当日の作業風景。五日市線ホームの立川寄りを閉鎖してポイントの撤去、線形変更に伴うホーム拡幅を実施した。
中:五日市線ホームは停止位置を武蔵五日市寄りに変更し、通常通りの折り返し機能を維持した。線路上にはオーバーラン防止用のATS-P地上子も仮設された。
下:工事中エリアの手前に設置された仮設の車止め。古枕木を載せただけである。

拝島駅五日市線ホーム工事前(2021年7月16日) 拝島駅五日市線ホーム工事後(2022年9月17日)
拝島駅五日市線ホーム工事前(2021年7月16日)拝島駅五日市線ホーム工事前(2021年7月16日) 拝島駅五日市線ホーム工事後(2022年9月17日)
拝島駅五日市線ホームの工事前後比較。左が工事前(2021年7月16日)、右が工事後(2022年9月17日)で、ホームの立川寄りが緩やかにカーブする線形に変わった。ホーム端ではホーム延長工事が進む。


青梅線ホームの青梅寄りでもホーム延長工事が始まった。

 ポイント撤去後は現在のホーム途中から緩やかにカーブする線形に変化しており、現ホームも最大で60cm拡幅されています。ポイントの跡地ではホーム延長のための基礎工事や床板の敷き詰めが進められています。また、青梅線ホームについても昨年ホーム延長予定地にあった出発信号機が移設され、今年に入ってからホーム本体の工事が進められています。現在は基礎となるコンクリートを地面に敷く作業が進んでいます。
 なお、当駅立川寄りの青梅線と八高線に挟まれた空間には電車と保線機材の留置線が複数本ありました。2020年の記事でもお伝えしたとおり、中央線高尾駅の留置線の一部が延長不可能であることから、当駅に留置線を6本増設してその機能を代替します。増設部分の留置線は今年3月に実施されたダイヤ改正より使用を開始しています。

JC
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牛浜駅
橋上駅舎から見た牛浜駅のホーム青梅寄り。下り線が僅かに左に膨らんだ線形となった。 ホーム延長工事が完成し、自由に入れるようになった。
左:橋上駅舎から見た牛浜駅のホーム青梅寄り。下り線が僅かに左に膨らんだ線形となった。2021年7月16日撮影
右:ホーム延長工事が完成し、自由に入れるようになった。
上:橋上駅舎から見た牛浜駅のホーム青梅寄り。下り線が僅かに左に膨らんだ線形となった。2021年7月16日撮影
下:ホーム延長工事が完成し、自由に入れるようになった。

 牛浜駅は島式ホーム1面2線です。当駅は青梅寄りに2両分ホームを延長しますが、予定地は上下線の線路間隔が狭まっておりそのままではホームの幅が極端に狭くなってしまいます。そこで、ホーム端付近の下り線を新たに用地を取得せずに済むギリギリの幅(最大60cm)で外側に移設し、安全にホームを延長できるスペースを確保することとしました。
 下り線の移設作業は2020年11月28日夜から翌朝にかけて青梅線を運休して実施されました。移設後はホーム端が外側にわずかに膨らんだ線形に変わったのがわかります。移設完了後はホームの延長工事が行われ、現在は照明など関連設備の設置も完了して自由に入れるようになっています。なお、当駅から北はホームドアの設置対象外となっています。そのためTASC用の地上子は設置されておらず、これまでの駅と比べホームの長さにも余裕があります。

JC
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福生駅
福生駅青梅寄りで延長されたホーム。既存部分との柵が残っておりまだ入れない。
福生駅青梅寄りで延長されたホーム。既存部分との柵が残っておりまだ入れない。

 福生駅も島式ホーム1面2線で、高尾寄りに2両分ホームを延長します。照明などの関連設備の設置まで完了していますが、柵が撤去されておらず入ることはできません。
 
JC
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羽村駅
羽村駅青梅寄りで延長されたホーム。こちらも既存部分との柵が残っておりまだ入れない。
羽村駅青梅寄りで延長されたホーム。こちらも既存部分との柵が残っておりまだ入れない。

 羽村駅も島式ホーム1面2線で、高尾寄りに2両分ホームを延長します。こちらも関連設備の設置まで完了していますが、柵が撤去されておらず入ることはできません。

JC
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小作駅
小作駅立川寄りに延長されたホーム 駐車場や建物に挟まれた空間で延長されたため、ホームの幅は非常に狭い。
左:小作駅立川寄りに延長されたホーム
右:駐車場や建物に挟まれた空間で延長されたため、ホームの幅は非常に狭い。
上:小作駅立川寄りに延長されたホーム
下:駐車場や建物に挟まれた空間で延長されたため、ホームの幅は非常に狭い。

 小作駅は対向式ホーム2面2線で、上下線とも立川寄りに2両分ホームを延長します。ホーム本体の工事は昨年秋から開始され、現在は外側の柵まで全て完成済みとなっています。
 両方向とも線路近くまで建物や駐車場があるため、ホームの設置スペースが非常に限られており、延長されたホームは点字ブロックの内側に立てる場所がほとんどありません。下りホームについては反対側のホーム端にも使用していない部分があったため、点字ブロックを延長して全体としての長さを確保しています。

JC
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河辺駅
河辺駅の待避線行われたホーム増設工事
当駅は現時点でホームドア設置対象外であるため、新設されたホームは盛土構造となっている。
新設ホームがほぼ完成した今年9月の状況
左:河辺駅の待避線行われたホーム増設工事
右上:当駅は現時点でホームドア設置対象外であるため、新設されたホームは盛土構造となっている。2021年7月16日撮影
右下:新設ホームがほぼ完成した今年9月の状況
上:河辺駅の待避線行われたホーム増設工事
中:当駅は現時点でホームドア設置対象外であるため、新設されたホームは盛土構造となっている。2021年7月16日撮影
下:新設ホームがほぼ完成した今年9月の状況

 河辺駅は島式ホーム1面2線で、下り線の隣には回送列車の待機や折り返しに使用できる待避線が1本ありました。この待避線はどちらの方向でも進入・進出が可能となっており、駅前後の上下線間にある渡り線を利用して朝夕に当駅折り返しが設定されています。
 当駅は現ホームを両方向に延長するのに加えて、待避線にもホームを増設し2面3線化します。2020年以降は待避線を一時使用停止にした上で線路を埋めて新しいホームを作る工事が進められました。当駅は現時点ではホームドア設置対象外であるため、新設されたホームはローカル線で一般的な盛土構造となっています。橋上駅舎は将来の待避線へのホーム増設を考慮して床を拡張可能な構造になっていたため、それを利用して待避線側にもコンコースを拡張しています。なお、新ホームとコンコースをつなぐルートは階段とエレベーターのみとなっており、当駅折り返しのような停車時間に余裕のある列車が利用するものとみられます。

既存ホームも延長工事が進む。立川寄り。 青梅寄りの延長状況。
左:既存ホームも延長工事が進む。立川寄り。
右:青梅寄りの延長状況。
上:既存ホームも延長工事が進む。立川寄り。
下:青梅寄りの延長状況。

 ホーム増設と並行して既存ホームについても延長工事が進められました。延長方向は上り線が両端1両分ずつ、下り線が立川寄りに2両分で、現在は照明などの関連設備を除き完成しています。

JC
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東青梅駅

 東青梅駅は島式ホーム1面2線です。当駅は青梅寄りのホームのすぐ先で下り線が上り線に合流して単線となっています。一方立川寄りはホームの端に踏切が密着しており、両方向ともホームを延長するスペースが全く存在しません。そこでやむを得ず下り1番線を廃止し、青梅寄りのポイント跡地にホームを延長することとされました。
 立川寄りには2020年に単線化用の新しいポイントが挿入されましたが、それ以降工事は進展していません。現在の運行ダイヤは昼間に上下線の列車が東青梅駅で必ずすれ違うよう組まれており、それを変更しない限りは当駅の単線化は不可能です。東青梅駅の単線化は、河辺駅の新ホームや次に説明する青梅駅3番線の使用開始後になるものと思われます。

JC
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青梅駅
青梅駅構内を奥多摩寄りのホーム端から望む。左は増設中の新ホーム。
青梅駅構内を奥多摩寄りのホーム端から望む。左は増設中の新ホーム。

 青梅駅は島式ホーム1面2線で、その北側に留置線が複数設けられています。2014年よりこの留置線のうち一番ホームに近い1本を廃止してホームを増設する工事が進められています。これは現在の2番線の両側にホームを設置し、立川方面から来る複数の列車と奥多摩方面の乗り換えを可能にするためのもので、地下通路へのエレベーター設置と合わせ2017年春の完成が予定されていました。
 しかし、工事途中で中央線のグリーン車連結計画が浮上し、そのままホームを完成させると12両の乗り入れが不可能になることから、工事が中断しました。変更後の計画では、新ホーム北側の線路(3番線)を行き止まりに変更することで、12両の入線が可能な長さを確保することとなりました。これに伴い留置線は奥多摩方面が行き止まりの配線となり、出入りする際は立川寄りの本線上でのスイッチバックが必須となっています。

今年に入り新ホームに設置された屋根。ホーム中央の100mのみに設置。
今年に入り新ホームに設置された屋根。ホーム中央の100mのみに設置。

 新ホームの工事は2020年以降再開されています。新ホームの2番線側は立川寄りの4両分(エレベーターから先)が固定柵になっており、2番線は奥多摩方面への短編成の列車専用となる模様です。
 当初はホーム全長に渡り屋根を設置できるよう屋根の支柱が準備されていましたが、9月中旬に現地を再訪したところ、ホーム中央の100m程には屋根が設置された一方、それ以外の部分は準備されていた支柱が床面で切断されていました。設置された短い屋根は端部の処理を見る限りこれで完成形と思われることから、現時点でこれ以上屋根が延長されることはなさそうです。

今週末に予定されている青梅駅の線路切替工事のイメージ。ホーム両端のポイントを交換し、ホーム延長に必要なスペースを作り出す。
今週末に予定されている青梅駅の線路切替工事のイメージ。ホーム両端のポイントを交換し、ホーム延長に必要なスペースを作り出す。

 現ホームは両端にポイントがあるため、そのままでは12両への延長が不可能となっています。そのため、2番線のホーム両端を新ホーム側に曲げ、1番線との間隔を広げることでホームの延長スペースを確保します。これに伴い、奥多摩寄りは1番線と2番線の合流地点がかつて留置線への分岐があった場所へ移設されます。

奥多摩寄りの学校前踏切から切替箇所を見る。奥の線路をポイントに入れ替える。 ホーム端から立川寄りの切替箇所を見る。2番線を若干左に寄せてホーム延長スペースを確保する。
新3番線にスタンバイしている鉄道クレーン車 1番線横に仮置きされている新しいポイント
左:奥多摩寄りの学校前踏切から切替箇所を見る。奥の線路をポイントに入れ替える。
右:ホーム端から立川寄りの切替箇所を見る。2番線を若干左に寄せてホーム延長スペースを確保する。
左:新3番線にスタンバイしている鉄道クレーン車
右:1番線横に仮置きされている新しいポイント
1枚目:奥多摩寄りの学校前踏切から切替箇所を見る。奥の線路をポイントに入れ替える。
2枚目:ホーム端から立川寄りの切替箇所を見る。2番線を若干左に寄せてホーム延長スペースを確保する。
3枚目:新3番線にスタンバイしている鉄道クレーン車
4枚目:1番線横に仮置きされている新しいポイント

 ポイントの交換作業は夜間の終電から始発までの間に終わらないことから、今週末10月15日(土)に青梅線河辺~日向和田間を終日運休して実施されます。運休区間では当日バスによる代行輸送が実施されます。
 工事実施を間近に控え、現地では新しいポイントの組み立てが完了して1番線横に仮置きされている他、新3番線には三鷹駅や拝島駅の工事でも活躍した鉄道クレーン車(KRC810N)がスタンバイしています。この鉄道クレーン車はドイツ製で、国内に2台しか無い貴重なもので、今回はその両方が青梅駅に集結しました。2015年の導入以後、品川駅や新宿駅などJR東日本管内各地で行われる工事で使用されており、敷設したポイントや工事桁の数は300基を超えます。今回の工事ではこの鉄道クレーン車を使い、組み立てが完了したポイントを敷設箇所まで運搬するものと思われます。なお、奥多摩寄りの切替箇所には踏切があるため、工事期間中は踏切が通行止めになります。

地上設備の配置から推測する将来の編成形態

拝島駅青梅線ホーム中間に設置された停車目標とTASC地上子
拝島駅青梅線ホーム中間に設置された停車目標とTASC地上子

 中央線と同様に青梅線の立川~拝島間もホームドアの設置対象になっており、昨年秋以降各駅でTASC地上子の設置が進んでいます。TASC地上子や新しい停車目標の配置から、現在計画されていると思われる12両化の運行形態について考察してみます。
 冒頭でも説明した通り、青梅線は立川~青梅間が10両編成、青梅~奥多摩間が6両または4両での運転が原則となっています。しかし、車両運用の都合により早朝・深夜にごくわずかながら青梅以北や五日市線から短編成の列車が立川駅まで乗り入れを実施しています。
 JR東日本のホームドア設置路線では、TASCを停止位置精度向上のための補助装置と位置付けており、ホームの途中からTASCのブレーキパターン発生用の地上子を設置しています。青梅線立川~拝島間では、編成両数ごとに異なる停止位置に合わせて複数のTASC地上子が設置されました。地上子がどの両数に対応しているのかは以下のように地上子に貼られたラベルから判別することができます。

地上子ラベルの意味
TASC無電源地上子
記号・数字意味
①地上子種別TA:TASC地上子
②設置番線運転上の番線名。上り本線なら「上本」、2番線なら「2#」など。
③動作方向上り列車で動作の場合「U」、下り列車で動作の場合「D」。
折り返しなど同じ線路に複数方向から進入する場合に判別できるようにしたもの。
④編成両数その地上子でTASCを動作させる編成両数。
複数の編成両数で動作させる場合、「12,10」のようにカンマで区切る。
⑤地上子の順番地上子の設置順。停止位置に近い方から1、2、3と増えていく。(標準で3個)

 青梅線内では、ホーム端の12両・10両用とホーム途中の6両用の停車目標それぞれにTASC地上子が設置されているのを確認しています。また、6両の停目にある地上子には編成両数が「8,6,4」と書かれたラベルが貼られています。また、停目付近のホーム上にもTASC整備後の停止位置を示すテープが貼られており、緑色地で「6」と書かれたものと赤色地で「8」と書かれたものが50cmほどずらして貼られています。さらに、拝島駅2番線のホーム途中には緑色と赤色のテープが巻かれた2本の新しい停目がやはり50cmほどずらして準備されています。

西立川駅下り線の8・6・4両用TASC地上子
中神駅の先頭車停止位置に貼られている停止位置テープ
:拝島駅2番線の6両現行停目とわずかにずらして準備されている6両・8両の新しい停目
左:西立川駅下り線の8・6・4両用TASC地上子
右上:中神駅の先頭車停止位置に貼られている停止位置テープ
右下:拝島駅2番線の6両現行停目とわずかにずらして準備されている6両・8両の新しい停目
上:西立川駅下り線の8・6・4両用TASC地上子
中:中神駅の先頭車停止位置に貼られている停止位置テープ
下:拝島駅2番線の6両現行停目とわずかにずらして準備されている6両・8両の新しい停目

 これらの事実から、青梅線内の地上設備は現行の4両と6両に加え、グリーン車連結後は中央線用の基本編成のみの8両編成での運転を考慮していることがわかります。6両と8両で停止位置がずれているのは、グリーン車の車体長が普通車と比べて50cm長いためと考えられます。具体的な運行計画についてはまだ明らかになっていないため確証はありませんが、青梅線内では中央線用の基本編成8両が単独で営業運転される可能性があります。

▼脚注
※青梅線ではグリーン車を組み込んだ中央線用編成と普通車のみの青梅・五日市線用編成が混在して走行することになる。グリーン車組み込み編成と普通車のみの編成で片方の先頭車側に停止位置を揃えた場合、グリーン車から後ろの車両は普通車のみの編成と1mずつ停止位置がずれることになる。青梅線で導入されるホームドアの形式は現在のところ不明だが、通常のドアタイプを導入する場合なるべく停止位置を揃えて開口幅を小さくする方が望ましいため、グリーン車を中心して前後の車両の停止位置を50cmずつずらす計画としているのかもしれない。


八高線ワンマン化に伴い東京直通が終了、青梅以北もワンマン化?

八高線209系の車体側面に装着されたワンマン運転用監視カメラ
八高線209系の車体側面に装着されたワンマン運転用監視カメラ

 一方、JR東日本では近い将来の労働人口減少を見据えて、ローカル線で中編成(3~6両)のワンマン運転を実現するべく、列車の車体側面に装着できる小型カメラの開発などを進めてきました。この車両完結型中編成ワンマン運転システムは2020年3月に東北本線黒磯~新白河間で実用化され、以後千葉県の内房線・外房線(房総半島先端部の館山~安房鴨川~上総一ノ宮)や相模線などで新型車両とともに導入されています。八高線についても総武線から転用される209系・E231系の導入に合わせて中編成ワンマン運転システムの導入が進められ、今年3月のダイヤ改正から全列車がワンマン運転に変わりました。

2022年3月のダイヤ改正で廃止された中央線東京駅発武蔵五日市・高麗川行き 八高線高麗川駅でキハ110系と並ぶ中央線E233系
左:2022年3月のダイヤ改正で廃止された中央線東京駅発武蔵五日市・高麗川行き。2022年3月2日撮影
右:八高線高麗川駅でキハ110系と並ぶ中央線E233系。2022年3月6日撮影
上:2022年3月のダイヤ改正で廃止された中央線東京駅発武蔵五日市・高麗川行き。2022年3月2日撮影
下:八高線高麗川駅でキハ110系と並ぶ中央線E233系。2022年3月6日撮影

中央線 青梅線・五日市線直通電車 拝島駅での切り離し作業 - YouTube

 八高線にはこれまで拝島駅で五日市線・青梅線から来る電車と連結・切り離しを実施し、中央線東京駅まで直通する快速が存在しました。八高線のワンマン化に伴い、ワンマン運転非対応の中央線の電車が少数乗り入れることによる取り扱いの差異を解消する意味もあり、今年3月のダイヤ改正をもって東京直通が廃止となりました。

中編成ワンマン運転用に車側カメラが装着されたE233系P524編成(旧青466編成) 中編成ワンマン運転用に車側カメラが装着されたE233系P524編成(旧青466編成)
中編成ワンマン運転用に車側カメラが装着されたE233系P524編成(旧青466編成)

 また、今年春以降青梅線の乗務員が所属するJR東日本八王子支社内の複数の労働組合のWebサイトにおいて、2023年春に青梅線青梅~奥多摩間でワンマン運転を開始するという情報が掲載されました。今年夏以降、青梅・五日市線用E233系の付属編成(青400番台)の複数編成で、実際に中編成ワンマン運転用の車側カメラの装着が確認されており、来春の青梅以北ワンマン運転開始は確実な情勢となっています。
 ここで気になるのは休日ダイヤで設定されているホリデー快速「おくたま」「あきがわ」の扱いです。この列車は拝島駅で連結・切り離しを行い、付属編成の4両が五日市線に、基本編成の6両が青梅線にそれぞれ直通しています。青梅線のおくたま号の停車駅のうち青梅寄り北の奥多摩駅・御嶽駅・日向和田駅(梅の開花シーズンのみ停車)はいずれもホームの長さが6両分しかなく、中央線の基本編成がグリーン車組み込みにより8両化されると現在の運行形態が維持できなくなってしまいます。これについては青梅以北への直通を4両の付属編成への変更、E233系以外の別形式(種別格上げを含む)への変更、停車駅のホームを延長する等が考えられます。一方で青梅以北がワンマン化されるとなると、直通が廃止された八高線と同様の条件となり、列車自体の存廃が問われる可能性もあります。
 青梅駅や河辺駅のホーム増設と合わせ、青梅線の運行形態がどのように変化するのか注目されます。

次回は中央線に戻りまして西八王子から大月駅までの状況についてお伝えします。この区間は現地調査がまだ終わっていないため、11月上旬ころの記事公開を予定しております。しばらくお待ちください。

▼参考
中央快速線等へのグリーン車サービスの導入について - JR東日本ニュースリリース(PDF/149KB)
中央快速線等へのグリーン車サービス開始時期および車内トイレの設置について - JR東日本ニュースリリース(PDF/298KB)
2022年3月ダイヤ改正について - JR東日本八王子支社ニュースリリース(PDF/917KB)
中央快速線等グリーン車導入に伴う青梅線 青梅駅線路切換工事 列車の運休等について - JR東日本ニュースリリース(PDF/710KB)
Hachioji MAIL NEWS 116号 ワンマン運転の実施について提案を受ける - JR東日本輸送サービス労組(JTSU-E)八王子地本(PDF/484KB)
青梅線ワンマンプロジェクト情報|JR東労組八王子地本
中央快速線グリーン車導入~東京西部エリアの更なる鉄道サービスの向上に向けて~ - 日本鉄道施設協会誌2019年1月号64~67ページ
中央快速線グリーン車導入に伴う地上設備改修工事 - 土木施工2019年11月号93~96ページ
中央快速線グリーン車導入 - 東工技報第34号(2020年度)349~364ページ
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