武蔵小杉駅綱島街道改札使用開始(2024年1月14日取材)

武蔵小杉駅綱島街道改札

武蔵小杉駅では周辺開発の進展に伴い駅構内の混雑が激しくなっています。その対策として2018年より横須賀線下り専用ホームの増設工事が行われ、2022年12月に使用を開始しました。ホーム増設工事は完了しましたが、その後も東京寄りのホーム端下で綱島街道方面へショートカットできる改札口の新設工事が続けられてきました。昨年12月にこの新改札口がオープンしましたので、レポート最終回として現地の完成状況をお届けします。

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武蔵小杉駅横須賀線新下りホーム使用開始(2022年12月28日取材)(2023年4月7日作成)

武蔵小杉駅の利用者急増と横須賀線ホーム増設工事

2010年に開業した横須賀線武蔵小杉駅 横浜寄りの高架下に新設された新南改札。駅前のタワマンからメインルートになっている。
左:2010年に開業した横須賀線武蔵小杉駅
右:横浜寄りの高架下に新設された新南改札。駅前のタワマンからメインルートになっている。
上:2010年に開業した横須賀線武蔵小杉駅
下:横浜寄りの高架下に新設された新南改札。駅前のタワマンからメインルートになっている。

 武蔵小杉駅は、JR南武線・横須賀線・東急東横線・目黒線の4路線が乗り入れており、川崎駅・新百合ヶ丘駅周辺とともに川崎市の広域拠点整備地区に位置付けられています。当駅周辺はこのように交通の利便性に優れる地域でありながら、1990年代末まで駅前は工場や企業が所有するグラウンド、小規模な商業ビルが密集するなど利用密度が低い状態が続いてきました。
 川崎市では2005(平成17)年に市内の新たな都市開発計画である「川崎フロンティアプラン」を制定し、武蔵小杉駅周辺のまちづくりの高度化を図っていくことになりました。この計画のメインをなすのが横須賀線武蔵小杉駅の新設です。1980(昭和55)年に東海道線・横須賀線の分離運転開始に伴い、横須賀線が武蔵小杉地区を通るようになりましたが、駅は新設されなかったため東京方面へ向かうには当時渋谷止まりかつ混雑の激しい東急線を利用するか、川崎駅経由で東海道線に乗り換える必要がありました。横須賀線武蔵小杉駅は2010(平成22)年に開業し、品川・東京・渋谷・新宿・池袋の各方面へ直行することが可能となりました。

武蔵小杉駅の乗降客数推移
武蔵小杉駅周辺に林立するタワーマンション
横須賀線ホームに新設された入場専用エスカレーター。この時点では床材の仕上げが一部未完成となっており、完成を待つ余裕が無いほど切迫した混雑状況が伺われた。
左:武蔵小杉駅の乗降客数推移
右上:武蔵小杉駅周辺に林立するタワーマンション
右下:横須賀線ホームに新設された入場専用エスカレーター。この時点では床材の仕上げが一部未完成となっており、完成を待つ余裕が無いほど切迫した混雑状況が伺われた。2018年5月13日撮影
上:武蔵小杉駅の乗降客数推移
中:武蔵小杉駅周辺に林立するタワーマンション
下:横須賀線ホームに新設された入場専用エスカレーター。この時点では床材の仕上げが一部未完成となっており、完成を待つ余裕が無いほど切迫した混雑状況が伺われた。2018年5月13日撮影

 横須賀線の駅新設に合わせて武蔵小杉駅南側ではタワーマンション建設が計画されており、当駅の利用者は1日7万人程度になると想定していました。しかし、当駅新設により東京方面への所要時間がおよそ20分という劇的な短縮となったことから、当初の予想範囲を超えて駅北側でも次々とタワーマンションの建設が進んでいます。この結果、横須賀線の駅利用者は想定を大きく上回るペースで増加し続けており、2016(平成28)年度には想定の実に3.5倍となる1日25万人へ激増しました。
 この利用者の急増のため駅構内では終日に渡り激しい混雑が発生しました。中でも特に混雑が激しいのがタワーマンション群の中にある新南改札と南武線ホームをつなぐ連絡通路の2箇所でした。新南改札では、朝ラッシュ時に駅へ入場する利用者が「渋滞」を引き起こしており、少しでも列車に遅延が発生するとその列が駅前ロータリーを超えて数百メートルに達することもありました。JR東日本では応急対応として横須賀線ホームへの入場専用改札の増設等を行ってきましたが、それもすぐに限界となることが予想されました。そこで川崎市と協議のうえで横須賀線下り専用ホームを増設することを決定しました。

横須賀線下りホーム新設工事 完成した下りホーム
左:横須賀線下りホーム新設工事。2020年8月11日撮影
右:完成した下りホーム。2022年12月28日撮影
上:横須賀線下りホーム新設工事。2020年8月11日撮影
下:完成した下りホーム。2022年12月28日撮影

 増設される下りホームは、隣接するNEC玉川事業場の建物に重ならない範囲で最大限のサイズとなる平均5mの幅を確保しました。ホームの位置は東京寄りの南武線ホーム連絡通路の利用者の流動を妨げないよう横浜寄りに55mずらされています。下りホームの増設後、既存ホームは下り線側に柵を設置し上り専用ホームとして使用します。横須賀線武蔵小杉駅では朝ラッシュ時におよそ3割の利用者が横浜方面へ向かっており、ホーム分離により十分な混雑緩和が期待できます。ホーム増設にかかる費用はJR東日本が負担します。
 ホーム増設工事は2018(平成30)年春から開始されました。1日でも早い完成が求められたことから、3DCGによる設計やドローンによる資材運搬など最新技術がフル活用され工事のスピードアップが図られています。新ホームは2022(令和4)年12月15日に使用が開始され、上下線のホーム分離による混雑緩和が実現しました。



綱島街道改札オープン

武蔵小杉駅横須賀線新下りホームと綱島街道改札の位置関係
武蔵小杉駅横須賀線新下りホームと綱島街道改札の位置関係
※国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「淡色地図」「空中写真」合成レイヤーに加筆


 横須賀線下り専用ホーム完成後は、引き続き川崎市により東京寄りホーム端直下で新しい改札口の整備が進められました。新改札口は南武線の横に新設される通路により駅西側を通る綱島街道に接続され、拡幅が進められている上丸子跨線橋を経由して駅北側からの新たなアクセスルートとして機能します。新改札の名称は「綱島街道改札」と命名され、昨年12月24日(日)7時に使用を開始しました。

改札内から見た綱島街道改札。左の動く歩道は南武線ホームへの連絡通路。 横須賀線下りホーム端から見た綱島街道改札の建屋
左:改札内から見た綱島街道改札。左の動く歩道は南武線ホームへの連絡通路。
右:横須賀線下りホーム端から見た綱島街道改札の建屋
上:改札内から見た綱島街道改札。左の動く歩道は南武線ホームへの連絡通路。
下:横須賀線下りホーム端から見た綱島街道改札の建屋

 綱島街道改札は、横須賀線ホーム東京寄り端の南武線連絡通路横に新設されました。この場所は下りホーム新設工事中資材置き場などに使用されていた土地です。建屋は平屋のシンプルな構造になっており、そのまま高架下の改札内コンコースに食い込むように合流しています。

綱島街道改札の有人窓口は一部時間帯のみオープン 改札近くに掲出されている構内図
左:綱島街道改札の有人窓口は一部時間帯のみオープン
右:改札近くに掲出されている構内図
上:綱島街道改札の有人窓口は一部時間帯のみオープン
下:改札近くに掲出されている構内図

 綱島街道改札の設備は改札外側がICカードチャージ専用機・黒色の多機能券売機・指定席券売機が各1台ずつ、自動改札機が6通路、改札内側が自動精算機・ICカードチャージ専用機が各1台となっています。自動改札機のうち2通路は磁気券対応(うち1通路は車椅子対応幅)になっています。JR東日本では近い将来Suicaに続く新たなチケットレス乗車サービスとしてQRコード(2次元バーコード)を利用したシステムを導入することを発表しています。綱島街道改札の磁気券対応改札機はこれに対応するためQRコードのスキャナが追加された新型となっています。
 なお、綱島街道改札の営業時間は7:00~23:00となっています。また、有人窓口も設置されていますが、駅員が常駐しているのは朝ラッシュ時(7:00~8:30)と夕方ラッシュ時(17:30~18:30と19:30~20:30)のごく一部となっており、それ以外の時間帯はカメラとインターホンによる遠隔監視となっています。

綱島街道改札を出た先は南武線に並行した通路がある。 横須賀線・東海道新幹線の下をくぐる部分は開業直後南武線ホームへの仮通路があった空間を再利用している。
左:綱島街道改札を出た先は南武線に並行した通路がある。
右:横須賀線・東海道新幹線の下をくぐる部分は開業直後南武線ホームへの仮通路があった空間を再利用している。
上:綱島街道改札を出た先は南武線に並行した通路がある。
下:横須賀線・東海道新幹線の下をくぐる部分は開業直後南武線ホームへの仮通路があった空間を再利用している。

 改札口を出た先は綱島街道方面への地上通路があります。全長に渡り屋根が設置されており、照明もその中に埋め込まれています。通路は南武線の線路に突き当たったところで曲がっており、横須賀線・東海道新幹線の線路をくぐって綱島街道が南武線を跨ぐ上丸子跨線橋の下に通じています。カーブしており敷地外からの見通しも悪いことから、防犯カメラが複数台設置されています。
 なお、横須賀線の駅建設時は現在の南武線連絡通路の工事が難航しており、2010年3月の開業時に完成が間に合いませんでした。そのため、翌年6月に現在の南武線連絡通路が完成するまでの間、今回通路が新設された空間を使って仮設の改札内コンコースが設けられていました。(当時の写真①当時の写真②

綱島街道の下で通路は2方向に分かれる。通路の床面は通行方向を示すおペイントが施されている。
階段を登ると綱島街道南行き側の歩道に出る
地上を直進すると南武線ホーム南側の住宅地内に出る
左上:綱島街道の下で通路は2方向に分かれる。通路の床面は通行方向を示すおペイントが施されている。
右上:階段を登ると綱島街道南行き側の歩道に出る
右下:地上を直進すると南武線ホーム南側の住宅地内に出る
上:綱島街道の下で通路は2方向に分かれる。通路の床面は通行方向を示すおペイントが施されている。
中:階段を登ると綱島街道南行き側の歩道に出る
下:地上を直進すると南武線ホーム南側の住宅地内に出る

 綱島街道の下で通路は2方向に分かれます。左の階段を登った先は綱島街道の南行き(横浜方面)車線側の歩道に通じています。このルートが完成したことにより武蔵小杉駅北側(新丸子駅方面)から最短距離で横須賀線ホームへ向かうことが可能になりました。
 地上の通路をそのまま進むと、南武線ホーム南側の住宅地の中に出ます。この道路をそのまま進むと東急線武蔵小杉駅東口のロータリーに通じており、東急線の改札までの間をショートカットすることが可能です。南武線連絡通路の動く歩道は混雑していることも多いため、天候が良い場合は横須賀線と東急線の乗り換えにこのルートを利用するのもおすすめです。

綱島街道北行き側の階段予定部分
綱島街道北行き側の階段予定部分

 なお、頭上を交差する綱島街道上丸子跨線橋は4車線への拡幅工事が概ね完成しており、北行き(東京方面)車線側の歩道の工事を残すのみとなっています。歩道が完成すると階段経由で南武線ホーム北側へも最短距離で行くことが可能となるため、綱島街道改札への新たなルートとして機能するようになります。

既存ホームの下り線側は封鎖完了

横須賀線既存ホームは下り線側の固定柵設置が完了した ホーム増設工事に伴い移動していた新南改札も元の位置に戻った
左:横須賀線既存ホームは下り線側の固定柵設置が完了した
右:ホーム増設工事に伴い移動していた新南改札も元の位置に戻った
上:横須賀線既存ホームは下り線側の固定柵設置が完了した
下:ホーム増設工事に伴い移動していた新南改札も元の位置に戻った

 横須賀線下り専用ホームの完成により既存ホームは上り線専用になりました。使用しなくなった下り線側は当初ロープによる簡易的な封鎖が行われていましたが、2023年春以降線路に近接した床面を取り壊したうえでステンレス製の固定柵を設置する工事が進められました。工事は線路側に飛び出している梁を切断したうえで残った部分の上に鋼材を敷き詰めるなどやや複雑な工程となりましたが、秋頃までにすべての工事が完了しています。
 また、下りホームの工事に伴い一時位置が変更されていた新南改札についても工事終了に伴い事務室などが再築され元の位置に復旧されました。これにより駅本体部分の工事はすべて完成となりました。

 開業からわずか10年にして大幅な手直しが必要となってしまった横須賀線武蔵小杉駅ですが、コロナ禍後の通勤利用者の減少傾向や少子高齢化などび人口動態を考慮すると現在よりもさらに利用者が増えるようなことは無いと予想されます。この付近では近日中に南武線の高架化工事の着手が予定されていることから、今後はそちらについて調査を行っていく予定です。引き続き川崎市内の鉄道の変化について注目してまいります。

▼参考
JR横須賀線武蔵小杉駅及び駅周辺の混雑緩和に向けた取組を進めます - JR東日本ニュースリリース(PDF/526KB)
横須賀線武蔵小杉駅の混雑緩和に向けて下りホーム新設工事に着手します - JR東日本ニュースリリース(PDF/434KB)
横須賀線 武蔵小杉駅 新下りホームの供用を開始します - JR東日本ニュースリリース(PDF/200KB)
JR武蔵小杉駅新規改札口設置工事に着手します - JR東日本ニュースリリース(PDF/228KB)
JR武蔵小杉駅新規改札口「綱島街道改札」を供用開始します! - JR東日本ニュースリリース(PDF/117KB)
川崎市 : 小杉駅周辺地区
川崎市:JR横須賀線武蔵小杉駅及び駅周辺の混雑緩和に向けた取組
武蔵小杉駅混雑緩和対策(2面2線化) - 東工技報No.32(2018年)71~75ページ
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