武蔵小杉駅横須賀線新下りホーム使用開始(2022年12月28日取材)

武蔵小杉駅新下りホームを発車するE217系

JR武蔵小杉駅では周辺開発の進展に伴い、駅構内の混雑が激しくなっています。この問題を解決するため、2018年より横須賀線下りホーム増設をメインとする施設の拡張工事が進められ、昨年12月18日(日)にその新ホームの使用が開始されました。今回は新下りホームの完成状況を中心に現地の状況をお伝えします。

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武蔵小杉駅横須賀線ホーム増設工事(2022年2・10月取材)(2022年12月15日作成)

横須賀線武蔵小杉駅開業と急激な利用者数増加

武蔵小杉駅横須賀線ホーム 横須賀線武蔵小杉駅開業前後の乗降客数の推移
左:武蔵小杉駅横須賀線ホーム
右:横須賀線武蔵小杉駅開業前後の乗降客数の推移
上:武蔵小杉駅横須賀線ホーム
下:横須賀線武蔵小杉駅開業前後の乗降客数の推移

 横須賀線武蔵小杉駅の新設は、2005(平成17)年3月に制定された川崎市の都市計画「川崎フロンティアプラン」の中に盛り込まれたもので、武蔵小杉駅周辺の工場移転に伴う再開発のメインとして位置づけられています。設置位置は西大井~新川崎間の南武線との交差地点で、2010(平成22)年の開業後は特急湘南などごく一部を除きこの線路上を走行する全列車が停車しています。当駅の開業により、東京駅までの所要時間は従来の川崎経由と比べ約20分短縮されました。
  武蔵小杉駅周辺では、横須賀線の新駅計画時点より工場跡地にタワーマンション建設が計画されており、当初1日7万人の利用を見込んでいました。しかし、新駅開業により東京都心への利便性が大幅に向上した結果、当初想定していなかった南武線北側でも大型マンションが次々と建設されるようになりました。これにより横須賀線の利用者数は想定を上回るペースで増加し続けており、2016(平成28)年度には当初予測の3.5倍となる1日約25万人に達しています。
 この急激な周辺人口増加のため、駅構内では横須賀線ホームを中心に激しい混雑が発生しています。これまでJR東日本では横須賀線ホームへの入場専用改札の増設や、現状の用地を活用した南武線ホーム拡幅などの対応を行ってきましたが、解決には程遠い状況でした。そこで、2018(平成30)年にJR東日本と川崎市は抜本的な混雑緩和対策として、横須賀線下りホーム増設をメインする対策を行うことを決定しました。

武蔵小杉駅横須賀線ホームの断面図 武蔵小杉駅横須賀線下りホームの増設位置
左:武蔵小杉駅横須賀線ホームの断面図
右:武蔵小杉駅横須賀線下りホームの増設位置
上:武蔵小杉駅横須賀線ホームの断面図
下:武蔵小杉駅横須賀線下りホームの増設位置
※国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「淡色地図」「空中写真」合成レイヤーに加筆


 増設される下りホームはNEC玉川事業場の建物に重ならない範囲で最大限のサイズを確保することとし、平均の幅は5mになる計画です。ホームの位置は東京寄りの南武線ホーム連絡通路の利用者の流動を妨げないよう横浜寄りに55mずらされます。下りホームの増設後、現ホームは下り線側に柵を設置し上り専用ホームとして使用します。新ホームの設置にかかる費用はJR東日本が負担します。
 これに加えて、南武線ホーム連絡通路の接続地点に新しい改札口が設置されます。新改札口は綱島街道・東海道新幹線・横須賀線の下を横断して新設される通路を経由し、駅西側のマンション群とのアクセスルートを形成します。新改札口の工事は現在も進行中となっており(後述)、2023年度中の完成予定となっています。



新下りホーム使用開始

2020年より本格的に開始された横須賀線武蔵小杉駅のホーム増設工事は、最新の3DCG技術による工事の効率化といった取り組みもあり非常に順調に進み、昨年12月15日(日)に新下りホームの使用開始を迎えました。今回はその新ホームを中心に現地の様子を見てまいります。

東京寄りのホーム端。直下に南武線への連絡通路があるためこの付近が最も広い。
ホーム中央付近。ここから横浜方面は5mほどで一定のホーム幅となっている。
東京寄りの南武線連絡通路を避けたため、新ホームは横浜寄りにずれている。
左:東京寄りのホーム端。直下に南武線への連絡通路があるためこの付近が最も広い。
右上:ホーム中央付近。ここから横浜方面は5mほどで一定のホーム幅となっている。
右下:東京寄りの南武線連絡通路を避けたため、新ホームは横浜寄りにずれている。
上:東京寄りのホーム端。直下に南武線への連絡通路があるためこの付近が最も広い。
中:ホーム中央付近。ここから横浜方面は5mほどで一定のホーム幅となっている。
下:東京寄りの南武線連絡通路を避けたため、新ホームは横浜寄りにずれている。

 新下りホームは、NEC玉川事業場の工場建屋と横須賀線下り線のわずかな隙間に新設されたことから、南武線乗り換え連絡通路がある横浜寄りのホーム端のみ広く、それ以外の部分は5mほどの一定の幅となっています。下りホームはラッシュのピーク時間帯でも乗車待ちの列がそれほど長く伸びることはないため、このような割り切ったサイズにできたとも言えます。
 また、上記の通り横浜寄りのホーム端の直下には南武線ホームへの連絡通路があるため、新下りホームは横浜方面に約3両分ずれています。既存ホーム内に並行してホームを新設した部分は、既存ホームの屋根を支えている支柱が撤去不可能であるため、新ホーム上の柱が多くなりすぎないよう外側からターンバックル付きの鋼棒で屋根を吊っています。一方横浜寄りに飛び出している部分はそのような制約がないため、ホーム上にも支柱を立てた一般的な屋根の構造になっています。新ホームの屋根は既存ホームと同様白色の膜が使われており、側壁も半透明のプラスチック板になっていることから、照明の数を抑えつつ十分な明るさを確保しています。

ホーム上の案内板は白をベースカラーにした新デザイン スピーカーも周囲のデザインに合わせて白の筐体を採用
左:ホーム上の案内板は白をベースカラーにした新デザイン
右:スピーカーも周囲のデザインに合わせて白の筐体を採用
上:ホーム上の案内板は白をベースカラーにした新デザイン
下:スピーカーも周囲のデザインに合わせて白の筐体を採用

 新ホームの案内板は、先月開業した京葉線幕張豊砂駅と同様ベースカラーを白とした新しいデザインが採用されています。ホーム屋根から吊り下げられているスピーカーも白色(JVCケンウッド製全天候耐塩スピーカーPS-S112WSが使用されています。新ホームへの移転による発車メロディーの変更はありません。

既存ホームの下り線側はロープで封鎖された。 新ホームは横浜寄りにずれているためホーム上の閉塞信号機も移設。
左:既存ホームの下り線側はロープで封鎖された。
右:新ホームは横浜寄りにずれているためホーム上の閉塞信号機も移設。
上:既存ホームの下り線側はロープで封鎖された。
下:新ホームは横浜寄りにずれているためホーム上の閉塞信号機も移設。

 使用を終了した既存ホームの下り線側は直ちにロープが張られ封鎖されました。新ホームの停止位置が横浜寄りに移動したことから、ホームの途中にあった下り線の閉塞信号機も移設されています。現地を訪問した12月末時点では古い信号機は消灯した状態で残されており、運転士が誤認しないよう白い×印が取り付けられていました。

2月以降は既存ホーム下り線側の縁端撤去が開始された。
2月以降は既存ホーム下り線側の縁端撤去が開始された。2023年2月26日撮影

 駅のホームは車両とホームの隙間を狭くするため特別に線路に近づけて構造物を設置しており、使用を終了した場合は線路に近接している部分を速やかに撤去する必要があります。そのため、年が変わって2月以降は既存ホームの下り線側の床面が順次取り壊されるとともに、ロープ柵をステンレス製の固定柵に置き換える工事が進められています。

ホーム下のコンコースは新ホームへ通じる階段部分のみ拡張されている。 ホーム下のコンコースは新ホームへ通じる階段部分のみ拡張されている。
横浜寄りの新ホーム階段は狭い。 エレベーターはコンコース中央に独立している。
上2枚:ホーム下のコンコースは新ホームへ通じる階段部分のみ拡張されている。
左下:横浜寄りの新ホーム階段は狭い。
右下:エレベーターはコンコース中央に独立している。
1・2枚目:ホーム下のコンコースは新ホームへ通じる階段部分のみ拡張されている。
3枚目:横浜寄りの新ホーム階段は狭い。
4枚目:エレベーターはコンコース中央に独立している。

 ホーム下のコンコースは新下りホームへ通じる階段などが設置された部分のみ拡張されました。新ホームは上記の通りそれほど混雑はしないと予想されるため、階段は3か所、エスカレーターは東京寄りの端の階段に上り1機のみ設置と少なくなっています。敷地幅が限られていることもあり、階段の幅も横浜寄りに設置されたものは幅が2mほどと狭くなっています。階段周りの内装は既存部分とはやや異なっており、天井は穴が無数に開いたパネルの間にダウンライトが埋め込まれています。

新改札口は今年度中にオープン

東京寄りのホーム端から見た新改札口予定地。新ホームの工事機材が撤去され、新改札建屋の建築準備が整った。 階段下の新改札口予定地は壁が仮設となっている。
左:東京寄りのホーム端から見た新改札口予定地。新ホームの工事機材が撤去され、新改札建屋の建築準備が整った。
右:階段下の新改札口予定地は壁が仮設となっている。
上:東京寄りのホーム端から見た新改札口予定地。新ホームの工事機材が撤去され、新改札建屋の建築準備が整った。
下:階段下の新改札口予定地は壁が仮設となっている。

 駅北側からのアクセスルートとなる新改札口は、東京寄りの階段を降りてすぐのところに設けられます。予定地は壁が仮設のパネルとなっています。川崎市とJR東日本の間の施工協定は昨年6月に締結されており、新ホームの工事機材が撤収した今年1月以降は新改札口の建屋の工事が本格化しています。完成は2023年度内の予定です。引き続きこちらの状況についても調査してまいります。

▼参考
JR横須賀線武蔵小杉駅及び駅周辺の混雑緩和に向けた取組を進めます - JR東日本ニュースリリース(PDF/526KB)
横須賀線武蔵小杉駅の混雑緩和に向けて下りホーム新設工事に着手します - JR東日本ニュースリリース(PDF/434KB)
横須賀線 武蔵小杉駅 新下りホームの供用を開始します - JR東日本ニュースリリース(PDF/200KB)
JR武蔵小杉駅新規改札口設置工事に着手します - JR東日本ニュースリリース(PDF/228KB)
川崎市:JR横須賀線武蔵小杉駅及び駅周辺の混雑緩和に向けた取組
武蔵小杉駅混雑緩和対策(2面2線化) - 東工技報No.32(2018年)71~75ページ
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