新横浜駅②地下の様子 - 相鉄・東急新横浜線開業(3)

新横浜駅に停車中の東急5080系海老名行き

今年3月に開業した相鉄・東急新横浜線の開業レポートの続きです。3回目の今回は新横浜駅の改札口からホームまでの様子について解説します。

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相鉄・東急新横浜駅の様子②

相鉄・東急新横浜駅の階層図
相鉄・東急新横浜駅の階層図

 相鉄・東急新横浜駅は地下4層構造で、地下1階が改札口、地下2階が階段踊り場やエスカレーターの乗り継ぎコンコース、地下4階がホームとなっています。駅の中央を前回説明した横浜市営地下鉄ブルーラインが交差しているため、改札口は日吉側の北改札と西谷側の南改札に二分されており、地下2・3階では双方のコンコースを行き来することはできません。また、北改札にはエレベーターが一切無いため、車椅子やベビーカーを利用する際は南改札から出入りする必要があります。

●北改札側地下1~3階
日吉側にある北改札 改札口横の天井は一部吹き抜けになっており地上から外光が射し込む
左:日吉側にある北改札
右:改札口横の天井は一部吹き抜けになっており地上から外光が射し込む
上:日吉側にある北改札
下:改札口横の天井は一部吹き抜けになっており地上から外光が射し込む

 日吉駅側の北改札は線路直角の方向に自動改札機と自動券売機が並んでおり、その左右に出口6・7への通路があります。券売機は相鉄用と東急用が別で2台ずつと交通系ICガード(Suica・PASMO等)チャージ専用機1台の計5台が設置されており、運賃表も相鉄・東急で別になっています。
 天井はホワイトのパネルの間に線状の照明が埋め込まれており、壁や柱はホワイトまたは濃いグレー、床はホワイトまたはブラックのタイルとなっています。出口7へ通じる通路側の天井は一部が換気口を兼ねた吹き抜けになっており、昼間は地上から外光が差し込みます。

改札口の天井に設置されている発車案内モニター
改札口の天井に設置されている発車案内モニター

 改札口を入ってすぐの天井には相鉄用と東急用の発車案内モニターが2画面ずつ設置されています。いずれも左側が発車番線・列車種別・発車時刻・行先、右側が停車駅をスクロール表示するものとなっており、直近4列車分を表示します。後述する通り通常は相鉄線西谷方面が1・2番線、東急線日吉方面が3・4番線から発車しますが、ダイヤ乱れ等でこれと異なる発車番線になる場合は背景と数字の関係を逆転させる(白地に黒文字とする)ことで利用者に注意喚起をします。
 一方固定式の案内板は、ネイビーをベースとした相鉄標準のものともグレーをベースとした東急標準のものとも異なる当駅完全オリジナルのフォーマットとなっています。案内板自体の数が過度に増えないよう、出口や改札口が近接している箇所では内容を2段に区切ってまとめる等の工夫がなされています。

北改札を入った先にある階段・エスカレーターとトイレ
地下2階で階段とエスカレーターは折り返す
地下3階で各ホームへの動線が振り分けられる
左:北改札を入った先にある階段・エスカレーターとトイレ
右上:地下2階で階段とエスカレーターは折り返す
右下:地下3階で各ホームへの動線が振り分けられる
上:北改札を入った先にある階段・エスカレーターとトイレ
中:地下2階で階段とエスカレーターは折り返す
下:地下3階で各ホームへの動線が振り分けられる

 北改札を入ると正面にトイレがあり、その左側にエスカレーター1機と階段、右側にエスカレーターが3機あります。前回の記事の最初にも解説しましたが、地下駅全体の幅が狭いため、左側のエスカレーターは1人幅になっています。
 地下2階では双方のエスカレーター・階段が同じ数量を維持したままUターンして地下3階へ向かいます。地下3階のコンコースは天井は低いものの床面積は一気に広くなり、双方のホームへ階段2箇所、上下エスカレーター1箇所へ通路が枝分かれしていきます。内装は改札口とデザインが変わり、天井は細かい凹凸が付いたブラウンのパネルにダウンライトの組み合わせ、床はコンクリートの質感を生かしたシンプルなものとなっています。



●南改札側地下1~3階
西谷側にある南改札
JR線乗り換え推奨ルートである出口5Aを降りると目の前に南改札が現れる
南改札を内側から見たところ。自動改札機がL型に設置されている。
左:西谷側にある南改札
右上:JR線乗り換え推奨ルートである出口5Aを降りると目の前に南改札が現れる
右下:南改札を内側から見たところ。自動改札機がL型に設置されている。
上:西谷側にある南改札
中:JR線乗り換え推奨ルートである出口5Aを降りると目の前に南改札が現れる
下:南改札を内側から見たところ。自動改札機がL型に設置されている。

 西谷駅側の南改札は線路直角方向に加えてJR線乗り換え推奨ルートである出口5側にも自動改札機が設置されており、L字型の改札口になっています。前者が「南改札A」、後者が「南改札B」と命名されおり、券売機は南改札B側にまとめて設置されています。地上の歩行者デッキから出口5Aのエスカレーターに乗ると、降り口のすぐ目の前に南改札Bが現れるため迷う心配がありません。現状AB双方の改札とも自動改札機は3通路と少なめですが、いずれも横のガラス製柵を撤去することで増設可能になっており、将来の利用者増加にも対応しています。

南改札内の壁面は新横浜駅の地層をイメージした塗り分けが施されている 5A出入口裏にある待合室
左:南改札内の壁面は新横浜駅の地層をイメージした塗り分けが施されている
右:5A出入口裏にある待合室
上:南改札内の壁面は新横浜駅の地層をイメージした塗り分けが施されている
下:5A出入口裏にある待合室

 南改札の天井は等間隔で黒い窪みが設けられておりその中に小型の照明器具が間隔を開けて埋め込まれています。壁は新横浜駅周辺の地層をイメージした塗り分けとなっています。
 また、南改札Bの券売機横(出口5Aの裏)には木製のベンチを備えた待合室が設けられています。待合室内にはコーヒーの自動販売機やスマートフォンの非接触充電機能が内蔵されたテーブルがあります。

南改札を入った先は北改札と同じく階段・エスカレーターの間にトイレがある
地下2階でエスカレーターのみ折り返す
階段はさらに下の地下3階で折り返す
左:南改札を入った先は北改札と同じく階段・エスカレーターの間にトイレがある
右上:地下2階でエスカレーターのみ折り返す
右下:階段はさらに下の地下3階で折り返す
上:南改札を入った先は北改札と同じく階段・エスカレーターの間にトイレがある
中:地下2階でエスカレーターのみ折り返す
下:階段はさらに下の地下3階で折り返す

 南改札も改札を入ると正面にトイレがあり、その両側に階段とエスカレーターがあります。エレベーターはAの自動改札機と同じ場所に並んでおり、改札を入った後Uターンして乗り込みます。
 地下2階は北改札と同様階段の踊り場とエスカレーターの乗り継ぎフロアとなっています。エスカレーター地下4階のホームまで一気に降りるのに対し、階段は地下3階に降りた後折り返して地下4階に降りる構造になっています。地下2・3階の内装デザインは北改札と同一です。

●地下4階
地下4階のホーム中央付近。この付近は8mほどの幅がある。 ホームは両端に向かって狭くなる形状になっており端では2mほどしか幅が無い。
左:地下4階のホーム中央付近。この付近は8mほどの幅がある。
右:ホームは両端に向かって狭くなる形状になっており端では2mほどしか幅が無い。
上:地下4階のホーム中央付近。この付近は8mほどの幅がある。
下:ホームは両端に向かって狭くなる形状になっており端では2mほどしか幅が無い。

 地下4階のホームは島式2面3線で、真ん中の線路は両側にホームがある構造になっています。ホームは通常南側の1番線が相鉄線直通西谷方面、真ん中の2・3番線が東急目黒線の当駅始発(折返し)、4番線が東急線直通日吉方面がそれぞれ使用します。前回説明した通り環状2号線の下にある共同溝を避けたためホーム幅はあまり広くなく、中央付近で概ね8mほど、両端は2mほどとかなり窮屈な形状となっています。
 天井のパネルは上階のコンコースと同一ですが、床面はデザインが変わり乗降口周辺は濃いグレー、それ以外の部分は明度が異なる細長いベージュのタイルをランダムに敷き詰めたものとなっています。国土交通省の公共交通移動等円滑化基準に基づき、全てのホームにホームドア(可動式ホーム柵)を完備しています。ホームドアシステムの特徴は次回詳しく解説します。

▼脚注
移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備並びに旅客施設及び車両等を使用した役務の提供の方法に関する基準を定める省令第20条の6「発着するすべての鉄道車両の旅客用乗降口の位置が一定しており、鉄道車両を自動的に一定の位置に停止させることができるプラットホーム(鋼索鉄道に係るものを除く。)にあっては、ホームドア又は可動式ホーム柵(旅客の円滑な流動に支障を及ぼすおそれがある場合にあっては、内方線付き点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止するための設備)が設けられていること。」

▼参考
バリアフリー:公共交通関係のガイドライン - 国土交通省
移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備並びに旅客施設及び車両等を使用した役務の提供の方法に関する基準を定める省令 | e-Gov法令検索

ホームから上階のコンコースへ上がる階段とエスカレーター。階段は幅が2mほどしかない。 ホームから上階のコンコースへ上がる階段とエスカレーター。階段は幅が2mほどしかない。
ホームから上階のコンコースへ上がる階段とエスカレーター。階段は幅が2mほどしかない。

 各ホームから上階のコンコースに向かう通路は階段が3箇所、上下エスカレーター2箇所、エレベーターが1箇所ずつ設置されています。ホーム両端の階段は上記のホーム形状の影響を受けて幅が2mほどとかなり狭くなっています。また、エスカレーター前のスペースもあまり広くなく、開業初日には列車到着時に激しい混雑が発生しました。エスカレーター降り口での滞留は事故の危険性が高いため、早々に床面へ「ここで立ち止まらないでください」というシールが貼られてしまいました。
 地下空間の利用は基本的に「早い者勝ち」であり、後から作られる施設は先にできた施設を避けることを余儀なくされます。副都心線・東横線渋谷駅の開業時も問題になりましたが、大都市での交通インフラ整備の難しさを認識させられる光景でした。
 次回は新たに入手した資料から判明した相鉄・東急両社に対応する新横浜駅のホームドアの特徴について解説します。

▼参考
2023.3.18相鉄・東急直通線開業|相鉄グループ
相鉄・東急 新横浜線 2023年3月開業予定| 東急電鉄株式会社
相鉄・東急新横浜線ご利用ハンドブック(PDF/27.23MB
市営地下鉄ブルーライン新横浜駅の新しい改札口をオープンします! 横浜市
特集 相鉄新横浜線、東急新横浜線の機械設備 - R&M : Rolling stock & machinery 2023年4月号
信号通信設備新設・改修 : 制御システム間の協調、多種・多編成などの問題を解決し、相互乗り入れネットワークを拡大 : 相鉄・東急新横浜線開通 - 京三サーキュラー2023年号
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