東横線跡地の再開発が続々完成 - 渋谷駅再開発2019-2020(1)
公開日:2020年01月11日10:10

改めまして、新年あけましておめでとうございます。本年も未来へのレポートをよろしくお願いします。
前回の記事でお伝えした通り、今週末1月12日(日)に渋谷ヒカリエにて弊サイトも出展する同人誌即売会・トークイベント“DOUJIN SHIBUYA”が開催されます。これにちなみまして、新年1回目の記事は渋谷駅周辺で2018~2019年に完成した再開発ビルについてレポートすることとします。
▼関連記事
渋谷駅再開発事業の概要 - 渋谷駅再開発2018(1)(2018年5月5日作成)
東横線地上線路跡地の再開発

東急東横線渋谷~代官山間の跡地利用図
2013年3月に東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転が開始されました。この直通運転開始に伴い、東横線渋谷~代官山間は地下化され、頭端式の渋谷駅地上ホームと駅間の高架橋の線路は廃止されました。このうち、渋谷駅地上ホームの跡地については次回以降説明するJR山手線・埼京線のホーム並列化の用地に充てられる他、高層ビルが2棟建設されました。また、駅間については地下に東横線のトンネルが通っていることから、遊歩道として整備されたほか、以前記事で紹介したログロード代官山をはじめとする中低層ビルが数棟建設されました。
渋谷スクランブルスクエア第1期(渋谷駅街区東棟)と東口地下広場


左(1):渋谷駅東横線地上ホーム跡地に完成した渋谷スクランブルスクエア。(同じ場所の2013年12月1日の様子)
右(2):地下3階副都心線渋谷ヒカリエ改札前にある渋谷スクランブルスクエア入口。ロゴは漢字の「渋」を図案化したものである。
東横線地上ホーム跡地の北半分には地上47階・地下7階建ての超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」が2019年11月1日に開業しました。渋谷スクランブルスクエアの低層部分の地下2階~地上14階は東急ハンズ、渋谷に本社があるNHKのPR施設「NH|KプラスクロスSHIBUYA」※1をはじめとする商業施設、15階は産学で連携した新ビジネス創造施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」となっています。高層部分の17~45階はオフィスとなっており、ミクシィ、GMOインターネット、サイバーエージェントなどIT関連の大手企業が入居しています。
そしてこの施設最大の目玉が45階と屋上にある展望施設「渋谷スカイ」です。渋谷スカイは地上230mの屋上に常時出られるのが特徴になっており、360度ガラス張りの屋上からは遮るものが一切無しで東京都心を一望できます。45階から屋上に上がる部分にはエスカレーターも設置されており、ビルの一部が欠けているのを利用してあたかも超高層ビルの端に立ったかのような写真を撮ることも可能になっています。また、屋上にはソファーやハンモックも設置されるなど従来の展望施設とは異なる楽しみ方もできるようになっています。
左(1):渋谷スクランブルスクエア屋上の展望施設「渋谷スカイ」。全周ガラス張りになっている。
右上(2):46階から屋上へ上がる階段とエスカレーター。
右下(3):ハンモックやソファーも設けられている。
右上(2):46階から屋上へ上がる階段とエスカレーター。
右下(3):ハンモックやソファーも設けられている。
なお、屋上は風が強く物が飛ばされるとビルの周囲に落下して大惨事になる恐れがあるため、携帯電話・ストラップの付いたカメラ以外の携行物は基本的に持込禁止となっており46階のコインロッカーに預ける必要があります。コインロッカーの数量が一度に入場できる人数の上限となるため、渋谷スカイのチケットは時間指定制になっており、当日の混雑状況によりすぐ入場できない場合もあります。インターネットでの事前販売チケット(当日券より100~200円OFF)のご購入がオススメです。


左(1):11月1日より開放された東口地下広場。奥の天井が低い部分には移設された渋谷川が通っている。
右(2):渋谷スクランブルスクエア内に設けられたアーバンコア。渋谷駅におけるメインの乗り換え動線となる。
渋谷スクランブルスクエア開業と同日、直下で建設中だった渋谷駅東口地下広場も利用が開始されました。この地下広場は東口地下を流れる渋谷川の流路移設と雨水貯水槽の建設に合わせて設けられたもので(地下広場周辺の構造図)、渋谷スクランブルスクエア内に設けられた3番目のアーバンコア(上下方向の移動経路)と連携した乗り換え通路となっています。移設後の渋谷川は地下広場中央の上部を斜めに横断しており、その部分は天井が低くなっています。
地下広場の利用開始に合わせて、これまで通し番号になっていた東急・東京メトロ渋谷駅(地下)の出口番号が全て振り直されました。新しい番号は山手線西側、東側、南側の3群に分割し、それぞれA・B・Cの頭文字を追加してだいたいどのエリアに出るのかを判りやすくしています。なお、旧9出口は地下広場利用開始と同時に廃止されており、将来JR渋谷駅ハチ公口が移設される埼京線高架橋脇にB7出口として移転しています。
▼脚注
※1:渋谷のNHK放送センターに併設されているスタジオパークは局舎建て替えのため今年7月で閉館する予定になっており、渋谷スクランブルスクエアのPR施設は事実上その代替となる。そのため、施設内には番組収録にも利用できる小規模スタジオも設けられている。
▼参考
SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE(公式サイト)
渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)、2019年11月1日(金)に開業決定 日本初上陸を含む全212店のショップ&レストラン発表! - 東急株式会社ニュースリリース(2019年7月4日)
渋谷ストリーム(渋谷駅南街区)

渋谷スカイから見下ろした渋谷ストリーム。ビルの上部には「Google」のロゴが入っている。
東横線地上ホーム跡地南側には、地上35階・地下4階建ての超高層ビル「渋谷ストリーム」が2018年9月3日に開業しました。渋谷ストリーム低層部分の1~13階は飲食店を中心とした商業施設と東急グループのビジネスホテル「渋谷ストリームエクセルホテル東急」、高層部分の14階以上はオフィスとなっており、ネット検索大手のGoogle日本法人の貸切となっています。
また、高層ビルとは別棟で「渋谷ストリームホール」も新設されました。このホールはライブ・会議など様々な利用に対応できる多目的ホールで、最大定員は650名(オールスタンディング時)となっています。こけら落とし公演はデビューシングル「サイレントマジョリティー」のMVを当地で撮影した欅坂46が行いました。駅直結の利便性に優れたホールなだけに様々なイベントでの活用が期待されます。
左(1):渋谷ストリームとC2出口の間は渋谷川の上に蓋がされ広場になった。(同じ場所の2006年5月4日の様子)
右上(2):渋谷川護岸には下水の再生水が流されている。
右下(3):渋谷スクランブルスクエアと渋谷ストリームの間の通路は東横線の橋桁を流用しており、特徴的な屋根も復元された。
右上(2):渋谷川護岸には下水の再生水が流されている。
右下(3):渋谷スクランブルスクエアと渋谷ストリームの間の通路は東横線の橋桁を流用しており、特徴的な屋根も復元された。
渋谷ストリームの建設に合わせて渋谷川の一部に蓋がされて広場となったほか、近傍にある国道246号線と明治通りの交差点(渋谷警察署前交差点)の歩道橋が全面的に架け替えられ、ビル間を連絡するペデストリアンデッキとなりました。このデッキと2017年12月に使用開始済みの副都心線渋谷駅C2(旧16b)出口が一体化され、渋谷駅2番目のアーバンコアを形成しています。デッキの一部は地上ホーム廃止後も残されていた東横線の橋桁を流用しており、床面にはレールが埋め込まれ、頭上にはかつて存在したかまぼこ型の屋根が復元されています。
一方、渋谷ストリーム脇を流れる渋谷川の護岸も再整備され、新宿区にある落合水再生センターで処理された下水の再生水※2が流されるようになりました。これにより渋谷川には常時水が流れるようになりましたが、上流の下水道からは引き続き豪雨時にオーバーフローした汚水が流れ込むため、水質が悪化し悪臭が発生することがあります。風向きによってはこの悪臭が低層階の飲食店にも侵入することがあり、改善が求められています。
▼脚注
※2:以前はやや下流の並木橋の下から放流されていた。
▼参考
渋谷ストリーム/SHIBUYA STREAM(公式サイト)
渋谷駅周辺地区における再開発事業の進捗について - 東急株式会社ニュースリリース(2018年5月24日)
渋谷リバーストリート(遊歩道)
左(1):渋谷ストリームの端から代官山駅方面へ続く渋谷リバーストリート。
右上(2):渋谷リバーストリート内のベンチの一部は東横線の高架橋から切り出されたコンクリートを再利用している。
右下(2):夜間は緑化された渋谷川護岸がライトアップされる。
右上(2):渋谷リバーストリート内のベンチの一部は東横線の高架橋から切り出されたコンクリートを再利用している。
右下(2):夜間は緑化された渋谷川護岸がライトアップされる。
渋谷ストリームから先の東横線廃線跡は遊歩道として整備されました。遊歩道の名称は公募の結果、「渋谷リバーストリート」と命名されました。遊歩道内にはレールやホームなど鉄道をイメージしたモニュメントが数箇所に設けられています。また、途中転々と設けられているベンチの一部には取り壊した高架橋から切り出したコンクリートが使われています。遊歩道の新設に合わせて渋谷川の護岸も一部斜めに切り取られ、芝が植えられました。夜間は電球色のLED照明によりライトアップされ、高層ビルへ続く新しい空間を演出しています。(1月31日まではイルミネーションイベントも開催中。)
渋谷ブリッジ(渋谷代官山Rプロジェクト)
左(1):渋谷清掃工場を回り込むカーブ跡に完成した「渋谷ブリッジ」。(同じ場所の2009年3月21日の様子)
右(2・3):渋谷ブリッジ内にある東横線をイメージしたベンチと壁画。
右(2・3):渋谷ブリッジ内にある東横線をイメージしたベンチと壁画。
並木橋(八幡通り)の先、渋谷清掃工場を回り込む地点には3~7階建ての複合施設「渋谷ブリッジ」が2018年9月3日に開業しました。渋谷ブリッジは途中交差する道路を挟んでA棟・B棟の2つに分かれており、渋谷駅寄りのA棟には保育所型認定こども園「渋谷東しぜんの国こども園 small alley」、代官山駅寄りのB棟には様々な形式の客室があるホテル「MUSTARD HOTEL」・カフェ・オフィスが入居しています。A棟1階は遊歩道と連続する形で通り抜け可能になっており、ここも東横線をイメージした壁画やレールを利用したベンチなどが設置されています。なお、この付近は地下の東横線トンネルが徐々に浅くなってくるため、建物内にいると電車が通過する音や振動が感じられることがあります。
▼参考
SHIBUYA BRIDGE(公式サイト)
「渋谷ブリッジ」9月13日(木)第1弾オープン決定! - 東急株式会社ニュースリリース(2018年7月26日発表/PDF/622KB)
DOUJIN SHIBUYAについて(イベントのご案内と注意事項)
※イベントは終了いたしました。ご来場誠にありがとうございました。

2020年1月10日に渋谷ヒカリエ9階から見た渋谷駅全景。今後は奥の東急百貨店東横店西・南館の再開発が行われる。
再度のご案内となります。
この度、青山学院大学総合文化政策学部黒石いずみ研究室主催により渋谷をテーマにした同人誌即売会・トークイベント“DOUJIN SHIBUYA”が開催されることになりました。ご縁がありまして、弊サークルもこのイベントに出展させていただけることとなりました。開催日は明日1月12日(日)、開催時間は11:30~18:00、場所は渋谷駅前にある渋谷ヒカリエ8階イベントスペース“8/COURT”です。入場は無料です。
当日弊サイトでは東横線跡地の再開発を中心にブログ未公開写真も使用しながらまとめた総集編「渋谷タイムライン」を新刊としてご用意いたします。また、2017・2018年に刊行した「東急新玉川線」シリーズを特別価格にてご提供いたします。渋谷駅直結の超好立地、普段こういったイベントに参加されない読者の皆様にもお楽しみいただけるものとなっております。
新しくなった銀座線渋谷駅にお降りになった後はぜひ渋谷ヒカリエ8階にお立ち寄りください。当日は皆様のお越しを心よりお待ちしております。
【当日販売予定の弊サイト刊行物(予定)】
【ご来場の際のご注意(重要)】
(1)渋谷ヒカリエのオープンは10:00ですが、イベント会場の設営があるため11:30まではご入場いただけません。開場時間以降にご来場ください。
(2)クレジットカードにつきましては読み取り機が故障していることが判明したため、今回は現金のみのお支払いとなります。ご不便をおかけいたしますが、なるべく釣り銭のいらないようご準備をお願いいたします。
(3)イベント当日は雨の可能性がある天気予報となっております。今回は準備期間が大変短くビニール袋等をご用意することができませんでした。お持ち帰り用の袋等をご自身にてご用意いただくようお願いいたします。
(4)販売物につきましては十分な数量をご用意しておりますが、万一開催時間中に完売してしまった場合はご容赦願います。新刊につきましては5月に東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケット98」での販売も予定しております。また、既刊につきましては書店にて委託販売中です。(詳細はこちら)
【イベント概要】
イベント名:DOUJIN SHIBUYA ~様々なシブヤを好きな人のセッションと即売会~
開催日時:2020(令和2)年1月12日(日)11:30~18:00
会場:渋谷ヒカリエ8階“8/COURT”
主催:青山学院大学総合文化政策学部
運営:青山学院大学総合文化政策学部黒石いずみ研究室・さシすせそ準備会
公式Web:https://doujin-shibuya.wixsite.com/event
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