相鉄・東急新横浜線の運行計画と開業記念イベント

東急5050系に装着された新横浜線開業記念ヘッドマーク

相鉄・東急新横浜線開業直前レポート、最後は関係する各鉄道事業者から発表された情報を元にまとめた運行計画の特徴と開業記念イベントの開催についてお伝えします。

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各社局の運行計画

 2月下旬に新横浜線に乗り入れを行う相鉄・東急・東京メトロ・都営地下鉄・埼玉高速鉄道・東武・西武の7社局からダイヤ改正の詳細が発表されました。ここではその情報から新横浜線の運行計画の特徴を要約してみることにします。(あくまで「要約」ですので、正確な内容は各事業者のニュースリリースにてご確認ください。)

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相模鉄道
①海老名からは東急目黒線、湘南台からは東急東横線に直通
西谷駅引上線に停車中の21000系とJR直通線の12000系。新横浜線開業後はJR直通線との競合に配慮した運行計画となる。
西谷駅引上線に停車中の21000系とJR直通線の12000系。新横浜線開業後はJR直通線との競合に配慮した運行計画となる。

 相鉄線では本線海老名から新宿方面のJR直通列車が運行されています。東急線直通ではこれと競合しないよう海老名からは目黒線直通、いずみ野線湘南台からは東横線直通がメインに運行されます。

②西谷~横浜間の区間列車を新設、東急車も充当
 相鉄線側は新横浜線と横浜方面から来る列車の全てを二俣川方面へ流せないことから、西谷~横浜間の区間列車が新設されます。運転本数は土休日の方が多く、昼間は10~20分間隔となっています。
 注目すべきはこの区間列車に東急の車両も充当されることです。(相鉄公式サイトで公開されている時刻表で運行番号にKのサフィックスが付いている列車が該当)2004年のみなとみらい線直通開始以来19年ぶりに横浜駅の地上ホームで東急の電車を見ることができるようになります。

③相鉄線の急行は休止
運行休止が発表された相鉄線内の急行。
運行休止が発表された相鉄線内の急行。2006年9月17日、海老名駅で撮影

 相鉄線では現在「特急」「通勤特急」「急行」「通勤急行」「快速」「各駅停車」の6つの列車種別が運行されています。このうち、特急は2019年のJR直通開始時に西谷駅が停車となった一方、下位種別の急行は引き続き同駅が通過となったため、種別と停車駅の関係が逆転しわかりにくくなっていました。今回の新横浜線開業に合わせて急行の設定を「休止」し、西谷駅には全列車が停車するようになります。

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TY
MG
東急電鉄
①相鉄~東急の直通は最大10本/時、新横浜折り返しも設定
 相鉄線~東急線の直通列車は朝ラッシュピーク時(7・8時台)は最大10本、昼間は1時間に4本の運行となります。これに加えて着工時の計画通り新横浜駅で東急線に折り返す列車が朝ラッシュ時は3~5本、昼間は2本運行されます。
 なお、東急新横浜線新横浜~日吉間は信号設備が全て東急仕様で作られており、かつ6両編成の入線にも対応しています。このため、東急線に乗り入れている全社局(東京メトロ・埼玉高速・都営・東武・西武)の車両が入線する場合があります。(開業初日の3月18日(土)は日産スタジアムのサッカー試合や横浜アリーナでのコンサート開催に合わせ、早速臨時列車が運転される予定です。

▼参考
《東急電鉄:ニュースレター》イベント開催に伴う東急新横浜線・東横線・目黒線の臨時増発列車について|お知らせ|東急電鉄株式会社

②東急新横浜線は目黒線直通メイン、東横線直通は全列車急行に
 東横線直通は10両編成という制約があるため、新横浜線から東横線に直通する列車は全列車が急行になります。そのため運行本数も限定されており、最も多い朝ラッシュピーク時間帯でも1時間に4本の運行に留まる予定です。昼間は1時間に2本とさらに少なく、目黒線との直通がメインとなる予定です。

多摩川駅に停車中の東京メトロ9000系と03系 学芸大学駅付近を走行中の東急1000系菊名行き
2013年3月まで存在した東横線と日比谷線の直通列車。このダイヤが巡り巡って相鉄線直通に活用されることとなった。

 ちなみに朝ラッシュ時の東横線直通急行は現在菊名駅で折り返している各駅停車のダイヤを流用したものとなっています。菊名折り返しの東横線は元をたどれば2013年に廃止となった東京メトロ日比谷線直通列車であり、それが新横浜線直通に振り替えられたことになります。

③目黒線日吉折り返しも継続、朝ラッシュ時の追い抜きは奥沢で
2022年3月に完成した奥沢駅上り通過線を走行する急行。新横浜線開業後はこれをフル活用し、急行の大幅なスピードアップが実現する。
2022年3月に完成した奥沢駅上り通過線を走行する急行。新横浜線開業後はこれをフル活用し、急行の大幅なスピードアップが実現する。

 前々回の記事でも説明した通り、日吉駅には2編成分の引上線が設置されています。これを利用して目黒線の日吉折り返しも引き続き設定されており、昼間は全ての各駅停車が折り返しとなります。このため、引上線の縦列停車機能をフルに使って折り返しが実施されるものとみられます。
 また、朝ラッシュ時の上り急行の追い抜きは現在武蔵小山駅で実施していますが、新横浜線開業後は奥沢駅に変更されます。奥沢と武蔵小山の両方で追い抜きを行う列車も設定され、日吉→目黒の所要時間は現在よりも最大5分短縮(22分→17分)されます。

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東京メトロ副都心線・東武東上線
 東急東横線側はほとんどの列車が渋谷を越えて東京メトロ副都心線へ直通します。副都心線をさらに超えて東武東上線まで直通する列車もあり、土日ダイヤでは小川町まで行く列車が1本設定されています。

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SR
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東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道・都営三田線
 目黒線側についても目黒で折り返す列車はなく、東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線・都営地下鉄三田線へ直通します。南北線については平日・休日とも昼間は最大で新横浜駅までの直通となっており、相鉄線方面に向かう場合は白金高輪以西の駅で三田線や東横線からの列車に乗り換える必要があります。

 このように各社とも一応相鉄線とは直通するものの、本数や時間帯は限定的なものとなっています。その理由は線路容量等の問題もありますが、一番は相鉄の車両が東急・東京メトロ(埼玉高速鉄道も含む)の保安装置しか搭載していないこと、またその逆に東急以外の事業者の車両も保安装置や編成両数により相鉄線への乗り入れに対応していないことが挙げられます。
 当初相鉄では副都心線を越えて東武や西武への直通も目論んでおり、実際に20000系の初期製造車両では運転台の会社切替スイッチに「東武」「西武」の文字が打刻されていました。しかし、東急以外の事業者は相鉄直通の需要について慎重な見方をしており、東横線側の相鉄車の乗り入れは副都心線和光市まで、東急以外の車両の乗り入れは新横浜までとなり、車両の改造が必要となる相鉄線への乗り入れは見送られることになりました。

都営三田線8両化のため新造された6500形電車。この車体外側に相鉄直通の準備と思われる構造が複数見られる。
都営三田線8両化のため新造された6500形電車。この車体外側に相鉄直通の準備と思われる構造が複数見られる。

 なお、都営三田線の新型車両である6500形では車端部に転落防止幌の増設準備が行われているなど不可解な仕様が見られます。需要動向によっては将来的に相鉄の保安装置を追加搭載し、乗り入れ範囲を拡大する可能性もあります。



加算運賃・定期券の扱い

東急新横浜線新綱島駅南口。東横線綱島駅と至近であるため、同一駅として扱われる。
東急新横浜線新綱島駅南口。東横線綱島駅と至近であるため、同一駅として扱われる。

 新横浜線は、新規に建設された路線であることから建設費償還のため加算運賃が設定されます。加算運賃の金額は相鉄新横浜線羽沢横浜国大~新横浜間が40円、東急新横浜線新横浜~新綱島間が70円(いずれも普通運賃)となっています。新綱島駅は東横線の綱島駅のすぐ近くにあることから、綱島駅と同一駅扱いとなっており、日吉~新綱島間の運賃は東横線日吉~綱島間と同額(加算運賃なし)となっています。また、綱島駅・新綱島駅を有効区間内に含む定期券を持っている場合はどちらの駅でも乗降可能です。
 一方、相鉄では新たなサービスとして新横浜線西谷~新横浜間を含む定期券を持っている場合、相鉄横浜駅でも乗降可能となる「YOKOHAMAどっちも定期」を開始します。同様のサービスは西武鉄道で「だぶるーと」(池袋線)「oneだぶる」(新宿線)の名称で実施されていますが、相鉄の場合は自社内完結であることから、追加料金・特別な手続きは不要となっているのが特徴です。これにより普段の通勤では新横浜線を利用しつつ、休日は横浜駅の商業施設にもきっぷの追加購入やICカードへのチャージをすることなく行くことが可能となります。新線開業で都心への利便性向上を図りつつ、事業基盤である横浜駅の集客力も維持したいという相鉄ならではの工夫が現れたサービスとなっています。

開業PRイベントも続々

11月に開催された新横浜パフォーマンス2022での新横浜線開業PRステージイベント
11月に開催された新横浜パフォーマンス2022での新横浜線開業PRステージイベント

 開業を間近に控え、新横浜線沿線PRイベントも続々と開催されています。昨年11月12・13日に新横浜駅近くにある日産スタジアムで開催されたイベント新横浜パフォーマンス2022では、相鉄・東急合同でグッズ販売ブースが出展されたほか、ステージ上では東急線キャラクター「のるるん」、相鉄線キャラクター「そうにゃん」、新横浜町内会キャラクター「かもねくん」が登場したトークイベントが開催されました。

渋谷駅に掲出された「東急線から新幹線へ」広告 東急4106Fの新横浜線開業記念車体ラッピング
左:渋谷駅に掲出された「東急線から新幹線へ」広告
右:東急4106Fの新横浜線開業記念車体ラッピング
上:渋谷駅に掲出された「東急線から新幹線へ」広告
下:東急4106Fの新横浜線開業記念車体ラッピング

 年が変わって2月13日からは相鉄・東急・JR東海・JR西日本・阪急の5社合同で「東急線から新幹線へ」と題した新横浜線のPRが展開されています。(YouTube動画 ①京都・大阪・岡山編 ②山陽方面編)JR東海では新横浜線開業と同日のダイヤ改正より新横浜6:03発の東海道新幹線「のぞみ491号新大阪行き」を新設することを発表しており、新横浜線と連携したアクセス向上をPRしています。
 また、2月26日(日)からは東横線と目黒線の各1編成ずつ(4106編成・5186編成)に新横浜線開業をPRするヘッドマークとラッピングが実施されています。掲出期限については現在のところ決められておらず、開業後もしばらくの間運行されるものと思われます。
 さらに、同日からは相鉄線二俣川駅の相鉄オフィシャルグッズストアにて新横浜線の開業を記念した「そうにゃん」「のるるん」がデザインされたステッカーやキーホルダーなどのグッズ販売もスタートしています。3月16日(木)からは書泉グランデ(神保町)・書泉ブックタワー(秋葉原)等でも、相鉄・東急両社の車両がデザインされたクリアファイルやアクリルコースターなどの販売がスタートする予定です。
 そして、開業初日となる3月18日には関係する鉄道事業者7社局で「相鉄・東急新横浜線開業―広域ネットワーク拡大記念乗車券―」が発売されます。発売額は相鉄・東急・東武・西武・東京都交通局・埼玉高速鉄道が1,000円、東京メトロが1,200円(24時間券2枚セット)、発売数は各社局とも3,000部です。なお、新横浜駅北口東広場の特設会場「Shin-yokohama Line Market」では、当日7時より7社局分の記念乗車券とポストカードのセットが500部限定で発売されます。

東京メトロ副都心線小竹向原駅の案内板。ダイカ改正前だが相鉄線の表記がオープンになっている。 相鉄横浜駅に掲出されていた新横浜線開業PRポスター。本当に便利になるのだろうか…?
左:東京メトロ副都心線小竹向原駅の案内板。ダイカ改正前だが相鉄線の表記がオープンになっている。
右:相鉄横浜駅に掲出されていた新横浜線開業PRポスター。本当に便利になるのだろうか…?
上:東京メトロ副都心線小竹向原駅の案内板。ダイカ改正前だが相鉄線の表記がオープンになっている。
下:相鉄横浜駅に掲出されていた新横浜線開業PRポスター。本当に便利になるのだろうか…?

 新横浜線開業を間近に控え、東急線内だけではなく直通先の東京メトロ副都心などでも案内板の書き換えが開始されています。数年前まで他の鉄道とつながりのなかった相鉄線が、1週間後には東京の地下鉄ネットワークと接続され、様々な行先の電車が入り乱れるようになります。「いつも通り来た列車に乗ったら知らないところに連れていかれて会社や学校に遅刻した」といった事態にならないよう、相鉄線を日常的に利用される方はぜひ今から改正後の行先や時刻をチェックされることをお勧めします。

▼参考
相鉄・東急 新横浜線 2023年3月開業予定| 東急電鉄株式会社
2023.3.18相鉄・東急直通線開業|相鉄グループ
「相鉄・東急新横浜線開業記念グッズ」を販売 【相模鉄道】 | 相鉄グループ
2023年3月ダイヤ改正のお知らせ|東京メトロ
都営地下鉄三田線のダイヤ改正について | 東京都交通局
2023年3月18日(土)ダイヤ改正に係る各列車の時刻変更について|東武鉄道公式サイト
2023年3月ダイヤ改正について - JR東海ニュースリリース(PDF/629kB)
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