カテゴリ:道路マンホールのフタ

沼津市のマンホール

沼津市のマンホール(完全カラー版) 沼津市のマンホール(イラスト白色版)
沼津市のマンホール(幾何学模様) 沼津市のマンホール(仕切弁)

 静岡県沼津市のマンホール蓋です。上段(1・2枚目)はイラストデザインで、手前には沼津市の花である「ハマユウ」、駿河湾沿いに10kmに渡り続き日本百景にも選ばれている「千本松原」、さらに後ろには愛鷹山と富士山という静岡県東部を代表する風景が描かれています。完全なカラー版の蓋は沼津港近く(ファミリーマート沼津港店向かいの歩道上)などごく一部にしか設置されていません。また、後から合併した沼津市南部の戸田港周辺にはこれとは異なる絵柄の蓋が存在します。(距離が離れているため現物は未確認)
 下段左(3枚目)は古い幾何学模様の蓋で、中央には沼津市の市章が描かれています。市章はカタカナの「ヌ」の文字と千本松原に代表される松の葉をイメージしたものです。下段右(4枚目)は上水道のバルブ(仕切弁)で、こちらも沼津市の市章が入っています。
 沼津市のマンホールカードは沼津市役所水道庁舎(通常版)・沼津駅南口2階観光案内所(ラブライブ版)で配布されています。 



ラブライブ!サンシャイン!!マンホール設置プロジェクトとその顛末

※この先画像が23枚(1.7MB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。

 前回の静岡市のマンホールの記事で「今後キャラクターが描かれたマンホールの蓋を紹介していく予定」と申し上げたとおり、今回もキャラクターモノのマンホールがあります。



 ここ静岡県沼津市はアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台になっていることは、ご存知の方も多いと思います。 ラブライブ!は、高校の部活動としてアイドルを目指す女の子たちをテーマに2010年より展開されているメディアミックス作品※1で、「サンシャイン」は2015年より始まった第2作目に当たります。2016年~2018年にかけて放映されたテレビ地上波・劇場版でアニメでは、沼津市に実際に存在する商業施設や旅館などがほぼそのままの形で作中に描かれており、以後「聖地巡礼」に訪れるファンが急増しています。また、相乗効果を狙い近隣を走る伊豆箱根鉄道駿豆線では車体全面に登場キャラクターをラッピングした電車を運行しているほか、沼津市内各地の商業施設で特典が得られるスタンプラリーも行われています。

伊豆箱根鉄道駿豆線伊豆長岡駅とラッピングバス Aqours3rdシングル“HAPPY PARTY TRAIN”のラッピングがされた伊豆箱根鉄道3000系電車
左(1):伊豆箱根鉄道駿豆線伊豆長岡駅とラッピングバス
右(2):Aqours※23rdシングル“HAPPY PARTY TRAIN”のラッピングがされた伊豆箱根鉄道3000系電車


▼脚注
※1 メディアミックス:コミック・アニメ・ゲーム・イベントなど様々な媒体を組み合わせた展開の総称。ラブライブ!は出演声優によるライブパフォーマンスが特徴となっている。2018年末にはNHK紅白歌合戦にも出演している。
※2 Aqours(アクア):作中のキャラクターおよび声優が9人で活動する際のユニット名


 こうした聖地巡礼を支援するスマホアプリ「舞台めぐり」を開発しているソニー企業株式会社と沼津市では、新たな観光資源となることを目指して沼津市内の各所にラブライブ!サンシャイン!!のキャラクターが描かれたマンホールの蓋を設置するという企画を立てました。この企画ではまず、設置に必要となる費用をクラウドファンディングにより募ることとしました。クラウドファンディングでは出資額に応じた返礼品(最高額の10万円では実際に設置される蓋に工場で色差しできる体験も含まれていた)が用意され、2018年1月15日の受付開始からわずか1日で目標となる2,000万円を達成する快挙となりました。(最終的に目標の約1.5倍となる3,380万円で受付終了。)
 実は筆者もこのプロジェクトに出資しておりまして、下の写真のような返礼品を頂戴しております。応募したのは1万円コースで、ミニマンホール蓋(直径約13cm、厚さ約3cm、重量約500g、専用スタンド付き)とメッセージカードとしても利用できる紙製のキャラクターパネルが付属しています。マンホールの“収集”を始めて15年になりますが、自らも出資してマンホールの蓋が街中に設置されるという体験ができたのは嬉しい限りです。

クラウドファンディング返礼品のスタンド付きミニマンホールと紙製キャラクターパネル
クラウドファンディング(1万円コース)の返礼品。スタンド付きのミニマンホールと紙製キャラクターパネル(ともに黒澤ルビィ)。キャラクターは金額によりランダムまたは選択可能となっていた。(パネルを台紙から切り抜く前の状態

 マンホール蓋の製作は埼玉県久喜市にある長島鋳物株式会社で行われ、5月19日に沼津市への「寄贈」が完了、実際に沼津駅から沼津港にかけての市中に設置されました・・・が、数日で一旦全て撤去となってしまいました。というのも、設置が公表されたその日から故意に傷を付ける、さらには塗装スプレーで蓋全体を塗り潰すといった極めて悪質な破壊行為が相次いだのです。なお、これらの破壊行為は一部始終が動画でSNSにアップロードされていたこともあり、速やかに犯人が特定され逮捕されています。

▼参考
「ラブライブ!」マンホール、ふたたび受難 全て回収へ:朝日新聞デジタル(2018年6月7日)
「ラブライブ!」マンホールを損壊した男子高校生2人を逮捕 静岡・沼津  - 産経ニュース(2018年7月2日)

 事態を重く見た沼津市では、特に色付きの蓋については大勢の目が行き届かない場所への設置が難しいと判断し、人通りが多く防犯カメラが完備された沼津駅南口の沼津仲見世商店街への設置に方針を転換しました。また、同時に設置する色付きの蓋の数についても3枚(同学年3名のキャラクター)とし、およそ4ヶ月ごとに入れ替えるなど当面の間厳重な管理をしていくこととしました。従来の設置場所については色なしのものに差し替えることとし、新たに寄贈された2種類の絵柄の蓋を加えて10月10日に再設置されました。

<色付き蓋>
黒澤ルビィ(色付き) 国木田花丸(色付き) 津島善子(色付き)
高海千歌(色付き) 渡辺曜(色付き) 桜内梨子(色付き)
黒澤ダイヤ(色付き) 松浦果南(色付き) 小原鞠莉(色付き)
Aqours9人後姿 浦の星女学院校章(色付き)
1段目:1年生。左から(1)黒澤ルビィ、(2)国木田花丸、(3)津島善子
2段目:2年生。左から(4)高海千歌、(5)渡辺曜、(6)桜内梨子
3段目:3年生。左から(7)黒澤ダイヤ、(8)松浦果南、(9)小原鞠莉
4段目左から(10)Aqours9人後姿、(11)浦の星女学院※3校章


▼脚注
※3 内浦にある架空の高校。校舎は実際に存在する沼津市立長井崎中学校をモデルにしている。


 色付きマンホールが限定設置になってからしばらくは、設置対象から外れた蓋については倉庫で保管となっていましたが、昨年末からは沼津駅北口再開発ビル「キラメッセぬまづ」および沼津市民文化センターにて巡回展示されるようになりました。各蓋の具体的な設置場所については「沼津市観光ポータル」で確認できますので、現地を訪れる前に必ずご確認ください。

<色なし蓋>
黒澤ルビィ(色なし) 国木田花丸(色なし) 津島善子(色なし)
高海千歌(色なし) 渡辺曜(色なし) 桜内梨子(色なし)
黒澤ダイヤ(色なし) 松浦果南(色なし) 小原鞠莉(色なし)
1段目左から(1)黒澤ルビィ、(2)国木田花丸、(3)津島善子
2段目左から(4)高海千歌、(5)渡辺曜、(6)桜内梨子
3段目左から(7)黒澤ダイヤ、(8)松浦果南、(9)小原鞠莉
※このほかに内浦・長浜城跡付近に校章の色なし版がある。(大きく離れているため現時点では未回収)


 ちなみに、先ほど触れた「舞台めぐり」アプリでは各キャラクターのマンホール直近でGPSを有効にすると、以下のようにキャラクターを写真内に合成できるARカメラ機能が利用できます。散策の際のお供にぜひどうぞ。
「舞台めぐり」アプリは2023年10月2日15時でサービスが終了しました。現在この機能はご利用いただけません。



マンホールの蓋の寿命は15年以上といわれています。多くの蓋がそうであるように、最後は擦り減って錆だらけになってしまうかもしれませんが、この町にかつて何があったのかを伝える証人として静かに佇み続けてもらえればと願っています。力を貸した者としてのささやかな願いです。

▼参考
市章・市民憲章・市の木・市の花/沼津市
沼津の下水道/沼津市
ヌマヅノタカラプロジェクト | First Flight
沼津市公式観光サイト【沼津観光ポータル】
Aqoursオリジナルマンホール、沼津市民文化センターへ!|新着ニュース|沼津市公式観光サイト【沼津観光ポータル】
→現在の蓋の設置状況はこちらで確認可能

※「舞台めぐり」アプリのダウンロードはこちら

Android版(Google Play Store)

iOS版(App Store)
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