馬喰町駅(現地写真(地下)) - 総武・東京トンネル(6)

最終更新日:2020年5月13日
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馬喰町駅:2km342m18~2km018m98(L=323m20)

●概説
●現地写真(地上)
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●駅立体CG図
馬喰町駅3D解剖図馬喰町駅3D解剖図
(PDF/144KB)


●現地写真(地下1階)
地下1階の西口改札。東口も左右対称でほぼ同レイアウトだが、無人化されている。
西口近くで分岐する馬喰横山駅・東日本橋駅への連絡通路
東西の改札口間を結ぶ通路。床下は換気ダクトになっている。
左(1):地下1階の西口改札。東口も左右対称でほぼ同レイアウトだが、無人化されている。
右上(2):西口近くで分岐する馬喰横山駅・東日本橋駅への連絡通路
右下(3):東西の改札口間を結ぶ通路。床下は換気ダクトになっている。

 馬喰町駅地下1階は全長に渡りコンコースになっており、その両端に改札口がある。両国寄りにある東口は利用者が少ないことから、2014(平成26)年2月より終日テレビカメラとインターホンによる遠隔監視となっており、窓口は板により塞がれている。東京寄りにある西口は、直近で都営新宿線馬喰横山駅・都営浅草線東日本橋駅へ向かう通路が分岐しているため利用者はやや多く、コンビニ(NEWDAYS)も設置されいる。
 両改札口間を繋いでいる通路は幅が5mほどあり、床下は両端の開削部分の中に収納されている換気設備へつながるダクトとなっている。通路はホームの真上(地上の道路に対して中央)にあるため、改札口付近でクランクしている。

東口前にある「姉妹駅」モニュメント
2000年頃まで使われていたスタンプ「一番低い駅」がタイトルとして書かれていた。
現在のスタンプは江戸時代の馬喰町の風景が描かれている。
左(1):東口前にある「姉妹駅」モニュメント
右上(2):2000年頃まで使われていたスタンプ「一番低い駅」がタイトルとして書かれていた。
右下(3):現在のスタンプは江戸時代の馬喰町の風景が描かれている。

 馬喰町駅は1990(平成2)年3月に京葉線東京駅(海抜-28.6m)が開業するまで国鉄・JRで一番標高が低い駅だった。1989(平成元)年6月にはJRで最も標高が高い小海線野辺山駅(長野県南佐久郡:標高1345.67m)と「姉妹駅」協定を締結し、そのモニュメントが東口前に設置されている。かつては駅スタンプにも「国鉄で一番低い駅(JR化後は『国鉄』の文字を削っていた)」という文言が使われていた。

地下1階と4階を結ぶエスカレーター。 エスカレーターの隙間へのカード落下に関する注意書き
2010年に新設されたエレベーターと多機能トイレ
左上(1):地下1階と4階を結ぶエスカレーター
右上(2):エスカレーターの隙間へのカード落下に関する注意書き
下(3):2010年に新設されたエレベーターと多機能トイレ


 改札口を入ると、地下4階へ直通するエスカレーターが3機ずつ設置されている。通常は外側2機のみ運転されており、ラッシュ時には中央の運転方向を切り替えて使用する。エスカレーターは非常に長く、隙間に物を落とすと発見するのが非常に困難であるため、それに関する注意書きが随所に見られる。
 2010年にはバリアフリー化のため西口のトイレの奥にエレベーターと多機能トイレが新設された。エレベーター新設に伴い、改札内外を仕切っていた壁の一部がガラス張りに変更されている。なお、地上に通じる階段には現在のところエレベーターは設置されていないため、隣接している馬喰横山駅・東日本橋駅(A4出口)のエレベーターを利用することになる。



●現地写真(地下4階)
西口地下4階コンコース。右億は都営新宿線馬喰横山駅乗り換え専用改札。
西口地下4階コンコース。右億は都営新宿線馬喰横山駅乗り換え専用改札。

 地下4階は地下1階から降りてきたエスカレーターとホームへ下りる階段の中継コンコースである。総武・東京トンネルの各駅では、ホームへ下りる階段周囲のタイルの色を駅ごとに変えており、馬喰町駅はを使用している。西口側はこの階に都営新宿線馬喰横山駅へ通じる乗り換え専用改札が分岐している。ICカードを利用する際は自動改札機にカードをタッチすると自動的に出場および乗り換え先事業者への入場処理が行われる。磁気券の場合は2枚重ねて投入すると不要な券は自動的に回収される。また、券売機・精算機も併設されており、連絡乗車可能な乗車券を持っていなくても利用可能である。なお、エレベーターはこの階にも停止するが、都営新宿線ホームへ上がる階段はリフトを含めバリアフリー機器が一切ないため、車椅子等でここから乗り換えることはできない。
 ちなみに、乗り換え改札周囲の天井や壁の内部に換気ダクトが通っている。スペースが狭いためか空調がフルパワーで動いている際は常時地震が起きているかのごとく振動している。

特別避難階段の地下1階側出口
左(1):エスカレーターの裏にある特別避難階段
右(2):特別避難階段の地下1階側出口


 コンコースの置くには金属製の柵で仕切られて入れなくなっている部分がある。この通路突き当たりのドアの向こうには特別避難階段がある。特別避難階段はその名の通り非常時専用の階段であり、建築基準法で地上5階以上、地下3階以深の建物で設置が義務付けられている。火災発生時は階段内に煙が侵入しないよう階段手前には附室と呼ばれる強力な換気機能が付いた隔離空間も設けられている。(現物の写真は東京駅のページにて掲載)

●現地写真(地下5階)
ホーム両端部分は開削工法で建設されている。
2010年に新設されたエレベーター。
ホーム先端はトンネル換気口になっており、天井にノズルが付いている。
左(1):ホーム両端部分は開削工法で建設されている。
右上(2):2010年に新設されたエレベーター。
右下(3):ホーム先端はトンネル換気口になっており、天井にノズルが付いている。

 地下5階のホームは両端3両分ずつが開削工法、それ以外の中間部分がシールドトンネル2本で建設されている。開削工法の部分は階段が2箇所ずつ設置された一般的な島式ホームとなっている。ホーム両端のシールドトンネルとの境目はトンネルの換気口になっており、天井には気流を整えるためコンクリート製の巨大なノズルが付いている。送風機は上階(地下2・3階)に置かれている。最近は節電のため送風機を間欠運転としており、ホームにいても送風機の音はあまり聞こえない。

シールドトンネルで形成されたホーム中間部分
シールドトンネルで形成されたホーム中間部分

 中間のシールドトンネルはホームを設置するため駅間のものよりやや直径が大きくなっている。内装材は当時慢性的な赤字に陥っていた国鉄の財政状況を反映し、安価なコンクリートブロックが多用されている。また、線路側は完成当初化粧板はなかったが、漏水により汚れが目立ってきたためか導水樋を兼ねた樹脂板が1984(昭和59)年に設置された。馬喰町駅は特に深度が深いため漏水が激しく、場所によっては常時滝のように水が流れ出しているところもある。

1両おきに設置されているシールドトンネル間の連絡通路。 工事のため内装が取り外されたホーム。連絡通路部分も天井がアーチ状になっているのがわかる。
左(1):1両おきに設置されているシールドトンネル間の連絡通路。
右(2):工事のため内装が取り外されたホーム。連絡通路部分も天井がアーチ状になっているのがわかる。


 シールドトンネル間には、間違った方向のホームに出てしまった場合や非常時の避難のため、7箇所の連絡通路が開けられている。連絡通路設置の際は、シールドトンネルのセグメントの一部を取り外すため、強度を確保できるようトンネル内に完成時より二次覆工が行われている。また、この取り外しの際の応力の変化を測定するため、柳橋トンネルと同様計器を埋め込んだ特殊なセグメントを一部使用した。
 シールドトンネル間の連絡通路は矢板工法により掘削した。これは鉄骨や木材をあてがいながら小型の機械や人力でトンネルを掘る方法で、当時山岳トンネルにおいてはごく一般的に用いられていた。2枚目の写真は2016年以降行われている漏水対策・天井耐震化工事のため内装が取り外された状態で、連絡通路本体の天井もアーチ状になっていることがわかる。

(つづく)
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