カテゴリ:鉄道:建設・工事 > 相鉄・JR直通線・新横浜線
現在の工事状況 - 相鉄・JR直通線&相鉄・東急直通線新設工事2011(2)
公開日:2011年10月14日18:46

相模鉄道の都心直通プロジェクト「相鉄・JR直通線」「相鉄・東急直通線」の続きです。2回目の今回は直通線の具体的な構造と建設工事が始まった「相鉄・JR直通線」の現在の状況について解説いたします。(写真は特別に記載がない限り2011年9月10日に撮影したものです。)
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路線の概要 - 相鉄・JR直通線&相鉄・東急直通線新設工事2011(1)(2011年10月3日作成)
相鉄・JR直通線の建設計画と現状

相鉄・JR直通線の断面図 ※クリックで拡大
※平面上のルートは前回の記事を参照。
相鉄・JR直通線の工事区間は相鉄本線西谷駅を起点にJR東海道貨物線横浜羽沢駅東端の第三京浜(国道466号)の陸橋付近へ至る全長約3030mとなっています。このうち、中央部の約1930mは地下式で建設されることになっており、横浜羽沢駅に接する部分には新駅「羽沢駅(仮称)」が設けられる予定です。事業の推移は以下の通りとなっています。
2006年11月21日 速達性向上計画認定
2007年10月29・30日 事業説明会開催
2007年11月5日~12月19日 環境影響評価(環境アセスメント)方法書縦覧
2008年8月24~26日 都市計画市素案説明会開催
2008年8月25日~9月8日 都市計画市素案縦覧
2009年3月16・17日 西谷駅引上げ線整備に関する説明会開催
2009年5月17~19日 環境影響評価準備書に関する説明会開催
2009年5月15日~6月29日 環境影響評価準備書・都市計画案縦覧
2009年9月15日~10月14日 環境影響評価書縦覧
2009年10月20日 工事施工認可
2010年3月25日 起工式
2010年3月15日 都市計画決定・環境影響評価報告書公告
起工式は2010年3月25日に西谷駅近くにある西谷地区センター(直通線工事に伴い現在は解体)にて行われ、本格的な工事が開始されました。以下、各構造物の建設計画と現状について解説いたします。
●西谷駅


西谷駅の改良前後 ※クリックで拡大
西谷駅は既存の2面4線のホームをそのまま使い、現在は待避線となっている外側2本の線路の東側(横浜方)を延長してそのまま直通線に接続します。また、直通線開業後は線路容量の関係で直通線と横浜方面双方から来た列車を全て二俣川方面へ乗り入れさせることは不可能であるため、駅の西側(二俣川方)の線路を複々線化して内側2線を折返し線として使用する予定となっています。


左:引き上げ線の新設が予定されている帷子川(かたびらがわ)との交差部分
右:西谷駅ホーム。上を通るのは東海道新幹線。
※クリックで拡大
西谷駅では2010(平成22)年4月に下りの待避線(1番線)が撤去され、直通線建設のための準備が開始されています。線路が撤去された1番線の跡地には全面的に鉄板が敷き詰められており、工事車両の通行スペースとして使用されています。一方、駅の二俣川方の引き上げ線は2010年9月に周辺住民向けの工事説明会が開催されたものの、現在のところ大きな動きはありません。これは地上部分の工事であり工期が短くて済むことから、工事の順番が後回しにされているためと思われます。


撤去された1番線の跡地。 ※クリックで拡大
●西谷~羽沢間


左:西谷駅東側の地上~地下の接続部分の構造
右:現在の状況 ※クリックで拡大
西谷駅を出た直通線は現在の相鉄本線の両側を並行しながら徐々に高度を下げていき地下へ入っていきます。地上~地下の接続部分は単線幅のU字型よう壁となり、住宅が近接していることから騒音防止のため完成時は高い防音壁で囲まれる予定となっています。現在は用地の取得が進んでおり、相鉄本線の線路脇には工事用の仮設の金網が設置され始めていることからまもなく地面の掘削工事が開始されるものと思われます。


左:西谷駅側の箱型トンネルのイメージと寸法
右:駅間中央部のシールドトンネルのイメージと寸法
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その先、JR東海道貨物線横浜羽沢駅付近に新設される「羽沢駅(仮称)」までは住宅街を横切るため地下区間となります。この地下区間は西谷駅側の坑口付近と羽沢駅部分が箱型トンネル、それ以外の部分がシールドトンネルとなる予定です。シールドトンネル部分の名称は「西谷トンネル」(全長1441.6m)といい、一般的な正円形の複線断面で、途中東京電力の共同溝シールドトンネルと帷子川(かたびらがわ)分水路と交差することからアップダウンを繰り返す独特な縦断線形となっています。このシールドトンネルの建設には従来のシールドマシンの改良型である「SENS」という工法が取り入れられる予定です。SENS工法は去る2010年12月4日に開業した東北新幹線八戸~新青森間にある三本木原トンネルで初めて採用されたもので、従来のセグメント(コンクリートの既製品)に代わり、現場打ちコンクリートでトンネルの壁面を組み立てていくものです。これにより約20億円のコストダウンを実現する見込みです。
今回取材時点ではこの地下区間に関してきな動きはありませんでしたが、シールドマシンの到達立坑は西谷駅の東側に設置される計画であることから、工期を考えるとまもなく本格的な工事が始まるものと思われます。
●羽沢駅(仮称)


左:羽沢駅の断面図
右:横浜羽沢駅を跨ぐ歩道橋から羽沢駅の工事を見る。杭打ちや地面の掘削が開始されている。
※クリックで拡大
直通線が横浜羽沢駅と接する地点には新駅「羽沢駅」が設置されます。2007(平成19)年に相鉄から発表された文書によると、当初羽沢駅は天井が無い半地下駅として計画されていた模様ですが、その後の環境アセスメントの結果などから完全な地下駅として都市計画決定がなされています。駅は地下2層構造で、ホームは対向式の2面2線で計画されています。
羽沢駅の予定地にはこれまで隣接するJR東海道貨物線の横浜羽沢駅(貨物駅)に関連する倉庫が建っていましたが、2010年度中にこれらの施設は全て解体され、今回訪問時は地下駅建設に向けた杭打ちや地面の掘削といった作業が行われていました。今回工事が行われていたのは新駅の内のごく一部の範囲に限られており、今後も引き続き新駅全体にわたって工事が拡大されるものと思われます。


羽沢駅西側の埋設構造物の移設工事。
※クリックで拡大
羽沢駅の西側で交差する市道は駅の範囲外ですが、道路を一時的に仮設の道路に移設した上で工事が行われています。これは道路下にあるライフライン(下水道など)が今後建設されるシールドトンネルの掘進の支障となるため、その移設が行われているものと思われます。道路の脇には羽沢駅の工事で使用する重機を格納するためと思しき建物も設置されています。
●JR東海道貨物線連絡線


左:JR直通線と東急直通線の分岐部分のイメージ
右:東海道貨物線合流部分のイメージ
※クリックで拡大
直通線は羽沢駅を出るとすぐに半地下(掘割)となります。ここでJR東海道貨物線へ接続する連絡線と後述する相鉄・東急直通線が分岐するため4線となり、外側2線が横浜羽沢駅構内へ入っていきます。JR東海道貨物線との接続部分は平面交差となるのを避けるため、下り線(二俣川方面)が東海道貨物線上り線(鶴見方面)の下をくぐり、貨物線の上下線の間に出て合流するという構造となる予定です。今回取材時点ではこの部分の工事は一切着手されていませんでした。


左:先ほどの歩道橋から北(東海道貨物線鶴見方面)を見る。中央のプレハブの付近に直通線が建設される。
右:同じ歩道橋から横浜羽沢駅構内を見下ろす。左端の線路が東海道貨物線の上り本線。
※クリックで拡大
相鉄・東急直通線の建設計画

相鉄・東急直通線の断面図 ※クリックで拡大
※平面上のルートは前回の記事を参照。
相鉄・JR直通線を後追いする形で元計画である神奈川東部方面線の役割を果たす「相鉄・東急直通線」についても建設に向けた準備が進められています。
相鉄・東急直通線の工事区間は相鉄・JR直通線の羽沢駅から分岐し、東急東横線・目黒線の日吉駅に至る全長約9980mで計画されており、このうち約8960mが地下式となる計画です。平面上のルートは相鉄・JR直通線とは異なりほとんどが環状2号線や東急東横線の地下となっており、距離の割りには新たに用地買収をする箇所は少なくなっています。環状2号線は途中で新横浜駅前を通過することからこの部分には「新横浜駅(仮称)」が、また鶴見川と交差した直後には「新綱島駅(仮称)」がそれぞれ新設される計画となっています。現在までの事業の推移は以下の通りです。
2007年4月11日 速達性向上計画認定
2008年11月27日~12月3日 事業説明会開催
2009年7月3日~8月17日 環境影響評価方法書縦覧
2010年10月4日 都市計画市素案説明会開催
2011年7月21日 環境影響評価準備書に関する説明会開催
相鉄・東急直通線は相鉄・JR直通線とは異なり現在は環境アセスメントが進行中の段階であり、具体的な建設計画はまだ確定していません。以下に現段階で計画されている各構造物について解説します。
●羽沢~新横浜間・新横浜~新綱島間
羽沢駅~新横浜駅・新横浜駅~新綱島駅の駅間トンネルは相鉄・JR直通線の西谷トンネルと同じ複線断面のシールドトンネルとなる計画です。前者は「羽沢トンネル」という名称で、相鉄・JR直通線の西谷トンネルで使用したシールドマシンを転用してトンネルの建設を行う計画となっており、新たにシールドマシンを製作するのに比べ約14億円のコストダウンが見込まれています。
平面線形は大倉山駅付近まで環状2号線の直下、その後は鶴見川の手前まで東急東横線の直下をそれぞれ通過する計画となっており、東横線との並走区間は用地買収が不要となることから約9億円のコストダウンを実現しています。一方、縦断線形は西谷トンネルと比べアップダウンの頻度は少なくなっており、羽沢~新横浜間は共同溝を避けるため単純な谷型で、最深部は地表面下40mとなっています。一方、新横浜~新綱島間は途中で建設中の首都高速横浜環状北線と交差するため、その前後に若干のアップダウンがあります。
●新横浜駅・新綱島駅


左:新横浜駅の断面図
右:新綱島駅の断面図 ※クリックで拡大
相鉄・東急直通線の途中駅である新横浜駅と新綱島駅はともに4層構造の地下駅となります。
新横浜駅は横浜市営地下鉄ブルーラインと交差する新横浜駅入口交差点の地下に設けられ、2面3線の島式ホームとなる計画です。中央の線路は上下線兼用の待避線となり、当駅折返しの列車も設定される見込みです。また、地下1階では既設の横浜市営地下鉄新横浜駅と接続する計画です。
一方、新綱島駅は現在の東急東横線綱島駅の東側に設けられます。ホームは当初対向式の2面2線となる計画でしたが、現在進められている環境アセスメントで示されている図では島式1面2線に改められています。これは後述する新綱島~日吉間のトンネルが単線シールド2本となったことからシールド同士の離隔を確保するため変更したためと思われます。
●新綱島間~日吉間


左:新綱島~日吉間の断面図(単線シールド区間)
右:新綱島~日吉間の断面図(二重高架区間) ※クリックで拡大
新綱島から先は単線シールドトンネル2本となり、東急東横線の高架橋両側の側道の下を通過する計画です。その後、箕輪町2丁目付近からは東横線の高架橋の直下に入り地上に出て以後は二重高架で日吉駅手前まで進みます。東横線綱島~日吉間は高架化が完了していますが、この高架橋は相鉄・東急直通線と二重高架にすることを考慮したものではない(高架化当時、直通線は大倉山駅で接続する計画だった)ため、二重高架となる区間については改築が行われる計画です。
●日吉駅


左:日吉駅横浜方の接続部分の断面図
右:日吉駅横浜方の接続部分の現状。目黒線の折返し線となっている。 ※クリックで拡大
日吉駅は横浜方にある東急目黒線の折返し線を延長して直通線に接続し、目黒線・東横線双方に直通可能は構造となる計画です。また、引き続き目黒線の日吉止まりの列車が設定できるよう直通線の上下線間に折返し線を1本残します。このため、日吉駅の横浜方は5本の線路が並ぶことになり、現在の掘割が若干拡幅される計画です。
瀬谷駅でも下り待避線を新設


瀬谷駅の下り待避線新設工事 ※クリックで拡大
この「相鉄・JR直通線」「相鉄・東急直通線」の整備に関連して相鉄線内でも瀬谷駅への下り待避線新設や信号保安装置のATS-P化などの改良工事が行われています。瀬谷駅の下り待避線新設に関しては今回取材時に軌道敷設まで完了しており、現在は既設の上り待避線についても軌道の全面的な改築が行われています。
以上、相鉄の都心直通プロジェクトの現状についてお伝えいたしました。
「相鉄・JR直通線」は2015(平成27)年度、「相鉄・東急直通線」は2019(平成31)年度の開業がそれぞれ予定されています。開業後の利用者数は2路線合わせて26万4千人、経済効果は実に5千億円に上ると見られており、東京都心のベッドタウンとしての相鉄線の地位は大きく向上するものと予想されます。今後も当ブログではこのプロジェクトの状況について取材を続けてまいります。
▼参考
山西,相鉄・JR直通線事業および相鉄・東急直通線事業の概要
~相模鉄道における都心直通プロジェクト~ - 土木技術2010年10月号18~23ページ
都心直通プロジェクト - 相鉄グループ
都市鉄道利便増進事業 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線
横浜市 都市整備局 都市交通課 神奈川東部方面線の整備
横浜市 建築局 相鉄・JR直通線の準備書説明会について
横浜市 建築局 相鉄・東急直通線及び相鉄・JR直通線の都市計画市素案説明会について
横浜市 建築局 相鉄・東急直通線の環境影響評価準備書説明会について
鉄道・運輸機構 | 鉄道の建設 | 事業概要 | 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線 | 直通線事業紹介
東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について(運輸政策審議会第18号答申)
2019年開業予定の相鉄・東急直通線、羽沢駅(仮称)~日吉駅間の計画案を発表 | ライフ | マイコミジャーナル
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カテゴリ:相鉄・JR直通線・新横浜線の記事

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