カテゴリ:鉄道:建設・工事 > 相鉄・JR直通線・新横浜線
相鉄・JR直通線開業 - 相鉄都心直通プロジェクト2019・2020(1)
公開日:2020年08月26日18:32

2019年11月30日、神奈川県を走る相模鉄道(相鉄)がJR新宿駅までの相互直通運転を開始しました。相鉄の都心直通プロジェクトについては、2011年以降毎年調査を実施しておりましたが、諸事情により2016年以降当サイトでのレポートが途絶えた状態となっておりました。今回は開いてしまった期間を含めた相鉄・JR直通線の完成までの動き、そして2022年度に予定されている東急線との相互直通運転に向け、新線区間および東急・東京メトロ・都営地下鉄線内で進められている工事の状況について複数回の記事にわけてお届けいたします。
▼関連記事
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016年8月27日作成)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材①羽沢~新横浜)(2016年9月7日作成)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材②新綱島~日吉)(2016年8月10日作成)
相鉄都心直通プロジェクトの経緯

二俣川駅で並んだ相鉄7000系(奥)、8000系(中)、10000系(手前)。相鉄の車両は他社には見られない独特な機構を備えていたが、10000系以降の車両ではコストダウンのため他社車両の設計をコピーする方針に転換した。2006年9月17日撮影
相模鉄道(以下、相鉄線)は神奈川県の中心部にある横浜駅と海老名駅を結ぶ全長24.6kmの本線と二俣川駅から分岐し、湘南台駅を結ぶ全長11.3kmのいずみ野線を運行しています。相鉄線の沿線は主に住宅地となっていますが、相鉄線の利用者数は1995(平成7)年をピークに減少傾向が続いています。これは相鉄線が首都圏の大手民鉄の中では唯一東京都心に直接乗り入れておらず、少子高齢化による通勤需要の減少や住宅の都心回帰傾向の影響を強く受けたためとみられています。
この状況を打開すべく、2000(平成12)年に国の政策機関である運輸政策審議会において「神奈川東部方面線」と称する新線の建設が提唱されました。これは相鉄線二俣川駅から東急東横線大倉山駅に至る短絡線で、相鉄線から直接東京都心方面への乗り入れを可能とするものです。しかし、予定されているルートは既に成熟した市街地となっており、建設にかかる莫大なコストを考慮すると民鉄1社で請け負うにはあまりにも荷が重いものであり、長年に渡り棚上げの状態が続いてきました。
2005(平成17)年にはこうした既存の鉄道路線の改良工事を対象とした国の新しい補助金制度として「都市鉄道利便増進事業」が開設されました。これは既存路線どうしを結ぶ短絡線の新設、駅の機能強化による列車の増発やスピードアップを対象としたもので、鉄道施設・運輸施設整備支援機構(以下、鉄道・運輸機構)などの公的団体が建設を行い、完成した施設を鉄道事業者に貸し出して列車の運行を行うシステムとなっています。完成した施設の貸付料は、その施設によって鉄道事業者が得る利益の範囲内で設定されることになっており、鉄道事業者側にとっては短期間に莫大な投資リスクを背負うことなく大規模改良に臨めるというメリットがあります。

神奈川東部方面線の位置。西谷~羽沢横浜国大間の「相鉄・JR直通線」、羽沢横浜国大~新横浜間の「相鉄新横浜線」、新横浜~日吉間の「東急新横浜線」により構成される。
※本図は国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「淡色地図」に加筆したものである。
神奈川東部方面線はこの都市鉄道利便増進事業の第2号として2006(平成18)年11月に計画が認定されました。ルートは工事の難易度など検討の結果、相鉄線側の起点は二俣川から西谷に、東急線側の終点は大倉山から日吉にそれぞれ変更され、途中経由するJR東海道貨物線横浜羽沢駅(貨物駅)付近、新横浜、東急東横線綱島駅東側の3か所に途中駅を設けることになりました。
工事はまず第1段階として西谷駅から横浜羽沢駅に至る「相鉄・JR直通線」(約3.0km)を建設し、横浜羽沢駅との間に連絡線を設け、JR線経由で新宿方面への乗り入れを開始します。続いて横浜羽沢駅から日吉駅に至る「相鉄・東急直通線」(正式名称は「相鉄新横浜線」「東急新横浜線」、詳細は次回の記事で説明、約10.0km)を建設し、東急目黒線目黒方面・東急東横線渋谷方面への乗り入れを開始します。これにより、相鉄線沿線から東京都心までの所要時間は現在よりも最大で15分程度、新幹線の乗り換え駅である新横浜駅までの所要時間は20分程度短縮される見込みです。
「相鉄・JR直通線」建設のあゆみ







相鉄・JR直通線の断面図
上段(1):相鉄・JR直通線全体の縦断面図
中段(2~4):左から西谷駅のトンネル入口、西谷駅付近の箱型トンネル、西谷~羽沢のシールドトンネル
下段(5~7):左から羽沢駅、羽沢駅先のJR・東急直通線分岐、横浜羽沢駅構内の接続部
相鉄・JR直通線は全長約3kmで、西谷駅と羽沢駅のJR接続部分を除き地下になっています。横浜羽沢駅付近に設置された新駅は対向式ホーム2面2線で、地上に駅舎が設けられています。新駅の名称は近隣に存在する横浜国立大学や横浜市の意向を受け、2017年12月に「


西谷駅の改良前後の配線図
相鉄・JR直通線の建設は2010(平成22)年3月から開始され、当初は2015(平成27)年4月の完成が予定されていました。しかし、昼夜を問わず多数の貨物列車が走行しているJR東海道貨物線直下での連絡線建設は困難を極め、2度にわたる工期の延長を余儀なくされました。
ここからは当サイトで掲載できていなかった2017年以降の工事の様子を中心に相鉄・JR直通線の建設の歩みをダイジェストでお送りします。


左(1):直通線着工に向けて線路が撤去された西谷駅1番線。
右(2):物流倉庫が取り壊され更地になった羽沢横浜国大駅予定地。2011年9月10日撮影
2010年から2011年にかけては、西谷駅および羽沢横浜国大駅の新線予定地にある建物や線路などの支障物の撤去が進められました。西谷駅のホームは元々優等列車の追い抜きができるよう島式ホーム2面4線となっており、このうち外側2線を都心方面の線路に接続することとされました。引上線は二俣川寄りの本線両側に1線ずつ新しい線路を設け、既存の本線を引上線に転用することとされました。一方、羽沢横浜国大駅の予定地は物流倉庫などがありましたが、2010年中にこれらの建物は撤去され、シールドマシンの発進立坑の掘削が進められました。


左(1):西谷トンネルの発進立坑部分の工事が進む羽沢横浜国大駅。
右(2):立坑脇の地上で組み立て中のシールドマシン。2012年9月8日撮影
2012年から2014年にかけては西谷~羽沢横浜国大間のシールドトンネル(西谷トンネル)の建設が進められました。西谷トンネルはシールド工法の発展型である「SENS工法」という技術が採用されました。シールド工法では、シールドマシン(前面に回転式のカッターが付いた筒形の掘削機)を使って地盤を掘削し、マシンの後方では予め工場で製作しておいたセグメントと呼ばれるコンクリートや鉄製のブロックを組み立てることによりトンネル壁面を作り上げていきます。SENS工法では既製品のブロックを使わず、型枠を組んでその場でコンクリートを流し込んでトンネル壁面を作るというシステムになっています。これによりカーブに合わせた特殊な形状のセグメントを用意する必要がなくなり、約20億円のコストダウンを実現しました。
西谷トンネルの掘削は羽沢横浜駅から西谷駅の方向で行われました。2013年2月に羽沢横浜国大駅を発進したシールドマシンは順調に掘削を続け、1年3ヶ月後の2014年5月に西谷駅手前の到達立坑まで貫通しました。シールドマシンは相鉄新横浜線羽沢横浜国大~新横浜間のトンネル建設に流用するため、直ちに立坑から搬出されています。


左(1):西谷駅横浜寄りで本格化するトンネル入口の掘削工事。2015年5月11日撮影
右(2):西谷駅二俣川寄りで進む引上線の新設工事。現在線両側に新しい本線を敷設中。2016年6月12日撮影
2015年から2016年にかけては、西谷トンネル以外の区間でもトンネルの掘削が本格化してきます。西谷駅の横浜寄りでは、相鉄本線の両側でトンネル入口となる掘割を作る工事が進められました。また、二俣川寄りでは、やはり本線両側に新しい線路を通すため路盤を拡幅する工事が進められました。引上線の途中では帷子川と交差するため、橋桁を新設する大規模な工事となっています。
※この先画像が28枚(1.3MB)+YouTube動画あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。
左(1):羽沢横浜国大駅へのトンネル入口がついに姿を見せた西谷駅横浜寄り。2017年1月9日撮影
右上(2):引上線を設置するため本線が外側に切り替えられた西谷駅二俣川寄り。2018年4月8日撮影
右下(3):引上線設置区間にあった踏切は閉鎖された。2017年10月9日撮影
右上(2):引上線を設置するため本線が外側に切り替えられた西谷駅二俣川寄り。2018年4月8日撮影
右下(3):引上線設置区間にあった踏切は閉鎖された。2017年10月9日撮影
左(1):羽沢横浜国大駅へのトンネル入口がついに姿を見せた西谷駅横浜寄り。2017年1月9日撮影
中(2):引上線を設置するため本線が外側に切り替えられた西谷駅二俣川寄り。2018年4月8日撮影
下(3):引上線設置区間にあった踏切は閉鎖された。2017年10月9日撮影
中(2):引上線を設置するため本線が外側に切り替えられた西谷駅二俣川寄り。2018年4月8日撮影
下(3):引上線設置区間にあった踏切は閉鎖された。2017年10月9日撮影
2017年に入ると西谷駅側のトンネル工事が完了し、東京都心方面へ通じるトンネル入口が姿を現しました。同年秋には早くも軌道敷設が開始されています。続いて2018年に入ると西谷駅二俣川寄りで本線が外側に建設中の新しい線路に切り替えられました。新線への切り替えに伴い、途中2箇所あった踏切は廃止されており、代わりに歩道橋・地下道が新設されています。


左(1):地下躯体の建設が完了した羽沢横浜国大駅。所々ある穴は階段などの開口部。2017年5月5日撮影
右(2):地上部分の駅舎を建設中の羽沢横浜国大駅。2018年5月13日撮影
一方、羽沢横浜国大駅でもこの頃から駅舎の建設が本格化してきました。羽沢横浜国大駅の駅舎は2階建てで、その前後に換気塔がと変電所が1棟ずつ設けられています。また、今後の駅舎周囲の土地利用を考慮し、駅舎を取り囲むように細い道路も新設されました。
年末には相鉄・JR直通線で使用される専用車両12000系の第1編成が横浜市金沢区の総合車両製作所(J-TREC)で完成し、相鉄線かしわ台車両センターに搬入されました。12000系は試運転を行った後、翌年4月より営業運転を開始しています。

相鉄・小田急乗り換え口に自動改札機が設置された大和駅。2018年4月8日撮影
なお、新線建設とは別に2018年3月17日より大和駅の相鉄線・小田急線乗り換え通路上に新たに自動改札機が新設されました。これは小田急線が東京メトロ千代田線を経由して都内の地下鉄各線やその先のJR常磐線と改札なしで接続しており、乗車ルート(小田急線経由or相鉄新横浜線経由)を確定しないと正確な運賃算出ができなくなってしまう※1ためです。
▼脚注
※1:この問題は2007年にSuica・PASMOの相互利用が開始される際にも発生しており、西船橋駅などでは乗り換え口に自動改札機を設置するなどの対応がとられた。

西谷駅窓口に設置された相鉄・JR直通線開業カウントダウンボード。2019年11月10日撮影
このように施設面・営業面での準備が整いつつあることから、2019年3月28日に相鉄とJR東日本は連名で「相鉄・JR直通線の開業日を11月30日とする」と発表しました。この時点では、「新宿方面への直通」のみが発表されており、詳細なダイヤについては検討中としました。しかし、前年から製造されている相鉄12000系にはJR埼京線で採用された新しい保安装置であるATACSを搭載していること、JR東日本側でも埼京線用に使用しているE233系7000番台の増備を行っていることから、埼京線と直通運転を行うのではないかという報道が行われました。
9月に発表された正式ダイヤでは、新宿駅を超えて埼京線に直通する列車は朝ラッシュ時のごく一部(JR車の川越車両センター入出庫)に限られることとなりましたが、実際に埼京線との直通運転が実施されることが確定しました。なお、横浜市など一部沿線自治体が要望していた品川・東京方面への乗り入れについては、当初計画に盛り込まれていないことや品川駅構内の平面交差等運行上の課題が多く、現時点では見送られることとなりました。一方でJR東日本では「現時点では新宿方面以外への運行の予定はございませんが、開業後のご利用状況を見極めてまいります。」と回答するなど、将来の設定に含みも持たせています。


左(1):試運転で品川駅7番線に入線した相鉄12000系。2019年8月23日撮影
右(2):西谷駅の引上線で折り返しを待つ試運転の12000系とその脇を通過する横浜行きの8000系。なお、直通線開業後の通常ダイヤでは引上線は使用されていない。2019年11月10日撮影
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相鉄・JR直通線試運転@西谷駅 - YouTube6月末からは相鉄線西谷~羽沢横浜国大間、7月からは西谷~JR線間の試運転が開始されました。JR線内の試運転は当初運用に余裕がある品川駅臨時ホームで折り返していましたが、9月以降は本来のルートである新宿駅への入線も開始しています。試運転は概ね毎日同じ時刻で2往復実施されており、西谷駅では完成したばかりの引上線を使って折り返しが実施されました。


左(1):川越車両センターのイベントで勢揃いした埼京線を走る車両
右(2):イベントでは3社のキャラクターショーも開催
開業を目前に控えた10月19日にJR東日本の川越車両センターで開催されたイベントでは、普段JR埼京線を走る車両に加えて相鉄12000系が展示されました。イベントではJR東日本・東京臨海高速鉄道・相鉄3社のキャラクター「Suicaペンギン」「りんかる」「そうにゃん」の着ぐるみショーも行われ、新線開業を世代を超えてPRしました。
構想から20年、ついに「東京進出」実現


左(1):「新宿」の行き先が表示された西谷駅の発車案内ディスプレイ
右(2):羽沢横浜国大駅開業記念イベント「ハザコクフェスタ」でのテープカット
2019年11月30日5時43分、相模鉄道社長・JR東日本横浜支社長・海老名駅長・海老名市長が見送る中、相鉄線海老名駅から特急新宿行きの1番列車が出発しました。同日開業を迎えた羽沢横浜国大駅では、駅前の空き地を利用して相鉄や周辺自治会などが出展する開業記念イベント「ハザコクフェスタ」が開催されました。早朝の1番列車を見送った関係者もこのイベントに出席し、これまでの新線建設への感謝の意や3年後に控える新横浜線開業といった相鉄線の更なる発展への期待について語りました。
左(1):羽沢横浜国大駅駅舎
右上(2):改札口周辺の天井は半透明になっており、昼間は外光が入る。
右下(3):ホームへ降りるエスカレーター
右上(2):改札口周辺の天井は半透明になっており、昼間は外光が入る。
右下(3):ホームへ降りるエスカレーター
左(1):羽沢横浜国大駅駅舎
中(2):改札口周辺の天井は半透明になっており、昼間は外光が入る。
下(3):ホームへ降りるエスカレーター
中(2):改札口周辺の天井は半透明になっており、昼間は外光が入る。
下(3):ホームへ降りるエスカレーター
羽沢横浜国大駅の駅舎は鉄骨造2階建てで1階中央に改札口があります。改札口を入ると左右両側にホームへ降りる階段・エレベーター・エスカレーターなどが並んでおり、その突き当りにトイレがあります。駅舎内外の壁面はレンガをイメージした模様になっており、改札口の上部は半透明の屋根で昼間は外光が射し込むようになっています。


左(1):地下のホーム。ホームドアを完備している。
右(2):案内サインは相鉄仕様で統一。
地下のホームは対向式2面2線で、10両編成対応の210mの長さとなっています。内装は最小限に留められており、トンネルのコンクリート躯体や空調のダクトが剥き出しとなっています。相鉄とJR東日本の境界駅ですが、駅自体の管理は相鉄が一括して行っており、案内サイン類も全て相鉄のフォーマットとなっています。駅ナンバリングの番号は既存駅の続番ではなく、SO-51という独立した番号が割り当てられました。新宿方面は当駅を出ると次は武蔵小杉まで15分停車しません。直通線で使用されるのは通常の通勤車両であるため、トイレには注意が必要です。
左(1):ホーム天井に設置されている車両ドア開閉認識用光センサー
右上(2):先頭車停止位置に設置されている無線通信用アンテナ(黄色囲み)
右下(3):TASC用地上子
右上(2):先頭車停止位置に設置されている無線通信用アンテナ(黄色囲み)
右下(3):TASC用地上子
左(1):ホーム天井に設置されている車両ドア開閉認識用光センサー
中(2):先頭車停止位置に設置されている無線通信用アンテナ(黄色囲み)
下(3):TASC用地上子
中(2):先頭車停止位置に設置されている無線通信用アンテナ(黄色囲み)
下(3):TASC用地上子
新駅であることからホームドア(可動式ホーム柵)は開業時より完備しています。停止位置の精度確保のためTASC(定位置停止装置)を設置しており、線路上にはATS-Pとは別に縦長型の地上子が設置されています。また、ホームドアと車両の連携は車両ドアの開閉を認識する赤外線センサーと、ホームドア~運転台(車内)のアンテナ間での無線通信を組み合わせた新しいシステム※2となっており、当駅に常時入線する相鉄12000系・JR東日本E233系7000番台の各車両にはこれに対応する機器が搭載されています。
▼脚注
※2:この光センサー+無線通信による開閉連動システムは2018年12月にホームドアが設置された総武快速線新小岩駅で初めて採用された。


左(1):西谷方面のホーム端はすぐシールドトンネルになっている。
右(2):天井の穴は自然換気口になっており地上の建屋まで空洞になっている。
駅の前後は片渡り線が1組ずつ設置されており、1番線から武蔵小杉方面、2番線から西谷方面にそれぞれ折り返し運転が可能です。
西谷方面はホームが終わるとすぐに西谷トンネルとなっています。ホーム端は通常天井に換気用の送風機が設置されますが、ここではシールドマシンを搬入した開口部にルーバーが付いた建屋を被せただけの自然換気となっています。


左(1):武蔵小杉・新横浜方面は短い明かり区間とトンネルを挟んだ後外側にJR線への連絡線が分岐する。
右(2):JR線への分岐部を外から見たところ。左奥では連絡線がカーブを描きながら急勾配で東海道貨物線に合流している。
武蔵小杉方面はホームが終わると天井のない明かり区間と短いトンネル、その後JR線への連絡線と新横浜方面への線路の分岐点となります。分岐点は新横浜方面が本線(直進)となっており、その左右にJR線への連絡線がわかれるレイアウトとなっています。JR線への連絡線は可能な限り距離を短くするため、35‰の急勾配と制限速度45km/hの急角度のポイントが使われています。
新横浜方面へ向かう線路は分岐点を過ぎるとすぐに下り勾配となり羽沢トンネルに入っていきます。ここから先は工事中となっており、トンネルに入って数十mのところで現在は線路が途切れています。開業までそれほど時間がかからない予定であることから、新横浜方面への出発時に使う信号機の一部はすでに点灯した状態となっています。


左(1):開業当日に発売された羽沢横浜国大駅開業記念全駅入場券セット
右(2):羽沢横浜国大駅に設置された開業記念スタンプ
この羽沢横浜国大駅開業を記念して、当駅を含む相鉄線主要8駅では11月30日に相鉄線全駅の硬券入場券を封入した「羽沢横浜国大駅開業記念全駅入場券セット」が発売されました。(価格は4,450円(税込)、部数は2,000部限定)また、開業を記念したスタンプも設置されました。
早々に苦戦

今年7月上旬に首都圏のJR各線で掲出された相鉄・JR直通線の中吊り広告
このように大きな期待を背負って開業した相鉄・JR直通線ですが、不運なことに直後に到来した新型コロナウイルス(Covid-19)の世界的感染拡大を受けた外出自粛の動きにより、利用者数は想定の半分以下に留まるなど苦戦を強いられています。新型コロナウイルスによる公共交通機関の利用者減少並びに減収は未曽有の規模となっており、各事業者とも大変厳しい経営状況にあります。また、もし短期間で感染拡大が終息した場合においても、テレワークの定着などにより今までのような通勤需要は見込めないのではないかという見方も存在します。
こうした出口の見えないコロナ禍を尻目に羽沢横浜国大駅から先日吉駅までの新横浜線の工事は続いています。次回以降の記事ではその新横浜線の建設進捗について調査した内容を届けします。
▼関連記事(相鉄・JR直通線に関する記事のみ)
路線の概要 - 相鉄・JR直通線&相鉄・東急直通線新設工事2011(1)(2011年10月3日作成)
現在の工事状況 - 相鉄・JR直通線&相鉄・東急直通線新設工事2011(2)(2011年10月14日作成)
相鉄・JR直通線建設工事(2012年9月8日取材)(2012年9月19日作成)
相鉄・JR直通線建設工事(2013年9月取材)(2014年5月10日作成)
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016年8月27日作成)
▼参考
都心とつながる(都心直通プロジェクト)|未来への取り組み|相鉄グループ
→関連ニュースリリースもここから参照
2020年3月期決算説明会資料 - 相鉄ホールディングス(PDF/4.0MB)
→相鉄・JR直通線の利用状況について
都市鉄道利便増進事業 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線
相鉄・JR直通線事業および相鉄・東急直通線事業の概要~相模鉄道における都心直通プロジェクト~ - 土木技術2010年10月号18~23ページ(リンク先CiNii)
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