とうきょうスカイツリー駅付近高架化工事(2022年2・11月取材)

桜橋通りの踏切で完成した上り線高架橋と東京スカイツリー

東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)のとうきょうスカイツリー~曳舟間では、現在高架化工事が進められています。今月27日に早くも上り線が高架に切り替えられることが決定しました。今年2月と今月上旬に調査した現地の状況をお伝えします。

▼関連記事
とうきょうスカイツリー駅付近高架化工事(2021年4月24日取材)(2021年7月4日作成)

もくじ
■15年ぶりに復活した高架化計画
■工事手順
■新駅舎デザイン発表イベント(2月)
■上り線の高架橋が完成
■下り線・入出庫線の2次仮線敷設も進む
■11月27日に上り線高架化

15年ぶりに復活した高架化計画

東武500系特急「リバティ」 業平橋駅地上ホーム跡地に建設された東京スカイツリー
左(1):東武500系特急「リバティ」
右(2):業平橋駅地上ホーム跡地に建設された東京スカイツリー


 東武伊勢崎線は東京都台東区の浅草駅を起点に、埼玉県東部の春日部を経由し、群馬県の伊勢崎駅まで至る全長114.5kmの私鉄路線です。浅草~東武動物公園間には「東武スカイツリーライン」の愛称が与えられています。路線中ほどの東武動物公園駅からは日光線が分岐しており、世界遺産に登録されている日光東照宮や福島県へ続く尾瀬国立公園を初めとする観光地へのアクセス路線にもなっています。これら観光地へのアクセス列車として浅草駅からは特急「スペーシア」「リバティ」が運行されています。
 伊勢崎線の起点駅である浅草駅は、デパート(松屋)の中に駅があるという立地ゆえにホームの延長ができず、最大運行両数が6両に制限されています。このため列車の長編成化に際しては曳舟または北千住で一部車両の切り離しを行う、もしくは1つ隣の業平橋駅(現・とうきょうスカイツリー駅)地上に設けた10両対応の行き止まり式ホームで折り返す措置が取られました。2003(平成15)年に曳舟駅から分岐する形で東京メトロ半蔵門線との相互直通運転を開始すると、切り離しを行わない10両編成の列車は全て半蔵門線に直通させるようになり、業平橋駅の地上ホームは廃止されました。地上ホーム跡地にはその後東京スカイツリーが建設されています。
 半蔵門線直通に合わせて曳舟駅付近の高架橋は改造されて高架区間が浅草方面へ延長されました。当初計画ではこの高架橋をさらに延長して業平橋駅まで連結するとともに、業平橋駅自体は曳舟方面へ150m移設して2面4線に拡張することになっていました。しかし、景気後退下における輸送人員減少もあって工事途上の2001(平成13)年に計画中止が決定してしまいました。

今回高架化対象となったとうきょうスカイツリー~曳舟間にある桜橋通りの踏切。特急「リバティ」が通過中。 踏切の隣には浅草駅発着の特急車両が使う留置線がある。
左(1):今回高架化対象となったとうきょうスカイツリー~曳舟間にある桜橋通りの踏切。特急「リバティ」が通過中。
右(2):踏切の隣には浅草駅発着の特急車両が使う留置線がある。


 この結果、とうきょうスカイツリー~曳舟間の中央で交差する桜橋通り1箇所のみが踏切(伊勢崎線2号踏切)で残された状態となりました。業平橋駅地上ホームが廃止されたことにより、この踏切を通過する列車は若干減少しましたが、依然遮断回数は多く交通渋滞が問題となっています。踏切には隣接して浅草駅を発着する特急列車の運用調整や清掃に使用する留置線が合計10本あり、高架化には多大なコストと時間を要することから現状維持の状態が続いてきました。
 しかし、スカイツリーのオープン以後周辺では人や車の流動が大きく変わり、地域の発展や安全性の観点から踏切の解消はもはや不可避な情勢となってきました。2005(平成17)年には、同じ東武伊勢崎線の竹ノ塚駅において当時手動式だった踏切遮断機の誤操作により通行人が列車にはねられ死傷する事故が発生しました。これを受け連続立体交差事業の要件が緩和※1されたことから、高架化計画が再始動することになりました。

▼脚注
※1:それまでの連続立体交差事業の採択基準は「事業主体は都道府県または政令指定都市」「幹線道路の踏切が350m以上の間隔をあけて2本以上ある」となっていた。2004年の改訂では「事業主体の人口20万人以上の都市・特別区への拡大」、2006年の改訂では「歩行者・自転車交通の多い踏切(歩行者ボトルネック踏切)への対象拡大」が新たに盛り込まれた。また、、2007年には事業費の無利子貸付制度の創設、地域特性を踏まえた鉄道事業者の費用負担率の改訂も行われた。


とうきょうスカイツリー~曳舟間高架化前後の比較図
とうきょうスカイツリー~曳舟間高架化前後の比較図 ※クリックで拡大(JPEG/1200×1000px/212KB)
※本図は国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「淡色地図」「空中写真」合成レイヤーに加筆したものである。

 新たな高架化計画は、改訂された連続立体交差事業の採択基準に則り墨田区が事業主体となって進められます。高架化区間の長さは約900mで、桜橋通りの踏切に加え計画中の都市計画道路2本(1本は言問通りの拡幅)を立体化することにより連続立体交差事業の基準を満たします。工事は鉄道の高架化では一般的な仮線方式(現在線の隣に仮の線路を用意し、元の線路の位置に高架橋を建設する方法)により行います。
 とうきょうスカイツリー駅は、隣接する地下鉄押上駅や地上にある駅前広場との一体化を考慮し、旧計画と同じく曳舟方面に150m移設します。移設後のホームは片面+島式の2面3線に拡張することに加え、一部のホームが10両編成に対応する210mに延長されます。2021年7月に発表された新駅舎のデザイン案(後述)によると、この10両対応ホームは「副本線」であり、通常は留置線として使用することとされています。(詳細な使途については未発表のため不明)一方、駅北側にある留置線は本数を5本に削減したに上で高架化し維持する計画です。
 着工に向けた都市計画手続きは2015(平成27)年12月から約1年半かけて進められ、2017年7月に墨田区と東武鉄道の間で施工協定が締結、翌年1月より工事が始まりました。 総事業費は約315億円で、東武鉄道が80億円、国・東京都・墨田区が残りの235億円を負担します。完成は2024(令和6)年度の予定です。

工事手順

高架化着工前のとうきょうスカイツリー駅構内配線
高架化着工前のとうきょうスカイツリー駅構内配線

 現在のとうきょうスカイツリー駅のホームは島式ホーム1面2線となっています。留置線はホーム端から桜橋通りの踏切にかけての地上に設けられており、本線との接続部分を境に西側(6~10番線)と東側(1~5番線)の2群に分かれていました。高架化工事は、この留置線を一部残しながら進めるため大変複雑な手順となっています。以下、地点ごとの切替手順を説明していきます。

※この先画像が24枚(1.0MB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。

A断面:とうきょうスカイツリー駅ホーム・西側留置線
 現在のとうきょうスカイツリー駅ホーム端から西側留置線にかけては本線が盛土の高架橋、留置線が地上となっています。高架化時は留置線の一部を仮線に転用し、盛土の高架橋をコンクリート製の高架橋に作り替えます。工事の手順は以下の通りです。

とうきょうスカイツリー駅ホーム・西側留置線高架化手順
とうきょうスカイツリー駅ホーム・西側留置線高架化手順
※クリックで拡大

①着工前
②留置線の一部を撤去する。
③撤去した留置線跡地に地上へ降りる仮上下線を敷設し、現在線を撤去する。
④下り線を高架化する。また、留置線を完全に撤去し、跡地に仮上り線を移設する。(2次仮線化)
⑤上り線を高架化する。
⑥仮線跡地に留置線の高架橋を建設し完成。

B断面:東側留置線(押上駅駅前広場~桜橋通り踏切)
 東側の留置線付近(押上駅駅前広場~桜橋通り踏切)は本線も地上を走ります。この付近も留置線の一部を仮線に転用し、元の本線・留置線の跡地に高架橋を建設します。工事の手順は以下の通りです。

東側留置線(押上駅駅前広場~桜橋通り踏切)高架化手順
東側留置線(押上駅駅前広場~桜橋通り踏切)高架化手順
※クリックで拡大

①着工前
②留置線の一部を北側に移設する。
③撤去した留置線跡地に仮下り線を敷設し、上下線を1本ずつ北側に移設する。
④撤去した上り線跡地に高架橋を建設し、上り線を高架化する。
⑤下り線をさらに離れた位置に移設する。(2次仮線化)
⑥跡地に下り線・留置線用の高架橋を建設し、それぞれを高架化する。
★この部分の手順は当初計画と一部変更された点がある。(詳細後述)

C断面:桜橋通り踏切~曳舟駅手前
 桜橋通りの踏切から曳舟駅手前(工事終点)までの間は本線のみとなっています。この付近は2003年の半蔵門線直通開始時に押上駅へ向かうトンネルの建設やそれに伴う仮線敷設のため用地を北側に拡幅しており、工事終了後は東武鉄道が管理する駐車場として利用されていました。高架化時はこの駐車場を廃止して仮線を敷設し、元の本線跡地に高架橋を建設します。
 なお、高架化完成後はこの付近にも留置線が並行して建設される計画となっています。これは前述のとうきょうスカイツリー駅10両化に合わせて留置線も10両編成対応に延長するためとみられます。工事の手順は以下の通りです。

桜橋通り踏切~曳舟駅手前高架化手順
桜橋通り踏切~曳舟駅手前高架化手順
※クリックで拡大

①着工前
②駐車場を廃止した跡地に仮線を建設し、上下線を1本ずつ北側に移設する。
③撤去した上り線跡地に高架橋を建設し、上り線を高架化する。
④下り線をさらに離れた位置に移設する。(2次仮線化)
⑤仮上り線跡地に下り線用の高架橋を建設、高架化する。
⑥仮下り線跡地に留置線用の高架橋を建設する。



新駅舎デザイン発表イベント(2月)

今年2月に東京ミズマチの墨田区PR館で発表されたとうきょうスカイツリー駅新駅舎デザイン
高架化工事の進捗定点観察
高架化前後を比較できるNゲージのジオラマ
左:今年2月に東京ミズマチの墨田区PR館で発表されたとうきょうスカイツリー駅新駅舎デザイン
右上:高架化工事の進捗定点観察
右下:高架化前後を比較できるNゲージのジオラマ
上:今年2月に東京ミズマチの墨田区PR館で発表されたとうきょうスカイツリー駅新駅舎デザイン
中:高架化工事の進捗定点観察
下:高架化前後を比較できるNゲージのジオラマ

 2021年8月に墨田区より、とうきょうスカイツリー駅高架化後の新駅舎デザイン案が発表され、周辺住民を対象としたアンケートが実施されました。その結果を反映した正式デザインが今年2月に決定し、2月4日(金)~7日(月)の4日間、東京ミズマチ(東武スカイツリーライン浅草~とうきょうスカイツリー間高架下)にある墨田区のPR館「すみずみ」にて報告展示会が開催されました。報告展示会では、業平橋駅開業から現在までの駅の歴史、新駅舎デザインの特徴について解説したパネルが用意された他、とうきょうスカイツリー駅の新旧駅舎をイメージした鉄道模型のジオラマが展示されました。
 高架化後のとうきょうスカイツリー駅新駅舎は、隣接する東京スカイツリータウンとの一体感を重視したデザインとなっています。南側は東京スカイツリー低層部と同じグレーのパネルを使用したシンプルなものとなっており、階段部分のみ透明なポリカーボネート板を使用することでビルと駅舎の間の通路の採光を考慮しています。一方住宅地に隣接する北側は、下町家屋の伝統的な技法である下見張しもみばをイメージしたデザインとなっており、パネルの高さを上に行くにしたがって狭くすることで頭上にそびえる東京スカイツリーへの連続感を演出しています。駅のエントランスについては現駅舎と同等のデザインとなっており、浅草寄りと曳舟寄りの2箇所に設けられます。
 なお、当日展示されたパネルは全て以下の墨田区ホームページにてご覧いただけます。

▼脚注
※下見張り:上の板が下の板にわずかに重なるよう階段状に板材を張っていく工法。防具の鎧のように見えることから鎧張りとも呼ばれる。雨水が下に流れ落ちるため、板材を単純に並べるよりも防水性に優れており、雨の多い日本に適した工法となっている。


▼参考
とうきょうスカイツリー駅新駅舎案アンケート・パネル展(開催終了・結果追記) 墨田区公式ウェブサイト
とうきょうスカイツリー駅新駅舎デザイン報告会(開催終了) 墨田区公式ウェブサイト

上り線の高架橋が完成

2022年11月27日に予定されている上り線高架化後のとうきょうスカイツリー駅構内配線
2022年11月27日に予定されている上り線高架化後のとうきょうスカイツリー駅構内配線

 東京スカイツリー駅付近の高架化工事は2018年より開始されています。2018~2019年は仮線敷設に先立ち、支障となる留置線の移設・統廃合が実施されました。そして、2019年12月下旬~2020年3月にかけて上下線の仮線切替が実施されました。以降上り線の高架橋・ホームと下り線の2本目の仮線建設が進んでいます。今回は今年2月7日と今月9日に調査した現地の様子をお届けします。

とうきょうスカイツリー駅現ホームから曳舟方面を見る。新ホーム本体の工事が本格化した今年2月の状況。 同じ場所の9ヶ月後。新ホームは手前の1両分を除きほぼ完成した。
現ホーム途中に設けられた上り線の現在線と高架線の接続用ポイント。右の×が描かれた黒い物体は入換信号機。 新ホームは浅草寄りの1両分が未完成のため、代わりに曳舟寄りに仮設ホームを設置している。
左上:とうきょうスカイツリー駅現ホームから曳舟方面を見る。新ホーム本体の工事が本格化した今年2月の状況。
右上:同じ場所の9ヶ月後。新ホームは手前の1両分を除きほぼ完成した。
左下:現ホーム途中に設けられた上り線の現在線と高架線の接続用ポイント。右の×が描かれた黒い物体は入換信号機。
右下:新ホームは浅草寄りの1両分が未完成のため、代わりに曳舟寄りに仮設ホームを設置している。
1枚目:とうきょうスカイツリー駅現ホームから曳舟方面を見る。新ホーム本体の工事が本格化した今年2月の状況。
2枚目:同じ場所の9ヶ月後。新ホームは手前の1両分を除きほぼ完成した。
3枚目:現ホーム途中に設けられた上り線の現在線と高架線の接続用ポイント。右の×が描かれた黒い物体は入換信号機。
4枚目:新ホームは浅草寄りの1両分が未完成のため、代わりに曳舟寄りに仮設ホームを設置している。

 とうきょうスカイツリー駅の新しいホームは、現ホームから150mほど曳舟方面に進んだ東京スカイツリーバスターミナル付近に設置されます。新ホーム本体の建設は今年初めから開始され、わずか半年ほどでほぼ全体が完成しました。新しいホームは階段が設置されるホーム中央付近の4両分ほどの幅が広くなっており、浅草寄りのホーム端は現在線と接続するためカーブしています。
 現在線との接続部分は現ホームに2両分ほど食い込んだ地点となっています。この部分は事前に両開き分岐器に入れ替えられており、高架化当日の線路切替作業は不要となっています。分岐器の横には入換信号機も設置されていますが、この理由については後程説明します。
 なお、現ホームの終端と新ホーム始端は正味20mほどの距離しかなく、そのままでは新ホームでのオーバーランに対する十分な余裕が確保できません。そこで新ホームの曳舟寄りに1両分仮設ホームを設置し、停止位置を後退させています。新ホームの始端は今後現ホームの撤去に合わせて線形が変わる可能性もあることから、バラスト軌道や工事桁になっており、ホーム床板も一部未完成となっています。

押上駅前自転車駐車場屋上広場から浅草方面を見る。高架橋の橋脚まで完成した今年2月の状況。
将来計画されている道路との交差部分は薄い橋桁が使用されている。
高架橋が完成した今月の状況。
左:押上駅前自転車駐車場屋上広場から浅草方面を見る。高架橋の橋脚まで完成した今年2月の状況。(同じ場所の2021年4月24日の様子
右上:将来計画されている道路との交差部分は薄い橋桁が使用されている。
右下:高架橋が完成した今月の状況。
上:押上駅前自転車駐車場屋上広場から浅草方面を見る。高架橋の橋脚まで完成した今年2月の状況。(同じ場所の2021年4月24日の様子
中:将来計画されている道路との交差部分は薄い橋桁が使用されている。
下:高架橋が完成した今月の状況。

 ホームが終了した後はカーブしながら押上駅駅前広場の横を通過します。この区間は直下に東京メトロ半蔵門線押上駅のトンネルが埋設されていることから、高架橋の一部に軽量な鋼製橋脚・橋桁が使用されているのが特徴です。なお、高架化後は伊勢崎線の線路の北側にも駅前広場が新設されることになっており、高架下には南北の広場をつなぐ歩行者専用道(墨田歩行者専用道第1号線、仮称「南北通り」)が設けられる計画となっています。高架橋自体の高さが比較的低いため、道路の交差予定箇所では薄い橋桁が使用されています。

押上駅前自転車駐車場屋上広場から曳舟方面を見る。 桜橋通りの上に架設された橋桁
左:押上駅前自転車駐車場屋上広場から曳舟方面を見る。(同じ場所の2021年4月24日の様子
右:桜橋通りの上に架設された橋桁


 押上駅の駅前広場を過ぎると、高架橋はコンクリート製に戻ります。桜橋通りと交差する部分も先ほどと同様の理由で薄い鋼製の橋桁が使用されています。桜橋通りの先は、元々あった上り線の高架橋を取り壊した跡地に水平の高架橋を作り直しており、京成押上線の押上1号踏切(新あづま通り)付近で現在線と合流します。こちら側は高架線の線路が途切れた状態となっており、11月26日終電後に線路の切替作業えが実施されます。

京成押上線押上1号踏切付近で建設中の上り線用高架橋。今年2月の状況。
上り列車から見た曳舟寄りの新旧接続地点。急勾配と急カーブのため脱線防止ガードが設置されている。
上り列車から見た曳舟寄りの新旧接続地点。急勾配と急カーブのため脱線防止ガードが設置されている。
左:京成押上線押上1号踏切付近で建設中の上り線用高架橋。今年2月の状況。
右:上り列車から見た曳舟寄りの新旧接続地点。急勾配と急カーブのため脱線防止ガードが設置されている。
上:京成押上線押上1号踏切付近で建設中の上り線用高架橋。今年2月の状況。
中・下:上り列車から見た曳舟寄りの新旧接続地点。急勾配と急カーブのため脱線防止ガードが設置されている。

下り線・入出庫線の2次仮線敷設も進む
 
下り線・入出庫線2次仮線化後の配線
下り線・入出庫線2次仮線化後の配線

 高架化される上り線とは別に、下り線と留置線の高架橋建設に向けて下り線を2本目の仮線に移設(2次仮線化)する準備も進められています。当初計画では2次仮線化は上り線高架化後に着手することとされていましたが、昨年夏時点で下り2次仮線敷設予定地にあった留置線が撤去されたため、早期の着手が可能となりました。

桜橋通りの踏切から浅草方面を見る。手前が敷設中の下り2次仮線。左の特急「リバティ」は下り1次仮線を走行中。 同じ場所から曳舟方面を見る。2次仮線は仮置き中のトラスビームのすぐ先で現在線に合流する。
左:桜橋通りの踏切から浅草方面を見る。手前が敷設中の下り2次仮線。左の特急「リバティ」は下り1次仮線を走行中。
右:同じ場所から曳舟方面を見る。2次仮線は仮置き中のトラスビームのすぐ先で現在線に合流する。
上:桜橋通りの踏切から浅草方面を見る。手前が敷設中の下り2次仮線。左の特急「リバティ」は下り1次仮線を走行中。
下:同じ場所から曳舟方面を見る。2次仮線は仮置き中のトラスビームのすぐ先で現在線に合流する。

 今月上旬の調査時点では下り線と入出庫線の2次仮線の軌道敷設はほぼ完了しています。下り線の2次仮線は現在使用中の1次仮線からやや離れたところに並行して敷設されており、浅草寄りでは旧留置線10番線跡地へ拡幅された築堤の上を通ってとうきょうスカイツリー駅のホーム直前で現在線に合流します。
 一方、曳舟側の接続地点は、下り線の1次仮線化時に将来の2次仮線化に対応できる形状で仮設高架橋を建設しています。現在はその高架橋に合わせて2次仮線の軌道敷設が完了しており、軌道上には架線を吊り下げる電化柱のトラスビームが搬入済みとなっています。 

上り列車からとうきょうスカイツリー駅直前の入出庫線と下り線の2次仮線新旧接続地点を見る。右手前の途切れている線路が新しい入出庫線で、下り1次仮線を撤去して現在走行中の上り仮線に接続される。
上り列車からとうきょうスカイツリー駅直前の入出庫線と下り線の2次仮線新旧接続地点を見る。右手前の途切れている線路が新しい入出庫線で、下り1次仮線を撤去して現在走行中の上り仮線に接続される。

 また、下り線の2次仮線化に伴い留置線へ通じる入出庫線のレイアウトも変更されます。新しい入出庫線は現在と同様上り線にも接続できるようとうきょうスカイツリー駅手前にも接続用のレールが準備されています。下り線の2次仮線切替時にこのレールを現在上り線が走行している仮線に接続することで、現ホーム上に新設された両開き分岐器を経由して上り線からの入出庫ルートを維持します。先ほどお見せしたホーム上の両開き分岐器に入換信号機が併設されていたのは、曳舟方面から来た上り回送列車が本線上でスイッチバックして入庫できるようにするためのものです。入出庫線の留置線側は、旧10番線につながっていた行き止まりの線路(現在は安全側線として機能)に接続されています。

2次仮線化後の上り線からの入庫イメージ。現ホーム付近の本線上でスイッチバックして留置線に入庫する。
2次仮線化後の上り線からの入庫イメージ。現ホーム付近の本線上でスイッチバックして留置線に入庫する。

11月27日に上り線高架化

 2018年に着工したとうきょうスカイツリー駅周辺の高架化は、留置線の機能を維持しながら進めるという困難な工事でありながら、非常に順調に進んでいます。これは留置線の一部を使用停止にして新たな用地買収を行うことなく、工事を進めることができたという事情によるところが大きいといえるでしょう。
 今年10月3日には、冒頭でも触れたとおり11月27日より上り線の高架化及び新ホームが使用開始となることが発表されました。今後も順調に工事が進めば2024年度の高架化完成は確実とみられます。下り線の2次仮線化は工事の進捗状況から来年初め頃と予想されます。次の調査はその2次仮線切替後に行う予定です。

▼参考
高架化工事他の現状 | 企業情報 | 東武鉄道ポータルサイト
2022年11月27日(日)より 東武スカイツリーライン とうきょうスカイツリー駅付近 上り線高架区間の使用を開始します - 東武鉄道ニュースリリース(PDF/578KB)
東武伊勢崎線(とうきょうスカイツリー駅付近)連続立体交差事業 墨田区公式ウェブサイト

▼関連記事
東武伊勢崎線とうきょうスカイツリー駅付近高架化工事(2018・2019年取材)(2020年5月28日作成)
とうきょうスカイツリー駅付近高架化工事(2021年4月24日取材)(2021年7月4日作成)
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