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東京メトロ南北線8両化工事2020・2021②後楽園~赤羽岩淵
公開日:2021年03月30日12:15

2022年度に神奈川県を走る相模鉄道(相鉄)と東急電鉄の相互直通運転が開始されます。これに合わせて東急目黒線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道・都営三田線では現在6両編成で運行されている列車を8両編成に増結する予定となっています。今回は東京メトロ南北線後楽園~赤羽岩淵間の各駅で行われているホーム延伸工事の状況をお伝えします。
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東京メトロ南北線の概要
南北線列車編成の変遷と8両化
各駅の工事状況
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目黒駅~
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→前回の記事をご覧ください
今回は南北線北半分の後楽園駅から赤羽岩淵駅の9駅について説明します。調査日は2021年3月2日と7日の2回です。
北半分の区間は南北線の中では早い時期に開業したため、8両化までに時間がかかると想定されたことから、各駅とも6両分のみ設備が完成した状態となっていました。延長用スペースはホームの床となるコンクリートとホームドア固定用のわずかな骨組みしかない駅もあり、南半分の各駅と比べると工事量も多くなっています。
※駅名右のアルファベットの意味
A:開業時より8両全てのホームが完成済み(工事不要・今回は該当駅なし)
B:駅構内のレイアウトの都合により延長部分は一部完成の状態
C:延長部分は全く仕上げが行われておらずホーム土台のコンクリート床版やホームドアのフレームだけの状態
※この先画像が24枚(1.04MB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。
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左(1):後楽園駅赤羽岩淵寄りにある階段の先が延長されたホーム。
右(2):延長部分のホームはほぼ完成形に。
後楽園駅から王子駅までの各駅は島式ホーム1面2線となっています。当駅は赤羽岩淵寄りの階段の先に1.5両分ホームドアのフレーム(戸袋部分)のみが準備された延長用スペースがありました。六本木一丁目駅と並んで南北線内では早く昨年初めより内装の仕上げが開始され、3月中旬より自由に入れるようになっています。延長部分の内装は天井の照明の配列などは既存部分と合わせつつもパネルの構成はやや簡素化されています。
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左(1):東大前駅の目黒寄りにあるエレベーターの先がホーム延長スペース。現在使用していないホームドアはトラテープが貼られている。
右(2):間仕切りのドアがすりガラスのため、上にある隙間から内部を見たところ。天井にケーブル吊り下げ用の棒材が取り付けられている。
東大前駅は目黒寄りに2両分延長用スペースがあり、途中にあるエレベーターまでの1両分は開業時に内装とホームドアを完成させています。未使用部分はドアがついた間仕切りで封鎖しており、ホームドアのフレームのみが準備された状態でした。こちらも今年に入り乗降ドアが取り付けられ、天井には内装用のケーブルラックが付くなど8両化の準備が進められています。
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左(1):本駒込駅目黒寄りのホーム端。壁の向こうがホーム延長スペース。
右(2):延長スペースは天井から若干漏水が発生しており水溜りができている。
本駒込駅は目黒寄りに2両分延長用スペースがあり、これまでホームドアのフレームのみが準備されていました。こちらも乗降ドアが取り付けられており、8両化の準備が開始されています。間仕切りのドア越しに内装がされていないホームを見ると、天井からの漏水による水溜りも見られることから、漏水対策も行われるものと見られます。
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左上(1):駒込駅目黒寄りホーム端。消火栓が付いている壁の裏には延長部分に通じる階段がある。
右上(2):この先がホーム延長スペース
左下(3):延長部分のホームドアは養生シートで覆われており内部の様子は見えない。
右下(4):目黒寄りの南改札前にある階段増設スペース。右奥のガラスが設置された場所には開業時「ふれあいコーナー」と呼ばれる休憩スペースがあった。
駒込駅は1991(平成3)年の南北線第一期開業時の始発駅であり、目黒寄りにある両渡り線の先の本線を引上線として使用して折り返しを行なっていました。当駅から赤羽岩淵駅までの第一期開業区間は、8両化まで相当な年月を要すると予想されたことから、ホームの未使用部分は内装を一切設置せずホームドアについても芯材となる最小限の鉄骨を準備したに留まっていました。
駒込駅は目黒寄りに2両分延長用のスペースがあり、現在はホームドア取り付けが終わって内装工事が行われています。開業時から設置していた未使用部分との間仕切りは仮の板材に置き換えられており、設置済みのホームドアも損傷防止のためガラスが養生シートで完全に覆われていることから、内部の様子は現在全く確認できません。なお、この未使用部分には階段の増設スペースも用意されており、上階改札前の相当位置には仮設の壁で覆われた工事中のエリアがあります。天井には空欄になっている案内板の取り付け枠も設置済みです。
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左(1):西ケ原駅目黒寄りの階段は延長部分に接近している。
右(2):内部ではホームドアや空調ダクトの取り付けが進む。
西ケ原駅は赤羽岩淵寄りのホーム端が単線シールドトンネル2本に直結していることから、目黒寄りに2両分延長用スペースがあります。こちらも開業時はホームドアの芯材となる鉄骨のみの状態でしたが、現在はホームドア取り付けや内装工事が進められています。
当駅は麻布十番駅などと同じく、最終的にホームが8両化された際階段が最適な間隔になるよう配置されており、目黒寄りの階段が現行のホーム端と非常に接近したレイアウトとなっていました。延長部分の工事本格化に伴い、ホーム端に設置されていた間仕切りは撤去されており、階段前の通路幅を十分に確保できなくなったことから、B線(2番線目黒方面)側は一時通行止めとなっています。間仕切りの代わりに設置された板材は天井までは達しておらず、階段の途中に立って内部を見ると天井の空調ダクトや照明用の配線の取り付けが行われているのが確認できました。
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左:王子駅赤羽岩淵寄りにあるエレベーターの先がホーム延長スペース。
右上:9月に増設された階段。
右下:増設された階段の改札口側。
右上:9月に増設された階段。
右下:増設された階段の改札口側。
上:王子駅赤羽岩淵寄りにあるエレベーターの先がホーム延長スペース。
中:9月に増設された階段。
下:増設された階段の改札口側。
中:9月に増設された階段。
下:増設された階段の改札口側。
王子駅は地上の道路の形状に合わせて建設されたため、赤羽岩淵寄りは急カーブになっていますが、目黒寄りは西ケ原駅と同じくシールドトンネルに直結しているため、やむを得ず赤羽岩淵寄りのカーブ区間に1.5両分ホーム延長スペースを用意しています。当駅は六本木一丁目・後楽園の2駅と並んで2020年1月より延長部分の内装工事に着手しており、現在はほぼ完成状態にあります。
また、当駅は階段が現行ホームの中に3か所設置できるよう設計されていますが、うち赤羽岩淵寄りの1箇所はこれまで準備中となっていました。8両化に合わせてこの階段も仕上げが行われ、昨年9月より使用を開始しています。増設された階段は内装のタイルの形状などが違うため、容易に区別できます
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左:王子神谷駅目黒寄りのホーム端。
右上:階段は8両に最適化された位置となっており、現行のホーム終端に接近している。
右下:仮壁の上から延長部分の内部を見る。内装工事が行われている。
右上:階段は8両に最適化された位置となっており、現行のホーム終端に接近している。
右下:仮壁の上から延長部分の内部を見る。内装工事が行われている。
上:王子神谷駅目黒寄りのホーム端。
中:階段は8両に最適化された位置となっており、現行のホーム終端に接近している。
下:仮壁の上から延長部分の内部を見る。内装工事が行われている。
中:階段は8両に最適化された位置となっており、現行のホーム終端に接近している。
下:仮壁の上から延長部分の内部を見る。内装工事が行われている。
王子神谷駅は対向式ホーム2面2線で、赤羽岩淵寄りのホーム端から王子検車区への入出庫線が分岐しています。王子検車区は南北線第1期開業時に開設された車両基地で、駅北側にある北区立神谷堀公園の地下にあります。施設は2層構造になっており、地下1階には車体と台車を分離してメンテナンスができる本格的な工場設備も有していました。第1期開業時は他の路線と線路がつながっていなかったことから、近隣にある千代田線綾瀬車両基地で整備した車両をトレーラーで陸送しここから地下に搬入しています。王子検車区は敷地面積が非常に狭く、一部の線路は4両編成までの対応となっていたことから、有楽町線と線路がつながった四ツ谷駅延伸開業以降は車両留置に特化されています。現在は朝夕のラッシュ時に当駅始発・終着列車が数本設定されています。
当駅はこの王子検車区への分岐があるため、各ホームともに目黒寄りに2両分延長用スペースを用意していました。ここもホームドアの鉄骨のみが準備された状態でしたが、現在はホームドア取り付けや内装工事が進められています。ここも代わりに設置された板材が天井まで届いておらず、近くの階段から内部を見ることができました。
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左:志茂駅目黒寄りで行われているホーム延長工事
右上:ここも階段が現行のホーム端に接近しており、2番線側が通行止めになっている。
右下:内部ではホームドアや内装の工事が進む。
右上:ここも階段が現行のホーム端に接近しており、2番線側が通行止めになっている。
右下:内部ではホームドアや内装の工事が進む。
上:志茂駅目黒寄りで行われているホーム延長工事
中:ここも階段が現行のホーム端に接近しており、2番線側が通行止めになっている。
下:内部ではホームドアや内装の工事が進む。
中:ここも階段が現行のホーム端に接近しており、2番線側が通行止めになっている。
下:内部ではホームドアや内装の工事が進む。
志茂駅からは再び島式ホーム1面2線に戻ります。当駅は目黒寄りに2両分ホーム延長用スペースがあり、現在は内装工事が進められています。当駅も8両化された際に階段が最適な間隔になるよう配置されており、延長部分の工事が本格化したことから階段下の2番線側が一時通行止めとなっています。
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左:赤羽岩淵駅目黒寄りのホーム延長工事。1番線側は一時通行止めとなっている。
右上:目黒寄りの階段は延長部分に接近している。
右下:工事中の延長用ホーム。ホームドアや空調ダクトの取り付けが行われている。
右上:目黒寄りの階段は延長部分に接近している。
右下:工事中の延長用ホーム。ホームドアや空調ダクトの取り付けが行われている。
上:赤羽岩淵駅目黒寄りのホーム延長工事。1番線側は一時通行止めとなっている。
中:目黒寄りの階段は延長部分に接近している。
下:工事中の延長用ホーム。ホームドアや空調ダクトの取り付けが行われている。
中:目黒寄りの階段は延長部分に接近している。
下:工事中の延長用ホーム。ホームドアや空調ダクトの取り付けが行われている。
赤羽岩淵駅は南北線第1期開業時の終点であり、目黒寄りに折り返し運転用の両渡り線が設置されています。埼玉高速鉄道開業後は長らくほぼ全列車が同線に直通運転を行ってきましたが、2017年以降利用者が少ない時間帯に赤羽岩淵折り返しが増加しており、2019年3月以降昼間は半数の列車が当駅で都心方向へ折り返しています。
当駅も目黒寄りに2両分ホーム延長用スペースがあり、現在は内装工事が進められています。当駅も8両化された際階段が最適な間隔となるよう配置されており、階段が工事エリアと接近してしまうため1番線側が一時通行止めとなっています。
■電力設備の増強は?
ここまでは一般客の見える範囲での工事について説明してきましたが、8両化にあたりもう1つ重要な地上設備の改修として電力供給の増強があります。
南北線の走行用電力を供給する変電所は、1箇所当たりの送電範囲を平均3.5kmとし、最終的に8両編成が2分30秒間隔で運行できる容量を確保することとしました。これの考えに基づき、
●白金変電所(白金台~白金高輪駅間にある白金換気室内)
●東六本木変電所(六本木一丁目駅)
●新四ツ谷変電所(四ツ谷駅)
●新後楽園変電所(後楽園駅)
●駒込変電所(駒込駅)
●王子変電所(王子神谷駅)
●赤羽岩淵変電所(赤羽岩淵駅)
※回生失効によるATO停止位置精度悪化防止のため、白金・新四ツ谷・王子の各変電所には電力回生装置(電車のブレーキ時に発生した余剰電力をインバータで交流に変換して駅照明や空調などに供給する装置)を設置。
の7変電所の設置が計画されました。しかし、南北線は当面の間6両編成4分間隔での運行となることや、全列車ともVVVFインバータ制御や回生ブレーキを装備し消費電力が少ないと予想されたことから、開業時点では白金と新四ツ谷以外の変電所は整流器の一部を省略して減力運転を行うことになりました。また、赤羽岩淵は変電所設備自体を設置せず、将来の8両化時に必要な設備を追加できるようスペースのみを確保しておくこととしました。
8両化にあたりこれらの暫定設備についても計画通りに増強する必要があります。いずれの変電所も完全な地下式であるため、どのように機材を搬入するのか注目されます。
次回は埼玉高速鉄道および都営三田線の8両化工事についてお伝えします。
▼参考
南北線建設史 | メトロアーカイブアルバム
事業計画|東京メトロ
→2019年度(第16期)分より南北線8両化に関する記述
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