カテゴリ:鉄道:建設・工事
つくばエクスプレス8両化工事2023(1)秋葉原~南流山
公開日:2023年02月22日17:32

2019年につくばエクスプレスの8両化工事に着手することが発表されました。来る2023年3月18日のダイヤ改正では、青井駅と六町駅のホーム延伸工事に伴う徐行運転開始が発表されています。今回は秋葉原駅から南流山駅までの各駅についてホーム延伸工事の現状を解説します。
つくばエクスプレスの概要

つくばエクスプレスの路線位置
つくばエクスプレスは東京の秋葉原を起点に、埼玉県三郷市、千葉県流山市、茨城県守谷市などを経由し、筑波研究学園都市にあるつくば駅に至る全長58.3kmの民鉄路線です。計画時の名称は「常磐新線」で、その名の通り並行する鉄道路線が無く混雑が極限状態に陥っていたJR常磐線の救済路線として計画されました。当初はJR東日本の路線となることが考えられていましたが、様々な事情により沿線自治体が出資する第三セクター企業(首都圏新都市鉄道)により運営されています。

北総鉄道西白井駅付近を走行する特急スカイライナー。ここは千葉ニュータウン西端にあたる。開発計画縮小により北総線は長年経営難となっていたが、成田スカイアクセスの一部に組み込まれたことで状況が好転し、2022年10月に運賃値下げが実現した。手前の空き地は千葉県営鉄道北千葉線(都営新宿線の延伸部分)の予定地だったが、2013年に正式に整備中止となった。2023年2月17日撮影
つくばエクスプレスの特徴として、無利子での建設費調達と沿線での都市開発と連携した鉄道建設が行われたことが挙げられます。千葉県では1980~90年代に北総鉄道や東葉高速鉄道など郊外のニュータウンと都心を結ぶ鉄道路線が建設されました。これらの新線建設では、有利子貸付により建設費を調達しており、その償還のため非常に高額な運賃設定がされました。
また、事前に実施された需要予測には沿線での宅地開発による人口増加が含まれていましたが、それらの開発は鉄道建設と必ずしも連携が取れてはいませんでした。そのため鉄道が開通したにもかかわらず期待通りに沿線人口が増加せず、鉄道事業者が深刻な経営難にさらされる事態となりました。千葉急行電鉄(現在の京成千原線)のように経営破綻に至ってしまった例も存在します。


左:流山おおたかの森駅前のショッピングモール「流山おおたかの森S.C.」。現在は写真の建物以外に3棟の別棟が存在する。2007年7月1日撮影
右:東京駅八重洲口から発着する高速バス「つくば号」。つくばエクスプレス開業前は最短10分間隔、全長18mの2階建てバスまで投入されるほど混雑していたが、現在は通常の観光バス仕様車両で30分に1本の運行となっている。
右:東京駅八重洲口から発着する高速バス「つくば号」。つくばエクスプレス開業前は最短10分間隔、全長18mの2階建てバスまで投入されるほど混雑していたが、現在は通常の観光バス仕様車両で30分に1本の運行となっている。
上:流山おおたかの森駅前のショッピングモール「流山おおたかの森S.C.」。現在は写真の建物以外に3棟の別棟が存在する。2007年7月1日撮影
下:東京駅八重洲口から発着する高速バス「つくば号」。つくばエクスプレス開業前は最短10分間隔、全長18mの2階建てバスまで投入されるほど混雑していたが、現在は通常の観光バス仕様車両で30分に1本の運行となっている。
下:東京駅八重洲口から発着する高速バス「つくば号」。つくばエクスプレス開業前は最短10分間隔、全長18mの2階建てバスまで投入されるほど混雑していたが、現在は通常の観光バス仕様車両で30分に1本の運行となっている。
つくばエクスプレスではこれを教訓として、約1兆円に及ぶ建設費の大半を国や自治体からの無利子貸付で調達しています。また、「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」(通称「一体化法」)を制定し、鉄道建設と沿線での都市開発を同時並行で進めました。
これらに加え、開業時より全線でホームドアとATOを採用することで低コストなワンマン運転を実現しています。さらに北千住以北では、ほとんどの区間が通常の在来線では最高速度となる130km/h ※1走行可能な線形で建設されており、高速バスなど他の交通機関に対する十分な競争力を持たせています。なお、当路線は茨城県内にある地磁気観測所への影響防止のため、守谷以北が交流電化となっています。交流区間に対応する電車(TX-2000系)は構造が複雑で高価であるため、守谷以南の直流区間専用の電車(TX-1000系)も用意し、初期コストを抑えています。
このような経営面での工夫により、つくばエクスプレスの利用者数は開業前の予測を大きく超えるペースで増加し続けています。2009年度には計画を15年前倒しして黒字転換を達成しました。
▼脚注
※1:ATOの通常運転モードではATCの現示から5km/h減じた速度を上限としており、125km/hが最高運転速度となっている。
開業時の規模縮小とその後の設備増強

つくばエクスプレス守谷駅近くにある総合基地。手前のアスファルトで舗装された土地は将来の8両化に備えた留置線延伸スペースである。2007年11月3日、つくばエクスプレスまつり(車両基地公開イベント)にて。
つくばエクスプレスは現在全列車6両編成で運転されていますが、これは当初計画より縮小された編成両数となっています。
つくばエクスプレスは常磐線の救済路線として計画されたことから、多くの利用者が転移すると予想されました。そのため当初は開業時は8両編成、最終10両編成での運行が計画され、各駅の土地もそれを前提に確保されていました。しかし、工事の遅延や土地使用条件の変更によるコスト圧縮の要請を受けたことから、1997年6月に開業時の編成両数を6両とし、開業から12年後となる2017年に8両へ増結する計画へ縮小されました。なお、工事誌によれば10両化についても遠い将来の構想としては一応残しており、一度建設すると拡張が困難な島式ホームの途中駅は10両化も可能な線形で建設されています。需要減に伴い運行本数についても見直しが行われ、守谷駅と総合基地(車両基地)の間を結ぶ入出庫線が複線から単線に削減されました。

増発に備えて複線化された総合基地入出庫線。奥の総合基地では、車体の大規模修繕に向けて建屋の増築も進む。2016年10月29日撮影
このように一旦は縮小された運行計画ですが、開業後はその下方修正された計画を大幅に上回る利用者数を記録し続けています。そのため、南流山駅では2012年にホームが延伸された(後述)ほか、守谷駅では2016年に総合基地にしか通じていなかった内側2線で追い抜きを可能にするとともに、入出庫線を当初計画通り複線化する工事が実施されました。
また、開業当初導入されたTX-2000系電車には一部車両にクロスシートが設置されていました。クロスシート車両は立席スペースが少なくラッシュ時の収容力が劣ることから、2017年より3年間かけてロングシートへの改造を実施し、全車両がロングシートに統一されました。交流電化となっている守谷以北でも利用者の増加が著しいことから、開業後に増備された電車は全て交流区間に対応するTX-2000系・TX-3000系となっています。
ついに8両化着手
これまで利用者増加に対しては、上記の設備・車両の増強に加えて列車種別の工夫や増発で対処してきました。しかし、コロナ禍前最後に実施された2020年3月のダイヤ改正では朝ラッシュピーク時の運行本数が最大25本/時に達し、いよいよ設計上限に近づきつつあります。
そこで2019年度からは新たなメニューとして、8両化に必要なホーム延伸工事に着手することになりました。8両化により輸送力は現在よりもおよそ3割増加し、今後の沿線でのさらなる人口増加を加味しても混雑率は169%から150%程度へ低減できる見込みとなっています。
つくばエクスプレスの8両化には前記した通り近い将来に計画されていたことから、各駅とも比較的簡単な工事でホームを延長できるよう配慮されています。ここからは秋葉原駅から路線の半分の南流山駅までの10駅についてホーム延伸の現状をレポートします。
※この先画像が24枚(1.04MB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。
TX01 秋葉原駅


左:秋葉原駅終端側のホーム延伸状況。上りエスカレーターは2010年に混雑緩和対策で設置されたもの。
右:つくば寄りのホーム延伸状況
右:つくば寄りのホーム延伸状況
上:秋葉原駅終端側のホーム延伸状況。上りエスカレーターは2010年に混雑緩和対策で設置されたもの。
下:つくば寄りのホーム延伸状況
下:つくば寄りのホーム延伸状況
秋葉原駅は4層構造の地下駅で、地下1階が改札口、地下4階が島式1面2線のホームとなっています。地下駅の一部はJR総武線の高架橋と交差しており、建設時は総武線の橋脚を切断して作り直す難工事となりました。なお、つくばエクスプレスは東京駅方面への延伸構想(詳細は次回の記事で解説予定)があります。地下4階という深い場所にホームが建設されたのも、延伸ルート上にある秋葉原ワシントンホテルの基礎杭を避けるためとされています。
秋葉原駅のホームはこの延伸構想に合わせて終端に向けて幅が狭くなる形状となっています。8両分への延長に必要なスペースは両端に1両分ずつ確保されており、10両化時は終端側にさらにトンネルを増築してホームを伸ばすこととしています。当駅は終端駅という立地上開業時より混雑が激しかったため、2010年には終端側のホーム延長スペースを利用して上階のコンコースとの間をショートカットする上りエスカレーターが新設されました。続いて2019年からはホーム両端で延長工事が開始されました。現在はホームドアなど一部機器類を除き完成状態となっています。なお、着工時点では「ホーム上の混雑に対する安全対策」と説明されており、完成次第開放することとされていましたが、コロナ禍による利用減もあってか現在も固定柵で封鎖されたままとなっています。
TX02 新御徒町駅

新御徒町駅のホーム延伸状況。固定柵のレイアウトが独特。
新御徒町駅は4層構造の地下駅で、地下1階が改札口、地下2階が都営地下鉄大江戸線ホーム、地下3階がつくばエクスプレスコンコースと大江戸線乗換専用改札、地下4階がつくばエクスプレスホームとなっています。大江戸線とつくばエクスプレスのトンネルは完全に一体構造であるため、先に開通した大江戸線の工事の際下層のつくばエクスプレスのトンネルも同時に完成させています。ホームの形状はどちらも島式1面2線です。建設中の仮称は「元浅草」でした。
当駅は秋葉原寄りに2両分ホームを延長しました。こちらも秋葉原駅と同様混雑対策として2019年に着工し、現在は一部機器類の設置を除き完成しています。完成次第開放する予定だったため、ホーム先端よりも少し内側に固定柵が設置されていますが、利用減のため封鎖されたままとなっています。
TX03 浅草駅


左:浅草駅秋葉原寄りのホーム延伸状況
右:つくば寄りのホーム延伸状況。こちらは機器室があり幅がやや狭い。
右:つくば寄りのホーム延伸状況。こちらは機器室があり幅がやや狭い。
上:浅草駅秋葉原寄りのホーム延伸状況
下:つくば寄りのホーム延伸状況。こちらは機器室があり幅がやや狭い。
下:つくば寄りのホーム延伸状況。こちらは機器室があり幅がやや狭い。
浅草駅は4層構造の地下駅で、地下1階が改札口、地下4階が島式1面2線のホームとなっています。当駅は「浅草」という名称ではあるものの、東武線の駅や浅草寺仲見世商店街がある浅草の中心地からは500mほど西に離れたところにあります。建設中の仮称は「新浅草」でした。
当駅は両端に1両分ずつホームを延長しています。工事は2021年度に行われ、現在は線路対向の壁の化粧パネルと機器類設置を除き完了しています。
TX04 南千住駅

南千住駅つくば寄りのホーム延伸状況
南千住駅は2層構造の地下駅で、改札口は地上1階にあり、地下2階に対向式2面2線のホームがあります。JR常磐線の直下にトンネルを建設したため、建設期間中は常磐線の線路を一時移設する難工事となりました。
工事誌によると、対向式ホームの地下駅は将来側壁を取り壊してトンネルを拡張するのが比較的容易であることから、8両分のみホーム設置スペースを確保しておく方針としています。当駅は建設時につくば寄りに2両分ホーム延長スペースを確保していました。延伸部分のホームは浅草駅と同じ2021年度に工事が行われ、機器類の設置を除き完了しています。
TX05 北千住駅


左:北千住駅秋葉原寄りのホーム延長スペース
右:つくば寄りのホーム延長スペースと保守機材線。機材線の先に折り返し用のシーサスがある。
右:つくば寄りのホーム延長スペースと保守機材線。機材線の先に折り返し用のシーサスがある。
上:北千住駅秋葉原寄りのホーム延長スペース
下:つくば寄りのホーム延長スペースと保守機材線。機材線の先に折り返し用のシーサスがある。
下:つくば寄りのホーム延長スペースと保守機材線。機材線の先に折り返し用のシーサスがある。
北千住駅はJR常磐線と東武スカイツリーライン・東京メトロ日比谷線の間に挟まれた場所にある高架駅です。高架橋は2層構造で、地上がJR常磐線ホーム、3階がJR・東武・TXの3社の改札口が集まるコンコース、4階が島式1面2線のホーム※2となっています。駅のつくば寄りには保守機材の留置線と非常用の折り返し運転用ポイント(シーサスクロッシング)があります。
当駅はホームの前後にホーム延長時に使用する台座のようなものが1両分ずつあり、そのさらに先も上下線間にかなりのスペースがあります。今後はこのスペースを使ってホームを延長するものと思われます。
▼脚注
※2:事業者により、同一高さでも構内図での階数の表現が若干異なる。(東武・東京メトロの公式サイトでは改札階が「2階」、日比谷線ホームが「3階」と書かれている。)
TX06 青井駅

青井駅秋葉原寄りで進むホーム延長工事
青井駅は都道102号線の地下にあります。トンネルは2層構造で、地下1階が改札口、地下2階が対向式2面2線のホームとなっています。
北千住以北では優等列車が通過運転を行っており、当駅は普通のみが停車します。北千住以北は地下区間であっても高速運転が可能な線形で作られており、優等列車は上下線とも105km/hで通過しています。
当駅は秋葉原寄りに2両分※3ホームの延長スペースが確保されています。今年に入りこのスペースで床面のコンクリートを一部削り取ってホームの支柱を立てる工事が開始されています。
▼脚注
※3:工事誌によると、対向式ホームの地下駅では10両化時にトンネルを壊してホームを延長することとされているが、当駅は両端がシールドトンネルと直結されており、改造が容易ではない。
TX07 六町駅
六町駅は青井駅と同じく都道102号線の地下にあります。トンネルは3層構造で、1層目(構内図では地下1階)が改札口、3層目(地下2階)が島式1面2線のホームとなっています。秋葉原寄りには中川汚水幹線(下水道)が埋設されていたため、ホームは地下25mの深さに作られています。
つくばエクスプレス六町駅快速列車通過シーン - YouTube
※大きな音が出ます。音量設定にご注意ください。
2008年頃まで六町駅に停車しない下りの優等列車は125km/hで通過していた。2007年11月3日撮影
当駅は普通と平日朝ラッシュ時の上り区間快速、平日夕方ラッシュ時の下り通勤快速が停車します。当駅前後の下り線は直線となっていることから、開業から数年間は地下駅であるにもかかわらず優等列車が125km/hで通過していました。ホーム前後の天井には空気を抜くための巨大なダクトが設けられていますが、それでも通過時の風圧は非常に強く安全上も問題があったため、現在は95km/hに減速して通過しています。ホーム上には風圧への注意喚起を促す掲示(写真)が現在も残されています。


左:六町駅秋葉原寄りのホーム延長スペース
右:つくば寄りもやや狭いが同様のスペースがある
右:つくば寄りもやや狭いが同様のスペースがある
上:六町駅秋葉原寄りのホーム延長スペース
下:つくば寄りもやや狭いが同様のスペースがある
下:つくば寄りもやや狭いが同様のスペースがある
当駅はホームの前後にトンネルの中柱が鋼管になっている部分があり、このスペースにホームを延長するものとみられます。
TX08 八潮駅

八潮駅3番線の当駅始発列車用乗車位置
八潮駅は島式ホーム2面4線の高架駅です。快速以外の全ての種別が停車しており、普通と優等列車の接続・追い抜きも行われます。また、つくば寄りには留置線が4本あり、平日朝ラッシュ時は秋葉原~当駅間の区間列車が運転されています。


左:八潮駅秋葉原寄りのホーム端。ホーム延長に備えて本線と待避線の合流までは距離がある。
右:つくば寄りのホーム端。手前にはホーム延長時に使用する台座が準備されている。
右:つくば寄りのホーム端。手前にはホーム延長時に使用する台座が準備されている。
上:八潮駅秋葉原寄りのホーム端。ホーム延長に備えて本線と待避線の合流までは距離がある。
下:つくば寄りのホーム端。手前にはホーム延長時に使用する台座が準備されている。
下:つくば寄りのホーム端。手前にはホーム延長時に使用する台座が準備されている。


左:八潮駅つくば寄りにある留置線
右:上り列車の最後尾から留置線の終端を見る。車止めの先に線路を延長するためのスペースがある。
右:上り列車の最後尾から留置線の終端を見る。車止めの先に線路を延長するためのスペースがある。
上:八潮駅つくば寄りにある留置線
下:上り列車の最後尾から留置線の終端を見る。車止めの先に線路を延長するためのスペースがある。
下:上り列車の最後尾から留置線の終端を見る。車止めの先に線路を延長するためのスペースがある。
当駅はホームの両端に延長用の台座が準備されたスペースが1両分ずつあり、現在は信号機器や配電盤が置かれています。また、留置線の車止めの先にも電化柱の台座が準備されたスペースが2両分(内側2線はさらに2両分)あります。これらのスペースを使って今後8両への対応を行います。
TX09 三郷中央駅
左:上り列車の最後尾から見た三郷中央駅。カーブしているため105km/hの速度制限(左の架線柱に標識)がある。
右上:つくば寄りでは2010年にホーム延長用の骨組みが作られた。
右下:ホーム延長用の骨組みを外から見たところ。骨組みは列車が走行している高架橋とは独立構造になっている。
右上:つくば寄りでは2010年にホーム延長用の骨組みが作られた。
右下:ホーム延長用の骨組みを外から見たところ。骨組みは列車が走行している高架橋とは独立構造になっている。
上:上り列車の最後尾から見た三郷中央駅。カーブしているため105km/hの速度制限(左の架線柱に標識)がある。
中:つくば寄りでは2010年にホーム延長用の骨組みが作られた。
下:ホーム延長用の骨組みを外から見たところ。骨組みは列車が走行している高架橋とは独立構造になっている。
中:つくば寄りでは2010年にホーム延長用の骨組みが作られた。
下:ホーム延長用の骨組みを外から見たところ。骨組みは列車が走行している高架橋とは独立構造になっている。
三郷中央駅は対向式ホーム 2面2線の高架駅です。ホームの秋葉原寄りは半径820mのカーブとなっており、ホーム部分では乗降時の安全のためカントを抑えていることから105km/hの速度制限があります。当駅は普通と区間快速が停車します。
三郷中央駅は、他の駅に先駆けて2010年につくば寄りでホーム延長用の骨組みが2両分設置されており、2012年の記事でもその件をレポートしました。今回改めて駅の外に出て高架橋を見て回ったところ、興味深い事実を発見しました。


左:三郷中央駅秋葉原寄りにあるバスターミナル
右:ホーム端から1両分の橋桁側面には、将来ホームを追加できるよう穴が準備されている。
右:ホーム端から1両分の橋桁側面には、将来ホームを追加できるよう穴が準備されている。
上:三郷中央駅秋葉原寄りにあるバスターミナル
下:ホーム端から1両分の橋桁側面には、将来ホームを追加できるよう穴が準備されている。
下:ホーム端から1両分の橋桁側面には、将来ホームを追加できるよう穴が準備されている。
当駅のホーム両端はコンクリートの桁橋となっています。駅の外からその桁の側面を見ると、現在のホーム端から1両分程度の位置に 2箇所蓋をしたような部分があるのが見えました。この蓋はホーム延長用の骨組みが設置されたつくば寄りだけではなく、現在はバスターミナル上空となっている秋葉原寄りにも存在します。また、帰宅後に鉄道・運輸機構の公式サイトで公開されている工事誌を見返したところ、「三郷中央駅前後20mはホーム延伸区間であるため、ホームの荷重により橋桁がねじれないよう箱桁とした」「ホーム桁支持用のブラケットを通すためのさや管を埋め込んだ」という内容が詳細な図面とともに掲載されているのを発見しました。つまり、三郷中央駅は当初両端に1両分ずつホームを延長する計画だったことになります。
ホームの延長方向が変更された正式な理由は不明ですが、バスターミナル上空での工事が難しいことや、できるだけ直線区間にホームを設置したかったといったことが考えられます。
TX10 南流山駅


2012年にホームが延長され、上下線の停止位置がずらされた南流山駅。停止位置移動前に使用していたホームドアは8両化に備えて残されている。2014年7月6日撮影
南流山駅はJR武蔵野線と直交する2車線道路の地下にあります。トンネルは2層構造で、地下1階が改札口、地下2階が島式1面2線のホームとなっています。当駅は将来の10両化に備えて両端に2両分ホームの延長スペースがありました。混雑緩和のため、2012年にこのスペースを利用してホームを延長し、上下線で停止位置をずらしています。停止位置変更前のホームドアは現在もそのまま残されており、8両化後の使用再開を待っています。
3/18より青井~六町で徐行運転

つくばエクスプレスの各駅に掲出されているダイヤ改正のお知らせ
今回見てきた駅のうち、青井駅と六町駅では今春以降ホーム延伸部分の本格的な工事が進められる予定となっています。前記した通りこの区間は地下トンネル内ですが、高速運転が可能な設備となっており駅間では現在も最高速度125km/hで走行しています。駅間走行中に発生した風圧により工事個所の仮置き資材が飛ぶ危険性があるため、来る3月18日(土)のダイヤ改正より1年間、青井~六町間の約1.7kmで75km/h以下の徐行運転が実施されます。そのため、この区間を走行する際は、1~ 2分ほど所要時間が増加します。
つくばエクスプレスの8両編成の運転は2030年代前半に開始される予定です。現在ホーム延伸未着工の流山セントラルパーク以北の駅についても、事前調査を進めており近日中にレポートできる見込みです。しばらくお待ちください。
▼参考
8両編成化事業の実施を決定!朝ラッシュ時間帯における抜本的な混雑緩和を図ります - つくばエクスプレスニュースリリース(PDF/1.1MB)
2023年3月18日(土)ダイヤ改正を実施します。(PDF/1.0MB)
つくばエクスプレス線 | これまでの整備実績 | 鉄道建設 | JRTT 鉄道・運輸機構
→工事誌の一部を閲覧可能
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つくばエクスプレス南流山駅ホーム延伸(2012年7月28日取材)&ダイヤ改正の概要(2012年8月5日作成)
つくばエクスプレス守谷駅追抜き設備・入出庫線増設工事(2014年7月6日取材)(2014年10月21日作成)
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