横浜駅横須賀線ホーム拡幅工事の現況



横浜駅では今年春の完成を目指して横須賀線・湘南新宿ラインのホーム(9・10番線)を拡幅する工事が続いています。去る、2009年11月にこの様子を再度取材してまいりましたので、今回は未掲載だった2008年の状況も併せてお伝えいたします。

▼関連記事:2006年・2007年の工事の様子
いつまで続く?横浜駅改良工事(2006年9月26日作成)
横浜駅9・10番線ホーム拡幅工事 (2007年10月18日作成)

■東横線地上ホームの跡地を利用

横須賀線ホームの拡幅計画

横浜駅の横須賀線ホーム(9・10番線)は1980(昭和55)年10月の東海道線・横須賀線の分離運転開始に伴い、それまで貨物線として使用されていた線路上に新設されました。2001(平成13)年には西大井駅の先で分岐する山手貨物線に乗り入れる形で湘南新宿ラインの運行が開始され、このホームには特急成田エクスプレスや東海道線直通の湘南新宿ラインなど横須賀線を走る全列車が停車しています。このホームはもともと貨物線だった線路上に半ば強引に追加されたという経緯から、最大幅がおよそ8mと全体的に狭く、かつ上り線が東京方へ30mほどずれているという特殊な構造となっており、列車の増発に伴い大船方へ乗降客が集中する傾向が見られています。特に混雑が顕著なのが南改札口へ通じるホームの大船寄り端にある階段で、相鉄線・横浜市営地下鉄との乗り換え口でありながら横須賀線の上下線間隔が狭いためエスカレータ・エレベータも設置できないという状況となっています。
一方、横須賀線ホームと西口駅ビル(高島屋・相鉄ジョイナス)の間にあった東急東横線はみなとみらい線との直通運転に伴い2004(平成16)年に地下化されホーム・高架橋の撤去されました。これにあわせて、その跡地を利用する形で横須賀線ホームを拡幅することになり、現在工事が進められています。新ホームの設計概要は以下の通りです。

1、横須賀線上り線を西側に移設しホームを拡幅
●最大ホーム幅を現在の7.8mから15.3mへ拡幅する
●大船方では隣接する駅ビルとの離隔を十分保つ
●横須賀線上り線の最小曲線半径は600mとし、かつ東京方にある新田間川橋梁を移設しないこと
●横須賀線現上り線付近に将来設置予定の柱に支障しないこと

2、ホームを大船方に延伸
●ホームを大船方に30m延伸し、相鉄線・横浜市営地下鉄の乗り換えの利便性を向上する。
●新田間川上にある現上り線ホーム70mは撤去し、上下列車の停止位置を統一する。

3、バリアフリー設備の拡充
●中央南改札口に通じる階段1か所はエスカレータを移設し、階段を拡幅する。
●西口へ通じる階段を拡幅しエスカレータ(上下)を新設する。

なお、「駅ビルとの離隔を十分保つ」点や「横須賀線現上り線付近に将来設置予定の柱」に関して現時点では詳しい情報は明らかになっていません。しかし、横浜駅では今後横浜市主導により周辺を含めた再開発が検討されており、将来的なビルの建て替え・線路上空の利用に支障しないよう配慮した結果、このような設計となったものと思われます。
今後行われる新ホームへの切り替えはまず、現上り線を新上り線に切り替え、旧上り線の線路上に仮設ホームを構築します。(この作業は終電~初電の間に行う。仮設ホームはすぐに撤去するためホーム全長ではなく乗客が集中する部分のみに設置する。)その後、この仮設ホームをコンクリート製の本設ホームに交換し、下り線大船方のホームの拡幅エスカレータの増設、上り線東京方のホーム撤去を行い完成となります。

▼参考
横浜駅における横須賀線ホーム拡幅に伴う施工計画について - 第35回土木学会関東支部技術研究発表会(PDF)
横浜市 都市整備局 都市再生推進課 横浜駅周辺地区
横浜市 都市整備局 エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造計画)

■2008年の状況
2008年に入るとその跡地に横須賀線の新上り線を支える路盤コンクリートを構築する工事が開始されましたが、中央通路と相鉄線改札口を連絡する仮設の通路があるホーム大船寄りは未施工のまま放置されました。同年末にはこの部分を除き路盤の構築がほぼ完了しています。


10番線を発車するE231系湘南新宿ラインと構築中の新上り線路盤(2008年9月14日撮影)



左上:ホーム東京寄りから工事中の新上り線を見る。
右上:今後撤去される上り線ホーム東京寄り
左下:路盤の構築が完了したホーム中央部。中央のプレハブ様の構造物は中央通路の一部。
右下:大船寄りでも通路に支障する部分以外は可能な限り路盤の施工が行われている。コンクリート状に見える突起は軌道を固定する鉄筋の一部。
(以上4枚は2009年1月6日撮影)

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■2009年の状況
2009年に入るとホーム床版、上屋(屋根)の構築が開始されましたが、仮設通路がある大船寄りに関しては相変わらず変化がない状態が続きました。結局この通路が撤去されたのは軌道敷設開始された後の秋頃までずれ込むこととなりました。撤去完了後は突貫工事でホーム・上屋の構築と軌道敷設が行われており横須賀線の現上り線に支障しない部分についてはほぼ完成した状態にあります。


ホーム床版、上屋の骨組み構築がほぼ完了したところ。上の4枚組の左上とほぼ同じ位置から撮影。(2009年6月21日撮影)



左上:上の写真と同じ位置からホームを見る。軌道敷設と屋根布の張り込みが終わった。
右上:仮設通路があったため未施工だったホーム大船寄り。先に軌道敷設と上屋の構築を行っている。
左下:大船寄りの階段の先でもホームの構築が開始された。
右下:ホーム拡幅と関連して南改札口周辺では内装を外して改札口を移設する工事が行われている。
(以上4枚は2009年11月24日撮影)

※クリックで拡大

この横須賀線ホーム拡幅に関連して、直下にある南改札口では一度完成した内装を再度全て取り外して改札口の移設が行われました。この改札口のさらに下にはみなとみらい線のトンネルが通っており、同線の工事開始以来10年以上もの間未完成の状態が続いています。横須賀線の拡幅ホームの供用開始は今年春の予定ですが、その後も下り線ホーム延伸やエスカレータの新設などがあるため、最終的な完成はさらに先になる見込みです。この部分が完成しても先述の再開発に伴い西口駅ビルの建て替えが始まれば再び工事中の個所が出現することとなります。このままでは東京駅、新宿駅に続く3つ目の「永遠に完成しない駅」となってしまうのかもしれません。
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